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「ふぁー凄かった、有難う白井くん」
スケッチブックを手渡しながら、艶やかな表情をしていた。
和井が見終わってから、何か云おうと思ったが、本人の笑顔がそんな椿の心を吹き飛ばした。
「白井くんって植物が好きなんだな」
唐突に微笑みを向けられてどきっとした。
いつもの優しい笑み。けれど其れとはどこか違った、表情。
視線の合った彼の瞳の奥に潜む和井にのみ判る感情が、椿には微かに見えた気がした。
「其れに描いてあったの、ほとんど花とか木だったから」
和井に連れて視線をスケッチブックに流し、おもむろに頁を開く。
確かにそうだ、小さい頃から暇さえあれば常に草花を視ては描いていた。
「そう、ですね、小さい頃からずっと草木や花、自然に関するものに触れていました」
ぱらぱらと頁を繰っていき、自分が先程描いていた紫陽花のスケッチのところで手を止め、絵を見つめた。
視線を和井に戻し、目を細めた。
「もう、僕の家族のような存在です」
椿の声が内庭に吸い込まれていく。
内庭の木々の隙間から生暖かい風が、二人の間を吹き抜けていった。
数秒の静寂の後、口を開いたのは和井だった。
「実は俺もそういうの好きなんだよな」
「え、そうなんですか?」
「ああ」
斜め上の宙を静かな瞳で見つめた和井が、透き通った音を発した。
「俺の家、後ろが一寸した森みたいになっててさ、良く其処で遊んでたんだ。小さい頃からずっと、秘密基地だって・・・・」
自分の記憶を遡ってくかのように、遠い目をした和井の声がゆっくりと耳に染み込んでいった。
「まぁ、今じゃ殆んど行かなくなったけどな・・・そんな歳でもないし」
そう云って薄い笑みを浮かべた。
なんだか、寂しそう・・・・・・?
椿は和井の表情を見て、ふとそう思った。そして、その場で決めた。
「あの僕、その・・・・和井くんの家に行ってみたいです!」
「ふぇ・・・?」
和井に向かって身を投げた椿は、そのまま和井の瞳を見つめた。
その状態で2秒間ほど、時が止まった。
そして、必然的に気づかされた、今の状況が何れほど恥ずかしいことなのか。
まだ、あまり親しくない人に向かって、家に行っても良いか?なんて聞いてしまった。
「・・・・・・・っあ、す、すみません!!ちよ、調子に乗りました!!!」
あ~~何てこと聞いてるんだ!凄い失礼!凄い恥ずかしい!い、いっそ死んでしまいたい・・・・・
脳内が大混乱で、椿はもう何がなんだか分からなく成っていた。
熱くなって来たので、顔が赤くなっているのだと悟った。
其れがまた恥ずかしくて両手で熱を覆った。
そんな中、和井は未だに無言だ。
ほらー、困らせちゃったよ~~~~うぅ~
「か、可愛い」
「へぇ?」
独り言のように、発せられた言葉。
全く現実味を感じることが出来なかった
椿は取り敢えず瞬きを3回した。
その後にもう一度思い出した。
かっ、・・・・・・・・・
「かわいい・・・・?」
囁くように声に出し、其れに和井は少年のような呆気なさの混じった笑みを作った。
「いや、ごめん・・特に深い意味は無いんだ、何となくって云うか・・・直感的にそう思っただけなんだ、ほんとに」
「またそんな恥ずかしいこと云って、あとその台詞は男に向けて使う言葉じゃないですし・・・・」
「だから、ごめんって」
ひたすらに恥ずかしいと云う感情と、何か別の分からない靄の掛かった複雑な感情が混ざった波が、椿を溺れてしまうほどに包んだ。
「ねえ白井くん、今週の日曜なら来ても平気だけど、どうする?」
「え、良いんですか?」
和井が笑窪を作ってにっこりと笑う。
「ああ、勿論だ。もし白井くんが暇であればだけど」
「っ是非!い、行かせてください!!」
その言葉とほぼ同時に、校内の休み時間終了の鐘が鳴り響いた。
和井は校舎の時計を見て「もうこんな時間か」と一言添えて立ち上がった。
連れて立ち上がった椿に向き直った和井は、メモを差し出してきた。
椿はなにも云わずに其れを素直に受け取った。
「此れは?」
メモと和井を見比べてから視線を和井に向けた。
だが和井は、無言で椿に背を向け、引き戸に向かって一歩ずつ踏み出した。
「俺のIDが書いてあるから登録しておいて、そしたら連絡する」
椿に片手を軽く振って、そのまま引き戸の向こうに姿を消してしまった。
IDを、貰ってしまった・・・ヤッタ
