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「あの…馬でお出かけするのは難しいと思います…私…王様とお出かけしなければならないのなら…もう外出は諦めます。申し訳ございませんでした…」
私は自室の扉を叩いた王にドア越しにそう伝えた。
排卵が近いのだろうか…なんだか些細なことで欲情してしまう…
「そ…そうか…」
「せっかくご用意してくださったのに申し訳ございません」
私はそう告げるとリビングのソファに腰を掛ける。
不便な身体だわ…「はーぁ…」私は誰も見ていないことをいい事にズルズルとソファから滑り落ちる。
「お…おい…」
帰ったと思った王がまだいたようで扉越しに声を掛けられ、私は慌てて姿勢を正した。「……はい…」
王は小さな声で「な、なぁ…調子が悪いのか?お、俺が側に…いてやろうか…」と言った。
え!?本当に?でも…今側にいられると…襲ってしまうかも…もしできるなら男性器も挿入して欲しい…もしかしてそう言うこと!?ハァハァ…
「……」
「………………な、なーんてな…ははははは!冗談だ…冗談………すまん。一人の方がいいよな。ゆっくり休め」
えー!わ、私の心を弄ばないでくださいませ!
「お花キレイね」
「はい。そのお花は今が見ごろでございまして…」私は気分転換の為に庭を散策することにした。部屋にいると慰めてばかりいてしまうからだ。
気を性からそらそう…
ああ、もうお花の形さえ淫靡に見える…「今は受粉シーズンでありまして…自然に任せてもいいのですが…こうして雄しべと雌しべを…」庭師が懸命に説明をしてくれる…ああ!なんていやらしい…私はできなくて悩んでいるというのに…お花たちはこうして人に無理やり受粉をさせられて!!…くっ…なんていやらしいの!草花のくせに…!!
ああ…また陰核が…
私の雌しべにも誰か雄しべをくっつけてくれないかしら…
「う…ハァ…ハァ…」
「王妃様…苦しくなって参りましたか?」使用人が私の様子を察して顔を覗き込んできた。
「は…はい…排卵が近いのか…些細なことで興奮を…も…もうお医者様に鎮静剤を打ってもらおうかしら…」
「王妃様…!………それはいい考えかもしれませんね。ねえ、あなた…お医者様を…」使用人が私の背中を優しく擦りながら他の使用人にお医者様を呼ぶように頼んでくれている。
「それかお医者様が異国の方ならお医者様に男性器を挿し込んでいただこうかしら…」
「あーダメダメダメでございます!女医を呼びましょう女医を!」
「…ハァ…落ち着きました。医学の力は素晴らしいですね」
私はベッドの上で鎮静剤を打たれてホッと息を吐いた。女医さんは脈を確認しながら「……大丈夫なようでございますので…」と持参したカバンをパチパチと開けている。
その中から粒の入った小瓶を取り出すと「一日3回まで…6時間は間隔を開けて服用してください」とおっしゃいました。
手のひらにコロンとのせられたそれを眺めながら「これはなんですか?」と質問をする。
お菓子のようでかわいらしい。
「そちらは今打った鎮静剤の服用タイプでございます。注射より効果は薄いですが…症状が軽い状態で服用していただけば効果はあると思いますので…水なしで飲めるチュアブル錠になっております」
「チュアブル?」ああ!なんだかいやらしい響き!
………ああ!素晴らしい!!性欲のない生活…!私は鎮静剤の効果を感じ歓びに震えた。全てが純粋で美しいわ!
今までなんだかいやらしいと落ち着かなかったこの花瓶の首の部分も…!
カーテンのドレープ部分も!
今の私にとってはただの家具がちょっと卑猥に見える程度におさまっている!これはむしろ想像力がいいというポジティブな表現になりそうだわ!
私はベッドから立ち上がるとくるくるとダンスを踊る。
「王妃様…調子がお戻りになられたようで…うっ…よかった…」
「あ…泣かないで…」私は踊るのをやめてこの心優しき使用人の元へと駆け寄った。
彼女は私にいつも寄り添ってくれて…心配ばかりかけてしまっている。母ほどの年齢差の彼女の名前はイブだ。「お見苦しいところを…申し訳ございません…」イブは申し訳なさそうにエプロンで涙を拭っている。
「いいえ…いいえ…見苦しくなんかないわ…ありがとうイブ…」私はハンカチを出すとイブの目元をそっと押さえた。
「王妃、大丈夫か?」
しばらくすると肩を尖らせた王が心配そうな面持ちでやってきた。今は落ち着いているので部屋に通すとリビングのソファに座っていただいた。
「はい、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。鎮静剤なるものが有効で…よかったです」
「そ、そうか…」
「ふ…ふふふ…」肩を尖らせて心配そうにしている王の姿が面白い…「……楽しいか?王妃」
「ふふ、はい」面白い
「ははははは!そ…そうか!そうだな!ふ、二人でいると楽しいなはははははははは!」
「え?ふふふ…」
「はははははは…は…………あ、…な、なんだ…その…も、もっと二人の時間を作らぬか?あの…い、一緒にね、寝たりだとか…その…夫婦のように…」
「え…?ご冗談を」王は平気なのかしら…?好いてもいない妻と同じベッドで寝るなんて。
「……いや、本気でいっておる…」
だ、大丈夫かしら…襲ってしまわないかしら…!
