アニンバイツ

飲杉田楽

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第1章 メリュジーヌ本部脱出編

4.謎

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誂   が社長を務める 製薬会社
【メリュジーヌ社】からの情報提供で 
初めて見えたその存在。   

まさか、トレーダー社が
その学園の存在を 認識さえも
出来ていない事に 勝呂は  
力不足を感じた。

そして、
それと同時に違和感を覚え始めた。
いくら  
この太陽国から存在が
もみ消されているとは言え、
地上に存在する その学園を
そこまで極秘に
隔離出来るものだろうか、、


メリュジーヌ社は 
世界展開している製薬会社だ。    
今まで絶対に治療不可能とされて来た
感染症の 抗ウイルス薬を 
安価で提供するという
前代未聞の行動に出た  。

その会社は立ち上げから僅か 
5年で急成長を経た。


勝呂は歩きながらそんな
歴史の背景を思い出していた。

『どうしたんですかあ~?
怖い顔して~?』
柔かな笑顔を向ける 神奈。    


『なんでもねえよ、  お前が1番思い出したくないことだしよ』
胡乱な目で勝呂を見据える
神奈の顔は少し強張っていた、が、
急に 何があったのか口角を上にあげた 

『やめてくださいよ~そうやって いじめるのは~私だって気にしてるんですよ~ 発育の良さが原因で周りの目がすごくいやらしいことに~ 特に  
鞍馬さん   酷いもんな~ 』
自らの胸を両腕で押し上げ
見せつける神奈。

それに対し 勝呂は  後ずさりする。
『や、っやめろってば!  そういうことすっからそーゆー目で見られんだろ! てか露出度高いんだっつーの! あと、俺はお前みたいなガキに興味はない』
勝呂はきっぱり  
神奈の挑発を打ち切った 


が、、 次の瞬間 神奈の手が  左肩に食い込んだ  ギリギリと  力が増していく。
勝呂は  痛みを感じた。


やばい、、まさか怒った?!
その手を払いのけ間合いを取ったが 
気づいた時には
神奈の髪が目の前にあった。
『なっ!   なんだよ!  神奈?!』

スグロの視界に映ったのは  
うるうると揺れ動く 滲んだ瞳だった。
神奈の目からは涙がこぼれ落ちており
綺麗な 肌を涙が濡らしていた。

あまりにも突然の 号泣に、 
さすがの勝呂も慌てる

『酷いですよぉ~、、先輩、、ガキはいいでしゅけど、 興味にゃいって、、うぇえええん
ぐすん、、 酷しゅぎますよぉおお~』

まるで子供のように泣きわめく 
神奈を見て
勝呂は頭をかきむしった

またやってしまった、、勝呂はそんな 
自分を責めながらため息を吐いた。
『あぁぁあ! もうわかった  悪かった
おまえには魅力がある。  
それは確かだ!
だがな、  そんなにアピールしてる後輩は興味ないのは確かだ。 
俺は、そうだな、  こう、いつもは清楚なのにたまに大胆な子とか、
結構興味あるけどな~』

我ながら良いことを言ったと 勝呂は自分を心の中で称賛しながら  泣いている神奈を抱き寄せた

そして  横目でチラリと見る。
神奈は泣き止んでいた。
ホッとした勝呂は  その体勢のまま壁によりかかり溜息を吐いた。

しかし、 そんな安心感も
つかの間だった
『先輩は  私の魅力にタジタジで  
その結果さっきの暴言を吐いたんですね  納得です
実際傷ついて死のうかと思いましたけど先輩にそこまで言わせるほど  私の体っていけないんですね、  
罪な女だなあ~あちゃあ~』

何秒か前まで目の周りが赤く腫れ上がってしまうのではないかというくらい涙が流していた人間は  今となっては  勝呂の言葉を逆手にとって
挑発行動を開始する悪魔と化していた

勝呂は  額に手をやり   
またため息をついた


『勘弁してくれよ、、俺はまたこいつの術中に嵌ったってわけか、、』
神奈は  涙が拭きながら   微笑んだ

少しばかり  紅くそまった上頬と 
若干潤んだ瞳が  
勝呂の理性をかき乱そうとする。

やばい、、  誰もいない、、
この廊下で、
これは、、   

勝呂が段々  いけない方向に足を踏み入れようとしている  その時だった



携帯型連絡電話
linqpph (リンクフ)が鳴った

少しばかり ムードを
ぶち壊されたと感じた
神奈は  チッと舌打ちをし、  
勝呂から離れ
リンクフの液晶画面で髪型を整える



勝呂はリンクフを
ポケットから出し電話に出た
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