ゲームの世界はどこいった?

水場奨

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小さな幸せを sideリグリアン

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リクエストにお応えして、リグリアンと兄上のむふふをお届けいたします。
悪役感を出したままのエロとか、高貴な身分の方の品位あるどエロとか、難しすぐる……
エロの語彙力ってどこかに落ちてませんかね。

まあ、そんな仕上がりにしかなりませんでしたが、どうぞよろしくお願いいたしまする。

ーーーーーーーーーー



いくつかの文献を机に広げ、そこから必要な要素だけを抜き出していく。全ての文献が異なる言語で書かれていても、それで作業が滞ることなどない。

リグリアンは自力で生活できるようになると、短期間で第一等の国家資格を取り、今は名の通った研究者となっていた。
現在は自身の希望を叶えるために、ナローエから魔術語を教わっているところだ。

リグリアンはふと気配を感じて手を止めた。

「やあ、よく来てくれたね」
彼らはリグリアンの作業を邪魔しないために、気を使ってすぐには顔を出さないからリグリアンから声をかけることになる。

『△□☆$%○』
ひょこりとくうから顔を出したのは、今やリグリアンの生きる意味となっているセイとハクだ。
彼らのためにできることがあるうちは、リグリアンは生きていてもいいのだ。

「ああ、王太子殿下からの手紙かい?ありがとう」
『○☆€〆%』

リグリアンにとって、セイとハクの言葉を理解することは不可能なことではあるのだが、是なのか否なのか、惜しいが異なるのか、その程度であるのならば意思疎通ができるようになっていた。

セイとハクの前で手紙を開けると、リグリアンの目が見開かれる。
『△□〆◆○?』
動きの止まったリグリアンを心配する様に顔を寄せたセイに、リグリアンが我に還った。

「いや、大丈夫だよ。ありがとう。けれど、これは……すぐに返事ができそうにないから、そうだな。3日後、また来てくれるかい?」

『◆☆£!』

「あ、ああ、そうだ!セイ殿、ハク殿、この前言っていた苗木が用意できたんだ。持って帰ってくれるかな」

『♡○!』

「ははは、喜んでもらえてよかった」
リグリアンの瞳には、喜ぶセイと、心配そうに自分を見つめるハクの顔が映っていた。





殿下からの手紙だと思って封を開ければ、それは陛下からのものであった。
何度も読み返し、どう答えたものかと顔を覆う。

そして、自分がなぜ武の道に進もうと思ったのか、その出来事に想いを馳せた。
兄上に勝てるものを求めて武の道へ進んだが、やはり自分には武よりも学だったと思う。
ナローエ殿があれほどの体格でありながら次々と武勲を上げるのと同様、自分にはこちらが向いていたのだろう。

良い師を与えられれば、通常では考えられない程の飲み込みの良さに、周りからは憐憫の眼差しを受けることとなった。
初めから俺の環境がこのようであったのならば、今とは違う自分でいられたのだろうか。

それは、何度も繰り返し去来する、虚しい夢だ。
『もし』なんて、何も意味などないものを。

あの頃、兄上と向き合わなかったのは俺なのに。
誠心誠意頼み込んでいたならば、きっと兄上は折れたことだろう。
『良い師をつけて欲しい』
『兄上のようになりたい』
そう、言葉にしてもこなかった癖に、時折全てを兄上のせいにして、今いる立ち位置から逃げたくなるのだ。

けれど、罠をかける者よりも、罠にかかる者の方が愚かだと自分は知っている。





「どうしたリグリアン。浮かない顔をして、具合でも悪いのか?」
「いえ」

側仕えの手を借り食事と湯浴みを終える頃になると、兄上が帰ってくる。
どれほど忙しくとも、英気を養うために俺と共寝をしたいのだそうだ。

「これは?」
「兄上!いくら兄上でも、人の手紙を読むのは礼儀に反しています」
迂闊だった。
物思いに耽り過ぎて、片付け忘れるとは。

慌てて取り返そうとしたが、兄上が読み切る方が早かった。
俺の寿命を心配したその手紙には、ハクの治療を受けるよう言葉が綴られているのだ。

「リグリアン」

なぜ、治療を拒むのか。
多くの人から問われる疑問。

そんなこと、簡単に言葉にできるものか。

あの頃の己の未熟さが、思い上がりが、どれほど恥ずかしいのか。
その、どう悔いればいいのかわからぬ程の愚かさが、どれほど今も自分の胸を締め付けるのか。

自分がこんな自分になったことを、認めたくない。
誰かのせいにして、楽になりたい気持ちは、ある。
自分のことを誰も知らない場所へ行って、やり直せたらとも思う。

けれど、こんなことになって、誰を、何を恨めばいいというのだ。
俺以外に、誰も。兄上も、悪くはない。
全部、自分で選択してやってきた結果だと、理解しているのだ。

「リグリアン、お前が望むなら、今ここで終えてもいいのだ」
「兄上?」
その目は、机上のインク瓶の横にある小さな飾り壺に向けられていた。

兄上は、知っているのだ。

「だが約束してほしい。必ず、私のいる時にすると」
「兄上」
あたたかい手が、俺の頭を包み込む。
「それは、約束、できません」

優しく背を撫でていた手が、グッと強く回された。
そのまま抱き上げられ寝台に横たえられると、額に口付けが降ってきた。
真剣な目は、俺を捉えたままだ。

「陛下はもうお年だ。優柔不断なお優しい陛下には私のことが必要であっただろうが、じきに王太子殿下が即位されれば、私は不要の人材となる」
兄上?

