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「あ、ごめんなさい。アテナちゃん開けてみて?」
リベルナはハッと顔を上げると彼女にそう促す。
アテナはガサガサと封を開け……中から出てきた熊のぬいぐるみを見て動きを止めた。
「あ、あら……好みじゃなかったかしら?私の妹がアテナちゃん位だった頃ね?そういうぬいぐるみが好きだったから」リベルナは少し焦ったような口調で言った。
「妹……」アテナが顔をあげてリベルナを見た。
リベルナは嬉しくなってニコニコ笑いながら語りだす。
自慢していると思われるからあまり家族の話は控えていたけれど……
「私妹がいたんですの。でもうちの妹と型の合う聖職者様のお子様が心臓病にかかってしまったそうで……小さい頃に名誉聖職者になりました」リベルナはニッコリ笑ってそう言った。
「……え?あの……リベルナ様ご両親は……」
「両親は共に子どもを生み、育て終えましたから……スペア施設に収容されてこの前封書で『聖職者のお役に立つことができた』と報告が……大変名誉なことでございます」
それを聞いたアテナは顔を歪めるように笑うと「……とても可愛いです。ありがとうございます」とぬいぐるみに顔を埋める。
「あら、気に入ってくれてよかった」リベルナはホッと胸を撫で下ろした。「アテナちゃんクッキーは好きですか?食べたい種類はあります?全部?」
リベルナはテーブルにあるクッキーをアテナに勧める。
「お待たせ」
そうしているとお茶を手にやってきたヴェルナーが「そのぬいぐるみは彼女に?」と少し驚いた様子で言った。
「はい、とてもかわいらしかったのでアテナちゃんにピッタリだと思って……少し幼すぎるプレゼントでしたでしょうか?」リベルナはヴェルナーの準備を手伝いながら少し恥ずかしそうに言った。
「そんなことはないさ。なぁ、アテナ?」
ヴェルナーは少し誂うようにアテナに視線を送る。
アテナは少し不機嫌そうにヴェルナーを見た後「はい、とても嬉しいです。かわいい」とリベルナを見て言った。
リベルナはヴェルナーにアテナの正面を譲ると自分は隣に座る。「アテナちゃん、紅茶は飲めますか?砂糖はいります?」リベルナは砂糖のポットを手で指し示しながらニッコリ笑う。
「……あ、砂糖を少しだけ……ひとつ……」
「ふふ、はい、どうぞ」
アテナは小さな手で人差し指を立てると遠慮がちに言った。リベルナはその様子が可愛くて微笑む。
(かわいいわぁ……♡)
なんとなく気になって隣を見ると、ヴェルナーが見たことがない位目尻を下げてリベルナに微笑みかけてきた。
(やっぱり旦那様もご自身のお子さんは愛らしいのね)
リベルナもほっこりした気分でヴェルナーに微笑み返す。チクチクとした胸の痛みは気付かないふりをした。
(私とはあくまでも私の遺伝子を残すための結婚ですし……何よりも前世が悪いから多くを望んではいけないわ。それに……私との子どもはあくまでも聖職者様のスペア、こうして過ごす間もなく名誉聖職者になる可能性もあるのよね)
「とても楽しいお時間でした」
「いえいえこちらこそ……私あまり小さな子と過ごす機会がなかったのですが、とても楽しかったです。お邪魔いたしました」
リベルナはニコニコ笑いながらそう言って頭を下げると立ち上がり、退出した。親子水入らずの時間も必要だと思ったのだ。
いくらアテナが可愛いとは言え、リベルナは他人なのだから。
リベルナは少しウキウキとした気分で廊下を歩く。
でもなんとなく心の底で、自分の子はできなければいいな、とも思っていた。
(そんなことを考えるのは良くないことだとわかっているけど……)アテナの可愛らしい様子を見て……リベルナはますますそう感じてしまう。妹が名誉聖職者になったときも、誰にもバレないように泣いたものだ。
素直で可愛い妹だった。
リベルナはそんな妹を思い、涙が出そうになる。
(いいえ、あの子は聖職者様の心臓になれたのだから幸せなのよ。ああ、もしも私の前世が良ければ……私たちのルーツは貴族じゃなかったかしら)
リベルナは廊下で一人、自分を責めた。
「旦那様?もういいのですか?」
リベルナは部屋に戻るとすぐにやってきたヴェルナーを見て驚いた。(もう少しゆっくりお話をしていたらいいのに……)
