神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~

波 七海

文字の大きさ
106 / 174
第四章 ヴィエナの狂信者

4-04 意思決定

しおりを挟む

 レヴィンが帰って次の日の朝、種族進化を果たした小鬼ゴブリン族は中鬼ホブゴブリン族になり、依然の貧弱ゥな体から逞しい肉体に変化していた。
 ガンジ・ダは朝一番に全員を広場に集合させ、そこで意思の決定を行うと宣言した。

 話は、移住反対派(と言っても昨日の時点で数人だけだが)を説得する方向で進んだ。狩りと採集から帰ってきてから種族進化を果たした者もほとんどが、移住に対して消極的賛成派であった。
 できる事なら、このまま精霊の森で暮らしたいが、人間と精霊エルフ族に目をつけられては討伐対象になる可能性が高いとの理由からである。
 反対派の若者は、早速人間に対する非難の声を上げる。

「力を得て解っただろう? この有り余るほどにみなぎる力を! 人間や精霊エルフ族はこのような力を持って俺達を滅ぼそうとしている。そして俺達は対抗する力を得た!」

「ゴルゴフ、力はついても知性はちっとも得られなかったようね。あなたはその力を人間からもらったのよ! あなたの言っている事は支離滅裂だわ!」

 メリッサがその若者――ゴルゴフという――を激しく非難する。
 すると、ゴルゴフは、怒りを爆発させ、さらに激高していく。

「人間が人間の都合で力を与えたに過ぎないッ! あいつだって今は見せかけだけ仲良くしているだけだッ! お前達は騙されているんだッ!」

「何が騙されているだ。お前はいったい何と戦っているんだ?」

「人間と戦うんだッ! これからなッ!」

「人間とは争わない。お前の気持ちはよく解る。お前はかつての俺だ。憎しみに支配されてしまっているんだ」

 ジグド・ダはかつての自分と重ねているのだろう。
 なんとかゴルゴフをなだめようとしている。

「そんな……。かつての将軍様なら人間を憎んでいたはずッ! どうしてそんなに腑抜けになられたッ!」

「レヴィン殿は我等を滅亡の危機から救ってくれたのだぞ? 豚人オークとの争いを忘れたのか?」

「ただで助けてくれるなんて有り得ないッ! あの人間が裏で何か企んでいるんだッ!」

「お前は何も解っていない。あの絶望的な戦力差を一人でひっくり返したんだぞ。例え何か裏で考えていたとしても中々できる事ではない」

 ジグド・ダは攻撃的なゴルゴフに対しても冷静に対処していた。以前の姿からは考えられない事である。
 そこへ、長老のガンジ・ダがふぅっとため息を吐いて呆れたように話す。

「何か企むじゃと? 以前の儂等に一体何の価値があったと言うのか。みすぼらしいあの我々の姿を一晩寝て忘れてしまったのか?」

「長老ッ! あなたまで我々を卑下するのですかッ!? それもこれも皆、あのレヴィンとか言う人間のせいだッ!」

「レヴィンの事を悪く言うのは許さない……。彼には三つの恩がある。豚人オークの件、種族進化の件、そして今回の攻撃的な精霊族の件……つまり移住の件だ。我々はまだ何も返せていない……」

 いつもは無口はジェダまでもが、憤っている。彼もレヴィンの事を悪く言われるのは気分が悪いようだ。
 そこに司祭ズの一人が、ゴルゴフをかばって、口元に嫌らしい笑みを浮かべて言った。

「しかし、彼の言う事にも一理あります。戦いになっても勝てはせずとも負けもしないように思いますが……」

「確かに人間と争いになったとしても、以前のように、ただではやられまい。しかし、人間の一人や二人倒したところでそれがどうしたと言うのだ? お主はこの部族を滅ぼしたいのか?」

「そ、そんな事が……。我々が滅びるなんて有り得ませぬ!」

 彼は長老の後釜を狙っているのであった。
 レヴィンと誼を通じた長老の言う事を支持したくない思いが彼の認識を甘くさせる。

「ゴルゴフを一方的に排斥しようと言うのは感心致しませんな」

「誰がいつ一方的に排斥したのじゃ? ゴルゴフこそ一方的な意見を押し付けようとして、儂等の意見を排斥しようとしているのではないのか? 儂は、長老として、個より集団を護る事を優先する」

 ガンジ・ダの宣言がトドメとなった。
 ゴルゴフは完全に沈黙し、司祭ズの一人――ジルバ・ドと言う――は大いに株を下げた。その他の若者も威勢を失っている。元々ゴルゴフとよくつるんでいただけの者だったので致し方ない事かも知れない。

 こうして、小鬼ゴブリン族、もとい中鬼ホブゴブリン族のナミディアへの移住が決定した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

処理中です...