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第7章:時の残響(レゾナンス・オブ・ゼロ)
第41話:記録の断層
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外側空間は、静寂ではなかった。
“音”という概念こそ存在しないのに、
未来そのものがざわめいているような振動が全身を包む。
(……ここは……?
外側のさらに奥……?)
悠は、漂う光の粒に気づいた。
砂のように細かい――しかし明らかに“未来の残骸”だった。
『気をつけろ。ここは“記録の断層”だ。』
隣に立つ起源の悠が言う。
その声は落ち着いていたが、かすかに緊張が混じっていた。
「記録の……断層?」
『25回のループで“選ばれなかった未来”が沈殿する場所だ。
どれも世界が維持できなかった“折れた可能性”。』
光の粒が集まり、
ひとつの“映像”になっていく。
世界が、悠に“見せている”のだ。
■未来断層①:九条が死んだルート
九条蓮が廊下で倒れている映像が映る。
胸元に黒いノイズ――インベーダーの侵蝕痕。
(うそだろ……九条が……?)
声にならない。
喉がひりつく。
『この未来は“安定度がゼロ”だった。
九条が死ぬと、観測塔の構造そのものが破綻する。』
「じゃあ……俺が助けたから……?」
『ああ、世界は“お前の選択”を基準に揺れた。』
■未来断層②:奏が取り込まれた未来
奏が、白い手に絡まれていた。
“未来の霧”が彼女の体を包み、
表情が消えていく。
《――観測者ノソバニ……》
“影”の声が響く。
「……やめろ……やめろよ……!」
悠の拳が震えた。
『この未来は、“観測者を誘導する罠”になった。
外側の侵入者が“奏を喰う未来”を使って
観測を歪めようとした。』
「そんな未来、絶対に許さねえ……!」
■未来断層③:父が生き残るが世界が崩壊する未来
TIME-LAB25。
啓介が、コアの前で息をしていた。
だが――
観測塔の外周がノイズに崩れ落ちる。
都市全体が黒い霧に飲まれ、
夕日が“折れる”。
(……これが……親父が助かった未来……?)
『そうだ。
啓介が助かれば“観測者の役割”が空席のままになる。
その穴をインベーダーが喰い……世界は崩壊する。』
悠は、すこしだけ目を伏せた。
「……親父は……世界を守るために……」
『自分を“未来から切り捨てた”。
そういうことだ。』
未来の断片が、さらに無数に流れ込む。
・悠が研究塔で死んだ未来
・観測塔が存在しなくなる未来
・外側が勝つ未来
・現実が“消去”される未来
どれも、世界が選ばなかった“折れた未来”。
重みが胸にのしかかる。
(……俺……こんな未来の重さを……知らないまま……
25回も選んでたのか……)
と、そのとき。
ゆっくりと、起源の悠が肩に手を置いた。
『お前が背負ったんじゃない。
“世界がお前を選んだ”んだ。』
「……世界が、俺を……?」
起源の悠は静かに頷く。
『観測者は人がなるんじゃない。
世界が必要なとき、生まれるんだ。
――だからお前は、コピーじゃない。
“世界が未来を続けるために生んだ、新しい俺”。』
胸の奥が熱くなるような、痛むような感覚。
悠は、初めて自分の存在理由を理解した。
(……俺は……世界のために生まれた……
観測者として……)
『さあ行こう、悠。
ここで迷ってる時間はない。
インベーダーは“未来の中心”へ向かってる。』
白い空間が大きく揺れた。
遠くで――黒い裂け目が、さらに開き始めている。
『次は“核心”だ。
お前が見てきたもの、その全部が意味を持つ場所へ行くぞ。』
悠は深く息を吸った。
呼吸は概念――そう言われたが、
今だけは“本当に呼吸をしている”気がした。
「……ああ。行こう。
俺はもう……逃げない。」
二人の観測者が歩き出す。
その先に待つのは――
“AI御堂”の真実と、侵略者の中心核。
未来はまだ揺れている。
だが悠の意思は、もう揺れなかった。
“音”という概念こそ存在しないのに、
未来そのものがざわめいているような振動が全身を包む。
(……ここは……?