それより何より!なぜ急に!?寝首をかかれるのでは!?
私は自室の扉を叩いた王にドア越しにそう伝えた。
排卵が近いのだろうか…なんだか些細なことで欲情してしまう…
「そ…そうか…」
「せっかくご用意してくださったのに申し訳ございません」
私はそう告げるとリビングのソファに腰を掛ける。
不便な身体だわ…「はーぁ…」私は誰も見ていないことをいい事にズルズルとソファから滑り落ちる。
「お…おい…」
帰ったと思った王がまだいたようで扉越しに声を掛けられ、私は慌てて姿勢を正した。「……はい…」
王は小さな声で「な、なぁ…調子が悪いのか?お、俺が側に…いてやろうか…」と言った。
え!?本当に?でも…今側にいられると…襲ってしまうかも…もしできるなら男性器も挿入して欲しい…もしかしてそう言うこと!?ハァハァ…
「……」
「………………な、なーんてな…ははははは!冗談だ…冗談………すまん。一人の方がいいよな。ゆっくり休め」
えー!わ、私の心を弄ばないでくださいませ!
「お花キレイね」
「はい。そのお花は今が見ごろでございまして…」私は気分転換の為に庭を散策することにした。部屋にいると慰めてばかりいてしまうからだ。
気を性からそらそう…
ああ、もうお花の形さえ淫靡に見える…「今は受粉シーズンでありまして…自然に任せてもいいのですが…こうして雄しべと雌しべを…」庭師が懸命に説明をしてくれる…ああ!なんていやらしい…私はできなくて悩んでいるというのに…お花たちはこうして人に無理やり受粉をさせられて!!…くっ…なんていやらしいの!草花のくせに…!!
ああ…また陰核が…
私の雌しべにも誰か雄しべをくっつけてくれないかしら…
「う…ハァ…ハァ…」
「王妃様…苦しくなって参りましたか?」使用人が私の様子を察して顔を覗き込んできた。
「は…はい…排卵が近いのか…些細なことで興奮を…も…もうお医者様に鎮静剤を打ってもらおうかしら…」
「王妃様…!………それはいい考えかもしれませんね。ねえ、あなた…お医者様を…」使用人が私の背中を優しく擦りながら他の使用人にお医者様を呼ぶように頼んでくれている。
「それかお医者様が異国の方ならお医者様に男性器を挿し込んでいただこうかしら…」
「あーダメダメダメでございます!女医を呼びましょう女医を!」
「…ハァ…落ち着きました。医学の力は素晴らしいですね」
私はベッドの上で鎮静剤を打たれてホッと息を吐いた。女医さんは脈を確認しながら「……大丈夫なようでございますので…」と持参したカバンをパチパチと開けている。
その中から粒の入った小瓶を取り出すと「一日3回まで…6時間は間隔を開けて服用してください」とおっしゃいました。
手のひらにコロンとのせられたそれを眺めながら「これはなんですか?」と質問をする。
お菓子のようでかわいらしい。
「そちらは今打った鎮静剤の服用タイプでございます。注射より効果は薄いですが…症状が軽い状態で服用していただけば効果はあると思いますので…水なしで飲めるチュアブル錠になっております」
「チュアブル?」ああ!なんだかいやらしい響き!
………ああ!素晴らしい!!性欲のない生活…!私は鎮静剤の効果を感じ歓びに震えた。全てが純粋で美しいわ!
今までなんだかいやらしいと落ち着かなかったこの花瓶の首の部分も…!
カーテンのドレープ部分も!
今の私にとってはただの家具がちょっと卑猥に見える程度におさまっている!これはむしろ想像力がいいというポジティブな表現になりそうだわ!
私はベッドから立ち上がるとくるくるとダンスを踊る。
「王妃様…調子がお戻りになられたようで…うっ…よかった…」
「あ…泣かないで…」私は踊るのをやめてこの心優しき使用人の元へと駆け寄った。
彼女は私にいつも寄り添ってくれて…心配ばかりかけてしまっている。母ほどの年齢差の彼女の名前はイブだ。「お見苦しいところを…申し訳ございません…」イブは申し訳なさそうにエプロンで涙を拭っている。
「いいえ…いいえ…見苦しくなんかないわ…ありがとうイブ…」私はハンカチを出すとイブの目元をそっと押さえた。
「王妃、大丈夫か?」
しばらくすると肩を尖らせた王が心配そうな面持ちでやってきた。今は落ち着いているので部屋に通すとリビングのソファに座っていただいた。
「はい、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。鎮静剤なるものが有効で…よかったです」
「そ、そうか…」
「ふ…ふふふ…」肩を尖らせて心配そうにしている王の姿が面白い…「……楽しいか?王妃」
「ふふ、はい」面白い
「ははははは!そ…そうか!そうだな!ふ、二人でいると楽しいなはははははははは!」
「え?ふふふ…」
「はははははは…は…………あ、…な、なんだ…その…も、もっと二人の時間を作らぬか?あの…い、一緒にね、寝たりだとか…その…夫婦のように…」
「え…?ご冗談を」王は平気なのかしら…?好いてもいない妻と同じベッドで寝るなんて。
「……いや、本気でいっておる…」
だ、大丈夫かしら…襲ってしまわないかしら…!
それより何より!なぜ急に!?寝首をかかれるのでは!?
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