異世界メールフレンド〜女騎士とメールしていたら帰れなくなりました〜

竹野こきのこ

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異世界転移編

すれ違い

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「エリカ……あのさぁ……」

俺は決めていた事だけど、言葉に詰まった。

「どうした? 修平?」

いつものようにエリカは落ち着いた雰囲気で俺に話しかける。

「魔王と話して来たんだけどさ、俺はマザーの所に行ってみようと思う」

正直、そんな事が言いたい訳じゃない。

「そうか……だが私はマザーのあるエリアには入れない……」
「ああ、それも魔王から聞いた」

こんな、状況報告したい訳じゃない。俺は……。

「近く迄でいい、付いて来てくれないか?」

正直、これじゃあただの付き添いの誘いでしか無い。

「構わない。あの日、修平が私の戦場に現れた時から私は修平に付いて行くと決めている」


「それは……義理とかそういうのか?」


「そうかも知れないな……」
「俺は、エリカと一緒に居たいと思っている。エリカはどうなんだ?」

「……」
エリカは、どこか思い悩んでいるのか? 表情を見てもよくわからず黙っている。

「どうなんだよ?」

「……すまない。自分でもよく分からない」

「ならいいよ……」
エリカの返事に、モヤモヤする。正直俺はこんな言葉が出したい訳じゃ無い。でも、俺はそう言われて、待てるほど出来た大人じゃない。

俺は鞄を開くと、明日の朝、マザーの所へ行く為に自分の持ち物を中に詰め始めた。

「ねぇ……修平兄ぃ?」
「どうした?」
「エリカさんも色々考えて居るんだと思うよ?」
アドリは俺を気遣ってくれて居るのだろう。

「そんなの分かっているよ」
「じゃあなんで、あんな風に言ったの?」

「分かってる。エリカが色々考えて動いてくれていたのも、いつも俺たちの事を優先して助けようとしてくれているのも分かってんだよ」

「じゃあ……」
「嫌なんだ……それに頼らないといけない自分も、エリカが居なくなるのも……」

「修平兄ぃはエリカさんが大好きなんだね」
「うん……でもアドリも好きだよ」

アドリは少し笑うと、
「知ってる。でも、エリカさんの事が好きなのとは違うよね?」

「ちょっと、なんでアドリが泣きそうになってんだよ?」

アドリはそのまま、声を震わせる。
「修平兄ぃ、このままだと、いなくなっちゃうんでしょ?」

アドリは知って居たんだ。
無理もない。精霊の禁忌とまで言われたドライア様の孫。世界の事に関しても詳しいのだろう。

「どうしてそれを?」

「私がアドリに教えたんだ」
驚いて振り向くとエリカが見ていた。

「ちょっとまて、じゃあエリカも知っていたのか?」
「ドライア様の所に行ったときに教えてもらった」

あの日、エリカはドライア様の所で個別で話を聞いていたのを思い出す。そうか……それならなぜ? 決戦まで持ち込んだんだ?

「エリカ……知っていたんだな」
「私は、少しでも……」

エリカは恩のある俺が重荷になって居たのかも知れない。エリカが何か言おうとしている様に見えたが、それならそれでいい。

「ごめんな。エリカ……やっぱり俺一人でいいや」
「修平……」

エリカは、それ以上何も言わなかった。
もしかしたら言えなかっただけなのかも知れない。


───次の日。

エリカとアドリ、そしてランツェルさんが見守る中、魔王のゲートが開く。

「準備はできたかの?」
「大丈夫です……」

「では、ゲートに入るのじゃ!」

そう言って魔王は先にゲートを潜る。
俺は3人にてを振ると、ランツェルさんに声をかけた。

「ランツェルさん……」
「え? 自分ですか?」

「アドリを頼みます!」
「もちろんです! 安心して行って来てください! でも、絶対帰って来てくださいね!」

俺はランツェルさんにサムズアップする。
「アドリ、あんまり困らすなよ?」
「もう……帰らないみたいにいわないでよ」

「そうだな……」

そう言って、アドリの頭をなでる。
「エリカ……ありがとう……」
「……」

エリカは、口角を締める様に何も言わずに頷く。
「少佐、なんか言わないんですか?」

事情を知らないランツェルは不思議そうに言う。
俺はそのまま、振り返らずにゲートを潜った。
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