外側のさらに奥……?)
悠は、漂う光の粒に気づいた。
砂のように細かい――しかし明らかに“未来の残骸”だった。
『気をつけろ。ここは“記録の断層”だ。』
隣に立つ起源の悠が言う。
その声は落ち着いていたが、かすかに緊張が混じっていた。
「記録の……断層?」
『25回のループで“選ばれなかった未来”が沈殿する場所だ。
どれも世界が維持できなかった“折れた可能性”。』
光の粒が集まり、
ひとつの“映像”になっていく。
世界が、悠に“見せている”のだ。
■未来断層①:九条が死んだルート
九条蓮が廊下で倒れている映像が映る。
胸元に黒いノイズ――インベーダーの侵蝕痕。
(うそだろ……九条が……?)
声にならない。
喉がひりつく。
『この未来は“安定度がゼロ”だった。
九条が死ぬと、観測塔の構造そのものが破綻する。』
「じゃあ……俺が助けたから……?」
『ああ、世界は“お前の選択”を基準に揺れた。』
■未来断層②:奏が取り込まれた未来
奏が、白い手に絡まれていた。
“未来の霧”が彼女の体を包み、
表情が消えていく。
《――観測者ノソバニ……》
“影”の声が響く。
「……やめろ……やめろよ……!」
悠の拳が震えた。
『この未来は、“観測者を誘導する罠”になった。
外側の侵入者が“奏を喰う未来”を使って
観測を歪めようとした。』
「そんな未来、絶対に許さねえ……!」
■未来断層③:父が生き残るが世界が崩壊する未来
TIME-LAB25。
啓介が、コアの前で息をしていた。
だが――
観測塔の外周がノイズに崩れ落ちる。
都市全体が黒い霧に飲まれ、
夕日が“折れる”。
(……これが……親父が助かった未来……?)
『そうだ。
啓介が助かれば“観測者の役割”が空席のままになる。
その穴をインベーダーが喰い……世界は崩壊する。』
悠は、すこしだけ目を伏せた。
「……親父は……世界を守るために……」
『自分を“未来から切り捨てた”。
そういうことだ。』
未来の断片が、さらに無数に流れ込む。
・悠が研究塔で死んだ未来
・観測塔が存在しなくなる未来
・外側が勝つ未来
・現実が“消去”される未来
どれも、世界が選ばなかった“折れた未来”。
重みが胸にのしかかる。
(……俺……こんな未来の重さを……知らないまま……
25回も選んでたのか……)
と、そのとき。
ゆっくりと、起源の悠が肩に手を置いた。
『お前が背負ったんじゃない。
“世界がお前を選んだ”んだ。』
「……世界が、俺を……?」
起源の悠は静かに頷く。
『観測者は人がなるんじゃない。
世界が必要なとき、生まれるんだ。
――だからお前は、コピーじゃない。
“世界が未来を続けるために生んだ、新しい俺”。』
胸の奥が熱くなるような、痛むような感覚。
悠は、初めて自分の存在理由を理解した。
(……俺は……世界のために生まれた……
観測者として……)
『さあ行こう、悠。
ここで迷ってる時間はない。
インベーダーは“未来の中心”へ向かってる。』
白い空間が大きく揺れた。
遠くで――黒い裂け目が、さらに開き始めている。
『次は“核心”だ。
お前が見てきたもの、その全部が意味を持つ場所へ行くぞ。』
悠は深く息を吸った。
呼吸は概念――そう言われたが、
今だけは“本当に呼吸をしている”気がした。
「……ああ。行こう。
俺はもう……逃げない。」
二人の観測者が歩き出す。
その先に待つのは――
“AI御堂”の真実と、侵略者の中心核。
未来はまだ揺れている。
だが悠の意思は、もう揺れなかった。
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