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出逢い
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僕は、生まれつき右目が見えない。原因は不明。
眼帯はお風呂以外は基本付けている。一心同体と云ってもいいほど。
だから、周りの人からは少し変な目で見られることが少なくなかった。
本当は眼帯は、付けなくてもいいのだけれど、付けている方が安心する。というか、小さい頃からの習慣になっているから、むしろ取る方が難しい。
たまに、中二病とか云われるけれど最近は、少しだけ慣れてきた。
僕は幼い頃から植物を見るのが好きで、よく家の周りの草花を観察してスケッチしていた。それで、高校で園芸部に入った。
高校生になってもやっぱりクラスに馴染めないで、一人で本を読んだり、絵を描いたり気ままに過ごしていた。
あの人と出逢うまでは━━━・・・・。
それは、僕が高校2年生の頃。
時間がなくて、慌てて移動教室をしていて、走っている途中で階段に躓いたとき。
「わぁっ!」
痛みはなかった。恐る恐る目を開けると、僕は空中で停止していた。
「大丈夫?」
上の方から声が降ってきて気が付いた。僕は運良く通りすがった人に受け止められたのだと。
「えっ・・・わぁあだ、大丈夫です!ご、ごめんなさい!!」
慌てて身体を起こし、受け止めてくれた人に返した。声の主の方に向き直り、姿を確認する。
あっ━━・・・・
その時だった。
まるで耳元に心臓があるのではないかと錯覚しそうな距離で、僕の鼓動が高鳴ったのが、はっきりと聞こえた。
一目惚れ・・・・・
困惑した僕に、その言葉が脳裏をよぎった。
「いえいえ、今度からは気を付けてな」
人を引き付ける笑顔を辺りにたっぷり振り撒いて、その人は僕に背を向けた。
じゃーねと、言わんばかりに軽く手を振っている。
何故か、それを見てひどく胸が傷んだ。
あぁ、行ってしまう・・
「━━・・・・っあの!」
少しずつ遠ざかっていく背に向かって叫んだ。
その人は、小さく肩を揺らしてからくるっとこちらへ身体を向けた。
「何?」
僕は、咄嗟にその人を呼び止めたことを、一瞬後悔した。しばらく閉じていたが、覚悟を決めて口を開いた。
「━━━・・・・・その、な、名前・・・教えて、くれませんか?」
恥ずかしくて下に、視線を落として云った。
どうしよう・・・緊張して声が、震え・・
その人は直ぐに答えてくれた。
「和井尋、君は?」
「僕は・・・椿、です、白井椿」
やっぱり声が震え、目も合わせることができなかった。
「白井くん、ね・・・覚えた」
白井、くん
その人から出た音は空間に反響し、僕に届いた。耳に残る低く、優しい和井くんの声で名を呼ばれ、肩を揺らし、反射で顔を上げた。
その人は、さっきと同じ透き通った笑顔を見せている。身体中に熱が帯びる。
熱い・・・溶けてしまいそうだ
「ところで、次の授業大丈夫なの?移動教室でしょ・・・・?」
「━━・・っえ、あ!そうでした!・・・す、すいません!!」
和井くんの言葉で、はっと我に返った。僕は落ちた教材やらを拾って逃げるようにその場を立ち去った。
僕がその場から離れようと一歩踏み出した時、和井くんが何か云っていた気がした。気のせいだと思うけど。
眼帯はお風呂以外は基本付けている。一心同体と云ってもいいほど。
だから、周りの人からは少し変な目で見られることが少なくなかった。
本当は眼帯は、付けなくてもいいのだけれど、付けている方が安心する。というか、小さい頃からの習慣になっているから、むしろ取る方が難しい。
たまに、中二病とか云われるけれど最近は、少しだけ慣れてきた。
僕は幼い頃から植物を見るのが好きで、よく家の周りの草花を観察してスケッチしていた。それで、高校で園芸部に入った。
高校生になってもやっぱりクラスに馴染めないで、一人で本を読んだり、絵を描いたり気ままに過ごしていた。
あの人と出逢うまでは━━━・・・・。
それは、僕が高校2年生の頃。
時間がなくて、慌てて移動教室をしていて、走っている途中で階段に躓いたとき。
「わぁっ!」
痛みはなかった。恐る恐る目を開けると、僕は空中で停止していた。
「大丈夫?」
上の方から声が降ってきて気が付いた。僕は運良く通りすがった人に受け止められたのだと。
「えっ・・・わぁあだ、大丈夫です!ご、ごめんなさい!!」
慌てて身体を起こし、受け止めてくれた人に返した。声の主の方に向き直り、姿を確認する。
あっ━━・・・・
その時だった。
まるで耳元に心臓があるのではないかと錯覚しそうな距離で、僕の鼓動が高鳴ったのが、はっきりと聞こえた。
一目惚れ・・・・・
困惑した僕に、その言葉が脳裏をよぎった。
「いえいえ、今度からは気を付けてな」
人を引き付ける笑顔を辺りにたっぷり振り撒いて、その人は僕に背を向けた。
じゃーねと、言わんばかりに軽く手を振っている。
何故か、それを見てひどく胸が傷んだ。
あぁ、行ってしまう・・
「━━・・・・っあの!」
少しずつ遠ざかっていく背に向かって叫んだ。
その人は、小さく肩を揺らしてからくるっとこちらへ身体を向けた。
「何?」
僕は、咄嗟にその人を呼び止めたことを、一瞬後悔した。しばらく閉じていたが、覚悟を決めて口を開いた。
「━━━・・・・・その、な、名前・・・教えて、くれませんか?」
恥ずかしくて下に、視線を落として云った。
どうしよう・・・緊張して声が、震え・・
その人は直ぐに答えてくれた。
「和井尋、君は?」
「僕は・・・椿、です、白井椿」
やっぱり声が震え、目も合わせることができなかった。
「白井くん、ね・・・覚えた」
白井、くん
その人から出た音は空間に反響し、僕に届いた。耳に残る低く、優しい和井くんの声で名を呼ばれ、肩を揺らし、反射で顔を上げた。
その人は、さっきと同じ透き通った笑顔を見せている。身体中に熱が帯びる。
熱い・・・溶けてしまいそうだ
「ところで、次の授業大丈夫なの?移動教室でしょ・・・・?」
「━━・・っえ、あ!そうでした!・・・す、すいません!!」
和井くんの言葉で、はっと我に返った。僕は落ちた教材やらを拾って逃げるようにその場を立ち去った。
僕がその場から離れようと一歩踏み出した時、和井くんが何か云っていた気がした。気のせいだと思うけど。
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