神様の願いを叶えて世界最強!! ~職業無職を極めて天下無双する~

波 七海

文字の大きさ
107 / 174
第四章 ヴィエナの狂信者

4-05 相談事

しおりを挟む

 学校で新しい魔法を覚えて喜びに満ち溢れているレヴィンである。
 今日は、以前からベネディクトに頼んでいたマッカーシー卿との会談の日であった。会談と言っても堅苦しいものではなく、領都ナミディアの建造や中鬼ホブゴブリン族の移住についての相談と言った方が良いかも知れない。

 マッカーシー家の馬車がレヴィン宅の前に停車する。
 今日は野次馬がいない。周辺住民は、もう慣れたのだろうか。
 いざ乗り込もうとした時、横手から声がかかった。
 アリシアである。

「レヴィン、貴族街に行くの?」

「うん。マッカーシー卿に相談事があってね」

「そうなんだ? 今日はお茶会じゃないんだね」

「うん。そう思っていたんだけど、お茶会っぽくなるかも……」

 レヴィンは言葉を濁した。
 馬車の中にベネディクトとクラリスの姿を確認したからだ。
 馬車の入り口からベネディクトがアリシアに顔を見せる。

「やぁ、アリシアさん。ちょっとレヴィンを借りていくよ」

「え……そんなのいいよ。べ、別にあたしのものじゃないんだからねッ!」

 最近ちょっとツンを覚えたアリシアであった。

「じゃあ、ちょっと行ってくるね」

 そう言うとレヴィンはアリシアに別れを告げ、馬車に乗り込んだ。

「しかし、何で君達がいんの?」

「それは心外だな。相談事があるなら僕も話を聞かなきゃなと思ってね」

「わたくしもお兄様に同じですわ」

「まぁいいけどさ……」

 こいつら俺の事好き過ぎだろと心の中で突っ込むレヴィン。
 馬車に揺られること、小一時間。
 王都の中の城壁を抜けて、王城近くのマッカーシー家までは意外と時間がかかるのだ。

 邸宅に到着すると、一人の従者らしき青年が出迎えてくれた。
 ずっと待っていたのだろうか?
 貴族の家来も大変そうだとレヴィンは少し同情した。
 青年に応接室へと通される。
 部屋のソファーに当然のように腰を下ろすベネディクトとクラリス。
 レヴィンはマッカーシー卿が座るであろう席の前へと腰かける。
 レヴィンから見て右側にベネディクトが、左側にクラリスがいる形だ。
 執事のアルフレッドが紅茶とお茶請けを持ってくる。
 そこへマッカーシー卿が足早に部屋に入ってくる。

「すまんな。待ったかな?」

 相変わらず、貴族らしからぬ謙虚な姿勢は尊敬すべきところだ。
 レヴィンが「いえ、大丈夫です」と返事をすると、彼の向かいのソファーに座る。アルフレッドはお茶を入れた後、マッカーシー卿の後ろに立ったまま控えている。

「本日は、貴重な時間を割いて頂きありがとうございます。領地の開拓村についてご相談と進捗確認がしたいです」

「堅苦しい挨拶はいらんよ。気軽な感じで話してくれればよい」

「解りました。領都の場所については、エクス公国に赴いた時に、おおよその見当をつけてあるんですが、出発はいつ頃になるんでしょう? 僕としても学生なので春休み頃かなと思っているんですけど……」

「うむ。私も春休みに合わせて段取りをしている。最初の派遣は三百人規模程度になるだろう。農民や建築技師、警備兵が主だな。後は測量士などの技術者などだ。もちろん、その後も第二、第三の開拓団が続く事になるだろう」

「最初は食糧調達などはどうしたら良いでしょうか?」

「商人には声をかけてある。古代遺跡に行った事があるそうだな? あそこと同じような感じになると思ってくれて構わない」

 古代遺跡には、たくさんの屋台や商人が食べ物や日用品を売りに来ていたことをレヴィンは思い出す。
 確か、ウェリタスと言う名前がつけられたはずである。

「最初から複数の拠点を作っても良いものでしょうか? 領都と村ですね」

「ん? いきなり領都以外の村も作るのかね? 人員は回せないと思うのだが?」

「ええ、そちらには小鬼ゴブリン族を住まわせようと思っています。大体八十人くらいだと思います」

「ご、小鬼ゴブリン族!?」

 流石にこの提案は予想外だったのか、マッカーシー卿もベネディクトもクラリスも驚いている。
 マッカーシー卿はレヴィンが小鬼ゴブリン族とつるんでいる事は知っているはずなのに、それほど驚く事だろうかとレヴィンは思う。

