君は僕の一目惚れ

緋露

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椿、和井の家に行く(1)

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椿は和井から受け取ったIDを、教室に戻って直ぐに登録をしようと、登録ボタンを押そうとすると間違えて発信ボタンを押してしまい、電話がかかってしまった。

「っあ、ちょっま、あぁ・・・」

数回呼び出しのコールが聴こえた後、相手が電話に出た。
わぁ━━━━!

『もしもし、白井くん?どうしたの?』

通話口から安心するほど穏やかな声が聴こえた。

「っあ、す、すいません・・・・間違えて発信ボタンを押してしまって」

『あー・・・成る程』

和井の声がはっきりと呆れ声になったのが分かった。
うぅ、呆れられた~

「で、でも今のうちに聞きたいことがあって」

『?・・・・何』

多少の緊張を紛らわせようと、一呼吸ついてから、声に出した。

「和井くんの家って、ど、どこら辺に在りますか?」

『あー・・えっと、駅前の最近人気のケーキ屋あるじゃん?其の裏』

に、人気のケーキ屋、駅前?・・・・あったっけ?
今のところ持っている記憶を探ってみるが、椿の家は学校から駅の逆方向であまり駅には行かないので、そんな店があることを知らなかった。
暫く黙考したが結局分からなかったので、若干おどおどしながら和井に聞いた。

『あぁ、分かんなかったか、ごめん・・・じゃ取り敢えず駅まで来てくれればいいよ、俺待ってるし』

「ぇえ!そ、其れは和井くんに迷惑をかけてしまうので・・・・あの、そ、その」

『いいってそんなの、俺は全く気にしねぇし・・・それに、俺が行きたいだけだからいいの!』

「で、でも」

『他言無用!』

「うっ・・・・・・・・・ハイ」

『じゃぁ時間は10時半な!そんじゃ』

和井の元気な声が響いて直ぐに、電話が切れた。
和井の圧力に負けてしまった椿は、何となく腑に落ちない気持ちだった。
和井くんって、結構強情だな


この会話から毎日和井からメッセージが届くようになった。
其れは会って話す時より、何だか秘密の話をしているようで椿は密かに喜びを覚えていた。

今まで、授業の合間は基本暇で、本を読んだり、絵を描いていたが今は違う。
和井が、休憩時間にいつもメッセージで声をかけてくれる。
授業中は、其れが楽しみで仕方ない。
次はどんな風に声をかけられるだろうか、どんな話をしてくれるだろうか・・・そんなことで、頭がいっぱい。

和井と出会ったことが運命なのではないかと考えるほどの椿は少しずつ近づいてくる日曜という幸せな日に内心、
もうすぐ!もうすぐ!
届くように舞い上がっていた。



そして、やって来た幸せな日。

「じゃぁ母さん、姉ちゃん行ってきます」

玄関の扉の前で声をかける。
母はいつも通り「行ってらっしゃい」と穏やかな優しい笑顔を作って送ってくれた。

「何?椿、もしかして彼女とデート・・・・?」

「はっ?!そ、そんなわけないじゃん!」

「ふーん・・・・・」

姉にはからかわれた、何故そう思うかと云うと、姉が不満そうに鼻を鳴らした後
、微かに口元が緩んだからだ。
ま、またからかわれた

「っもう!じゃぁね!」

吐き捨てるように云ってから、その場をあとにした。
椿の家から駅は大体1.5㎞程で、歩いていけなくもない距離なので徒歩で向かっている。
20分位歩いたところでやっと駅に着いた。
やっぱ自転車にすれば良かった・・・えーと
10時20分・・・・一寸早かったかな?
結構気に入っている腕時計を確認しながら取り敢えず和井を探そうと、とぼとぼ足を進めていると・・・・

「っわぁ!・・・・・・あっ、すいません」

目の前に居ることに気づかず、大柄な男の人に肩がぶつかってしまった。
大柄な男は首だけ動かして振り向き、椿を確認した。

「あ"あ"?んだ手前ぇ・・・・何処に目ぇ付けてやがる?」

「へ?」

こ、怖すぎる・・・・・うぅ
一寸ぶつかっただけでこんな怯えるはめになるとは思いもしなかった。

「ぁ、あの・・・・・す、・・・・・デシタ」

「あ"?」

「す、すいませんでしたぁ!」

人生で一番の叫びをして、椿は猛ダッシュで、大柄な男から逃げた。
混乱した椿はとにかく、一心不乱に走った。
そして、また誰かにぶつかった。今度は背中に顔面から派手ににぶつかった。

「ふがっ!・・・・あっ、す、すいません!すいません!」

衝撃で尻餅をついた椿は膝を抱えて、涙声で謝罪を繰り返した。

「え、白井くん?」

「へ?」

    
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