「だが、お前には最後まで必要とされていたい。リグリアン、お前から不要だとそんな現実を叩きつけられるくらいなら、今このまま、リグリアンから必要とされているまま……共に眠りにつくのも悪くない」

「兄上」

なぜ、兄上がそれを言うんだ。

「それは、俺の言葉ですよ。兄上は心変わりなどしないと言ってくれるけど、そんなことあり得ないと知っています」

いいのは家格だけで、性根は腐っている。
今は辛うじて維持している容姿も、衰えは弱った俺の方が兄上よりも早いだろう。
もう今ですら充分惨めだ。
それなのに、これ以上の状態に耐えられるわけがない。

俺は、こんなにも、弱くて身勝手だ。
それを思い返すたびに、何度も無力感に苛まれるのも、もう辛いのだ。

「兄上の中で、綺麗な思い出として残れるうちに、俺は逝きたい」
「私が、リグリアンのことを心変わりする日など、決して来ないよ。どんなお前でも愛しているんだ」

その言葉がふいに、とてつもなく胸をうって、涙が溢れ落ちた。
慌てて腕で隠そうとして、それを掬う唇に阻まれる。

「なあ、リグリアン。本当に愚かなのは私で、お前ではないんだよ。……それでもお前が、それを頑なに認めないのならば、それでもいいんだ。でも知っていて欲しい」
静かな兄上の声が、少しだけ震えていた。

「私は、リグリアンが辛いなら、共にこの世を捨てて構わないと思うほどに、愛しているということを」

溢れる涙をそのままに、俺は小さく頷いた。

「私の全てはリグリアンに捧げている」
その言葉にも頷く。

「兄上は、どんな俺でも、受け入れて、くれるんだな?」
この世界は俺を拒むのに。
「もちろんだよ」

その兄上の一言で、急に思い出した。
そういえば、ナローエ殿に不思議なことを言われたことがある、と。

『僕もリグリアン様と同じ側あくやくの人間だから、貴方にも幸せを掴み取って欲しいんですよ』と。
あれはどういう意味だったのだろう。
彼にも『世界に拒まれている』と思える、そんな経験があるのだろうか。

1番俺を恨んでいてもおかしくない彼からの『幸せを掴んで欲しい』なんていう、言葉。

あの時は全く理解もできなくて、何も響かなかった。
でも、なんだろう。
今日は、その言葉が沁みてくる。

「幸せに、なっても、いいのかなあ」
こんな、俺でも、許されるのだろうか。

「リグリアン?」
「んん、なんでもないよ」
「やっと笑ったな」

「ねえ、兄上」
「なんだ?」
「ハク殿の治療は、受けたくない」
そこまでの資格は、俺にはない。
けれどそれの意味することは、俺と最後を共にしたいと願う、兄上も巻き込むことになるのだ。
だからこそ、陛下までもが気にかけることになっている。

「それを、リグリアンが後ろめたく思うことなど何もない」
うん、ごめん、兄上。
兄上なら、そう言ってくれると思っていた。
そっと机上に視線を上げる。

「……アレを使うことはないと思うけど、今、許されている形のまま、それで生きられるだけを精一杯、そのくらいなら」
掴んでもいいだろうか。
その、小さな幸せくらいなら、俺でも。

「それでいい。お前がそれを、望むのならば」
兄上が俺に持っているであろう、罪の意識。
その上に成り立つ己の我儘を、望んでも。

「兄上、ずっと、側にいて」
俺を、選び続けて欲しい。





「あっ!」
満足に、思い通りに動きもしない不良品の身体に、何度も落とされる口付け。
明日も仕事はあるのに、どれほど時間がかかろうとも前戯に手抜きはできないらしい。

「あ、あぁ……」

完全に俺から余計な力が抜けるまで、羞恥よりも心地よさが勝てるまで、どんなに懇願しても終わらない。
俺にほんの少しの負担があってもならないと、閨のための薬は最小限で、あとは兄上の指や舌だけが、そこを慣らすために動くのだ。

時折品のない音がして、兄上の舌が這い回る場所からもどかしい疼きが上ってきた。

トクリと脈を打つように、迫り上がるもどかしさが、立ち上がったソレの付け根を何度も震わす。

イキ過ぎるのも負担がかかるからと、触れてもらえないソレは天を向いていて、少しずつ欲を吐き出すしかないソコを……強く触って欲しい。

こうなると、もう、ダメだ。

「あ、兄上、もう」

舐めて。

全部兄上の口で、乱暴に咥えられたい。

でも、兄上ので、中をかき混ぜても、もらいたい。

「あぁ、兄上、は、ぁ」

「やっと理性が飛んだね、リグリアン。腰が揺れて……ああ、淫靡だ」

「もっ、と」

「もっと、な。私の前だけで見せる、リグリアンの痴態……はぁ。お前の陰茎からだらだらと、垂れているよ。そんなに、私が、欲しいのか?」

「ん、そう、だから、動い、て」

もっと中、そこっ!
もっと、そこ、押して!
兄上ので強く、して!

「あぁ、そんなにしたら、手加減できない、から」
手加減なんて、されたくない。

腰を揺らして、中を押し出すようにして動かせば、兄上が一瞬何かを耐えるように息をつめた。

そして

「あ、あ、あ、ぁぁぁあっああ!」

激しく打ち付けられるソレが、長いストロークで引きずり出されては押し込まれるソレが

「いい、いぃぃ!」

「リグリアン、愛しているっ、中に」

「出してっ」





リグリアンの葛藤も苦しみも知りながら、それでもそれを嬉しく思う。
狂っているのは私なのだ。

リグリアンがもがけばもがくほど、ハマればハマるほど、この胸に訪れる、昏い安堵。
私を頼るしかないリグリアンの、私が望んだ未来いま



リグリアンの身体に負担とならぬよう、身を清めるためにポカリと開いたままのソコに指を潜ませれば、まるで私の心の澱みのようなソレが、ドロリと流れ落ちた。

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