「書庫に行く約束をしていただろう」
「私とならいつでも行けますから、後回しで結構でしたのに……」
「そんな訳はない」
ヴェルナーはリベルナの手をギュッ握ると目を見つめてニヤリと笑う。
「……そうでしょうか……」
リベルナは少し申し訳ない気分でそう呟くとヴェルナーが彼女の歩みを促す為に、そっと背中を押した。
「こ……子どもはかわいいものだな」
ヴェルナーがリベルナの手を握り締めながら言った。
「はい、そうですね。とてもかわいらしいですね」リベルナはアテナを思い浮かべて言った。
小さな手足を懸命に使い、大人と同じような動作をしているだけでもなんだか可愛らしい。
「……やはり生まれてくる子は女がいいだろうか……それとも男がいいか?」ヴェルナーは少し言いにくそうにそう言う。
(え?も……もしかして、私に次生まれてくる子の男女予測の話題を振ってきているのかしら……うーん………………どちらが、と他人の私が決めては失礼なのでは!?聖職者様には跡継ぎも必要でしょうし、でもアテナちゃんのような娘さんも可愛らしいし……)
「え……?ど、どうでしょう……」リベルナは考えた末曖昧な返事を返す。
「……い、いやぁ俺は正直どちらでもいいと思うんだが、妻はどう思っているのかなー?と」ヴェルナーは少し照れくさそうにそう言ったのだけど……リベルナは内心困り果てていた。
(私が答えていい話題なのかしら……男女どちらがいいかわからないわ……!ああ……ルーツが貴族だとあまり跡継ぎだとかの制度がないから……男女関係なく一番上がスペアを増やすから……そ、そうだわ!)
「え?わ、私?私ですか?え……ええと……男の子なんかいかがですかね?旦那様に良く似た男の子とか……」リベルナは一番上のアテナが奥様似だし……とそう言ってみた。
「そ、そうか?俺に似た……そうか、男か」
するとヴェルナーはものすごく嬉しそうにしたのでリベルナはホッと胸を撫で下ろす。
(よ……よかった。これが正解だったみたいです!)
「ふふ、男の子だといいですね」
「そ、そうだな!……いや、俺は本当にどちらでもいいんだが……女でも、男でも……き、きっとどちらもかわいいだろう」
「そうでございますね」
リベルナはハッと顔を上げると彼女にそう促す。
アテナはガサガサと封を開け……中から出てきた熊のぬいぐるみを見て動きを止めた。
「あ、あら……好みじゃなかったかしら?私の妹がアテナちゃん位だった頃ね?そういうぬいぐるみが好きだったから」リベルナは少し焦ったような口調で言った。
「妹……」アテナが顔をあげてリベルナを見た。
リベルナは嬉しくなってニコニコ笑いながら語りだす。
自慢していると思われるからあまり家族の話は控えていたけれど……
「私妹がいたんですの。でもうちの妹と型の合う聖職者様のお子様が心臓病にかかってしまったそうで……小さい頃に名誉聖職者になりました」リベルナはニッコリ笑ってそう言った。
「……え?あの……リベルナ様ご両親は……」
「両親は共に子どもを生み、育て終えましたから……スペア施設に収容されてこの前封書で『聖職者のお役に立つことができた』と報告が……大変名誉なことでございます」
それを聞いたアテナは顔を歪めるように笑うと「……とても可愛いです。ありがとうございます」とぬいぐるみに顔を埋める。
「あら、気に入ってくれてよかった」リベルナはホッと胸を撫で下ろした。「アテナちゃんクッキーは好きですか?食べたい種類はあります?全部?」
リベルナはテーブルにあるクッキーをアテナに勧める。
「お待たせ」
そうしているとお茶を手にやってきたヴェルナーが「そのぬいぐるみは彼女に?」と少し驚いた様子で言った。
「はい、とてもかわいらしかったのでアテナちゃんにピッタリだと思って……少し幼すぎるプレゼントでしたでしょうか?」リベルナはヴェルナーの準備を手伝いながら少し恥ずかしそうに言った。
「そんなことはないさ。なぁ、アテナ?」
ヴェルナーは少し誂うようにアテナに視線を送る。
アテナは少し不機嫌そうにヴェルナーを見た後「はい、とても嬉しいです。かわいい」とリベルナを見て言った。
リベルナはヴェルナーにアテナの正面を譲ると自分は隣に座る。「アテナちゃん、紅茶は飲めますか?砂糖はいります?」リベルナは砂糖のポットを手で指し示しながらニッコリ笑う。