内心小さくそう思った椿だった。
スケッチブックを手渡しながら、艶やかな表情をしていた。
和井が見終わってから、何か云おうと思ったが、本人の笑顔がそんな椿の心を吹き飛ばした。
「白井くんって植物が好きなんだな」
唐突に微笑みを向けられてどきっとした。
いつもの優しい笑み。けれど其れとはどこか違った、表情。
視線の合った彼の瞳の奥に潜む和井にのみ判る感情が、椿には微かに見えた気がした。
「其れに描いてあったの、ほとんど花とか木だったから」
和井に連れて視線をスケッチブックに流し、おもむろに頁を開く。
確かにそうだ、小さい頃から暇さえあれば常に草花を視ては描いていた。
「そう、ですね、小さい頃からずっと草木や花、自然に関するものに触れていました」
ぱらぱらと頁を繰っていき、自分が先程描いていた紫陽花のスケッチのところで手を止め、絵を見つめた。
視線を和井に戻し、目を細めた。
「もう、僕の家族のような存在です」
椿の声が内庭に吸い込まれていく。
内庭の木々の隙間から生暖かい風が、二人の間を吹き抜けていった。
数秒の静寂の後、口を開いたのは和井だった。
「実は俺もそういうの好きなんだよな」
「え、そうなんですか?」
「ああ」
斜め上の宙を静かな瞳で見つめた和井が、透き通った音を発した。
「俺の家、後ろが一寸した森みたいになっててさ、良く其処で遊んでたんだ。小さい頃からずっと、秘密基地だって・・・・」
自分の記憶を遡ってくかのように、遠い目をした和井の声がゆっくりと耳に染み込んでいった。
「まぁ、今じゃ殆んど行かなくなったけどな・・・そんな歳でもないし」
そう云って薄い笑みを浮かべた。
なんだか、寂しそう・・・・・・?
椿は和井の表情を見て、ふとそう思った。そして、その場で決めた。
「あの僕、その・・・・和井くんの家に行ってみたいです!」
「ふぇ・・・?」
和井に向かって身を投げた椿は、そのまま和井の瞳を見つめた。
その状態で2秒間ほど、時が止まった。
そして、必然的に気づかされた、今の状況が何れほど恥ずかしいことなのか。
まだ、あまり親しくない人に向かって、家に行っても良いか?なんて聞いてしまった。
「・・・・・・・っあ、す、すみません!!ちよ、調子に乗りました!!!」
あ~~何てこと聞いてるんだ!凄い失礼!凄い恥ずかしい!い、いっそ死んでしまいたい・・・・・
脳内が大混乱で、椿はもう何がなんだか分からなく成っていた。
熱くなって来たので、顔が赤くなっているのだと悟った。
其れがまた恥ずかしくて両手で熱を覆った。
そんな中、和井は未だに無言だ。
ほらー、困らせちゃったよ~~~~うぅ~
「か、可愛い」
「へぇ?」
独り言のように、発せられた言葉。
全く現実味を感じることが出来なかった
椿は取り敢えず瞬きを3回した。
その後にもう一度思い出した。
かっ、・・・・・・・・・
「かわいい・・・・?」
囁くように声に出し、其れに和井は少年のような呆気なさの混じった笑みを作った。
「いや、ごめん・・特に深い意味は無いんだ、何となくって云うか・・・直感的にそう思っただけなんだ、ほんとに」
「またそんな恥ずかしいこと云って、あとその台詞は男に向けて使う言葉じゃないですし・・・・」
「だから、ごめんって」
ひたすらに恥ずかしいと云う感情と、何か別の分からない靄の掛かった複雑な感情が混ざった波が、椿を溺れてしまうほどに包んだ。
「ねえ白井くん、今週の日曜なら来ても平気だけど、どうする?」
「え、良いんですか?」
和井が笑窪を作ってにっこりと笑う。
「ああ、勿論だ。もし白井くんが暇であればだけど」
「っ是非!い、行かせてください!!」
その言葉とほぼ同時に、校内の休み時間終了の鐘が鳴り響いた。
和井は校舎の時計を見て「もうこんな時間か」と一言添えて立ち上がった。
連れて立ち上がった椿に向き直った和井は、メモを差し出してきた。
椿はなにも云わずに其れを素直に受け取った。
「此れは?」
メモと和井を見比べてから視線を和井に向けた。
だが和井は、無言で椿に背を向け、引き戸に向かって一歩ずつ踏み出した。
「俺のIDが書いてあるから登録しておいて、そしたら連絡する」
椿に片手を軽く振って、そのまま引き戸の向こうに姿を消してしまった。
IDを、貰ってしまった・・・ヤッタ
内心小さくそう思った椿だった。
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