小鬼ゴブリン族とな? 君が交流を持っている部族かね?」

「そうです。王都の冒険者ギルド副マスターの精霊エルフ族に目をつけられたようで、精霊の森から移住させようと思いまして……」

「お父様? 何普通に話を進めておりますの? 交流ってなんなのです?」

 クラリスがたまらず声を上げた。
 ベネディクトの方も同じように疑問に頭の中が支配されている感じである。

「ああ、レヴィン殿は精霊の森の小鬼ゴブリン族と以前から仲良くしておってな。その事だろう」

「はい。もうあちらにも移住の話はしてあるので、おそらく問題ないと思いますが、小鬼ゴブリン族は人間からしたら脅威に思われますかね?」

「そうだな。基本魔物は好かれてはおらんだろう。小鬼ゴブリン族は脅威度こそ低いが魔物であることに変わりはないからな」

「もちろん、カルマや近隣の冒険者ギルドに話を通しておこうと思います。最初は人間と離れて暮らさせて、仲良くなれたら領都の規模を大きくしていって一緒に住まわせるのがいいですね」

「そこまで考えているのなら、私は何も言わんが……。私からもギルドに口添えしておこう」

「レヴィン、君のする事だからもう何も驚かないと思ってたけど、まさか魔物と仲良くしているなんて……」

 ベネディクトが沈痛な面持ちで額に手を当てながらそう言った。

「マッカーシー卿は以前からご存知でしたよね?」

「ああ、知っていたぞ。後、マッカーシー卿などと……是非クライヴと呼んでくれ給え。」

「解りました。クライヴ様、彼等には獣狩りと農耕をさせようと思っています」

 レヴィンはあっさりと呼び方を変えた。別に呼び方にこだわりはない。

「狩りはともかく、小鬼ゴブリン族に農耕など可能なのか?」

「やってみないと僕にも解りません。ですが、試してみる価値はあります」

「その小鬼ゴブリン族と言うのはレヴィン様のご家来衆ですの?」

「家来じゃないかな。いや、領内に住まわせるんだから、支配することになるのか? まぁ友達みたいなもんだよ」

「すごいですわ! 魔物とまで仲良くするなんて聞いた事がございませんわ!」

 クラリスが憧憬の眼差しでレヴィンを見つめてくる。
 レヴィンはこの娘も偏見とかなさそうだな、とクラリスの評価を上げる。
 いや変に染まってないだけか、とも思ったのであるが。

「多分だけど、精霊の森に住んでいたからじゃないかな? 他の小鬼ゴブリン族は人間を嫌悪して話にならなかったしね。もちろん、豚人オークオーガなんかも好戦的で話を聞いてくれなかったよ」

「旅の途中で魔物にやたらと声をかけていたのは、そういう訳か」

 ベネディクトは合点がいったと膝を打つ。

「そうだね。それで、農耕に必要な農具を手配したいのですが、どうしたら良いのでしょうか?」

「君も御用商人を持った方がいいかも知れんな。いずれ商人らとの顔つなぎの場も用意しよう。農具は私が手配しておく」

 レヴィンは特定の商人だけを優遇するつもりはなかったが一応考えてみる事にした。

「よろしくお願いします」

「社交界にレヴィンがデビューするのか。これは面白いな」

 横でベネディクトが嬉しそうにしている。

「まぁ! わたくしがダンスのお相手を致しますわ!」

「ダンスなんてやった事がないから助かるよ。よろしくクラリス」

「わたくしにお任せください!」

 その後も、領都と開拓村の件で詳細を詰め、夕食までごちそうになった。
 テーブルマナーに慣れているなと変な勘繰りをされそうになったが、適当にごまかしておいた。
 貴族の正装の手配もお願いする事になった。
 以前より身長が伸びたレヴィンである。採寸もしてもらう。

 最後に、領都の名前を決めたのかと聞かれたため、ドヤ顔で言ってやった。

「ナミディアです。理想郷と言う意味さ」
 
 と。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

処理中です...