「……あ、砂糖を少しだけ……ひとつ……」
「ふふ、はい、どうぞ」
アテナは小さな手で人差し指を立てると遠慮がちに言った。リベルナはその様子が可愛くて微笑む。
(かわいいわぁ……♡)
なんとなく気になって隣を見ると、ヴェルナーが見たことがない位目尻を下げてリベルナに微笑みかけてきた。
(やっぱり旦那様もご自身のお子さんは愛らしいのね)
リベルナもほっこりした気分でヴェルナーに微笑み返す。チクチクとした胸の痛みは気付かないふりをした。
(私とはあくまでも私の遺伝子を残すための結婚ですし……何よりも前世が悪いから多くを望んではいけないわ。それに……私との子どもはあくまでも聖職者様のスペア、こうして過ごす間もなく名誉聖職者になる可能性もあるのよね)
「とても楽しいお時間でした」
「いえいえこちらこそ……私あまり小さな子と過ごす機会がなかったのですが、とても楽しかったです。お邪魔いたしました」
リベルナはニコニコ笑いながらそう言って頭を下げると立ち上がり、退出した。親子水入らずの時間も必要だと思ったのだ。
いくらアテナが可愛いとは言え、リベルナは他人なのだから。
リベルナは少しウキウキとした気分で廊下を歩く。
でもなんとなく心の底で、自分の子はできなければいいな、とも思っていた。
(そんなことを考えるのは良くないことだとわかっているけど……)アテナの可愛らしい様子を見て……リベルナはますますそう感じてしまう。妹が名誉聖職者になったときも、誰にもバレないように泣いたものだ。
素直で可愛い妹だった。
リベルナはそんな妹を思い、涙が出そうになる。
(いいえ、あの子は聖職者様の心臓になれたのだから幸せなのよ。ああ、もしも私の前世が良ければ……私たちのルーツは貴族じゃなかったかしら)
リベルナは廊下で一人、自分を責めた。
「旦那様?もういいのですか?」
リベルナは部屋に戻るとすぐにやってきたヴェルナーを見て驚いた。(もう少しゆっくりお話をしていたらいいのに……)
「書庫に行く約束をしていただろう」
「私とならいつでも行けますから、後回しで結構でしたのに……」
「そんな訳はない」
ヴェルナーはリベルナの手をギュッ握ると目を見つめてニヤリと笑う。
「……そうでしょうか……」
リベルナは少し申し訳ない気分でそう呟くとヴェルナーが彼女の歩みを促す為に、そっと背中を押した。
「こ……子どもはかわいいものだな」
ヴェルナーがリベルナの手を握り締めながら言った。
「はい、そうですね。とてもかわいらしいですね」リベルナはアテナを思い浮かべて言った。
小さな手足を懸命に使い、大人と同じような動作をしているだけでもなんだか可愛らしい。
「……やはり生まれてくる子は女がいいだろうか……それとも男がいいか?」ヴェルナーは少し言いにくそうにそう言う。
(え?も……もしかして、私に次生まれてくる子の男女予測の話題を振ってきているのかしら……うーん………………どちらが、と他人の私が決めては失礼なのでは!?聖職者様には跡継ぎも必要でしょうし、でもアテナちゃんのような娘さんも可愛らしいし……)
「え……?ど、どうでしょう……」リベルナは考えた末曖昧な返事を返す。
「……い、いやぁ俺は正直どちらでもいいと思うんだが、妻はどう思っているのかなー?と」ヴェルナーは少し照れくさそうにそう言ったのだけど……リベルナは内心困り果てていた。
(私が答えていい話題なのかしら……男女どちらがいいかわからないわ……!ああ……ルーツが貴族だとあまり跡継ぎだとかの制度がないから……男女関係なく一番上がスペアを増やすから……そ、そうだわ!)
「え?わ、私?私ですか?え……ええと……男の子なんかいかがですかね?旦那様に良く似た男の子とか……」リベルナは一番上のアテナが奥様似だし……とそう言ってみた。
「そ、そうか?俺に似た……そうか、男か」
するとヴェルナーはものすごく嬉しそうにしたのでリベルナはホッと胸を撫で下ろす。
(よ……よかった。これが正解だったみたいです!)
「ふふ、男の子だといいですね」
「そ、そうだな!……いや、俺は本当にどちらでもいいんだが……女でも、男でも……き、きっとどちらもかわいいだろう」
「そうでございますね」
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