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本編
第2話
しおりを挟む「んぅぅ…」
肌を刺すような寒さと床の冷たさで目を覚まし、重いまぶたがだんだんと開いていく。
あれ、ここどこだっけ…?
頭が上手く働かなくて、何も考えられない。
手足に力が入らず身体を起こすことのできない俺は、ただ身体をゴロリと180度反転させた。
…はずだった。
「あれまぁ、かわいいアリスがお目覚めのようですねぇ♡」
「ひぃっ!?」
突然首が何かに引っ張られ、回転しようと勢いをつけた身体が元いた場所に叩きつけられる。
反射的に瞑った目をそっと開けると、さっきまではいなかったはずのピエロがこちらを見て微笑みかけていた。
「あぁ!かわいそうなアリス…。ろくでもない父親をもったがために、悲惨な運命をたどることになるなんて…♢」
オロオロと涙を流すフリをするそいつは冷たい手を俺の頬に当てて、ゾッとするほど優しい手つきで撫で回す。
気持ち悪い。
手から逃れるために身体の向きを変えようとすると、その事に気づいたピエロは俺の頬をむんずと掴み、口の中に指を突っ込んでくる。
「んっぐぅ!?」
「おやおや、悪い子だ。これでは大切なご主人様に対して楯突きかねませんねぇ…。えいっ☆」
上顎を撫でられたと思ったら力が抜けて、上手く抵抗することが出来ない。
呼吸が荒くなり始める俺にピエロは不気味に笑いかけ、指でこじ開けた口に赤く透き通った液体を流し込んだ。
ゴフッとむせ返り、ヨダレと一緒に液体が口の端を伝っていく。
だがそれを許さないとでも言うように、ピエロは零れた液体をすくい取っては口の中に押し込んでくる。
「ぐるしぃっ」
「おーよちよち、大丈夫ですよぉ。すぐに良くなりますからねぇ♤」
上手く息ができなくて、目の前が霞み始める。
奇抜な服の胸ポケットから懐中時計を取り出し、そろそろ時間だと呟いたそいつは、俺の口に突っ込んでいた指を引き抜いてべロリと舐め上げ、サッと綺麗にお辞儀した。
「お父様のためにも、良い値で買っていただけるといいですねぇ♡」
あぁ俺、やっぱり父さんに売られたのか…。
本能が逃げるべきだと警告するが、それを悲しみと憎しみが埋め尽くす。
ピエロがいつのまにか立ち去って1人になっても、俺の身体は動こうとしない。
ほんの数分の出来事が、俺には数時間経ったように感じられた。
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