アニンバイツ

第2章 邑楽支部編

13.師匠と弟子

なんとも  挑発的な眼光が神奈を貫くが、
神奈も負けてはいなかった
『なんですか？   てか、  ライフルなんて武装しちゃって  あなた必要無いでしょうに？
てか挨拶がそれですか？  相変わらず頭悪いんですね   おばさん』
神奈は24歳で  勝呂のだ３つ下に当たる後輩で、  酢漿草も また、  神奈の２つ上の
26歳だった。  のだが、 その会話を耳に挟みながらさっさと  招集会がら終わらないかとイライラしていた  勝呂にとって
自分の１つ下にあたる酢漿草が  おばさん呼ばわりされていることに少しショックを受けていた。


酢漿草が  おばさん  ということはその１つ年上に当たる自分もまたおじさん  なのではと
後輩の一言にものすごいダメージを食らう。

そんな勝呂の顔を、見て爆笑する男がいた、


金髪の  尖った髪は風に吹かれても微動だにせず、  ワックスで塗り固めていることを強調しているかのように思える。

そして  その金髪と  チャラついた格好からは予想もつかない歳の  青年のような顔つき。




勝呂はその男の笑い声に反応した。
そしてすぐにそれが  自分の師匠でもある
稲村  安楽城  (イナムラ  アラキ)だと判り
仰天する





『しっ、師匠？！   なぜここに！？』
驚きを隠せないという顔をする勝呂を
葉巻に日をつけながら見据えて  稲村は
話し始めた

『気づくのが遅いにも程があるじゃねえか
おらぁ、命の恩人だぜ？  』
上下スウェットという  ラフ過ぎるスタイルは昔から変わっていない。
そして、  上着の  ジッパーはヘソが露出するまで開けており  だらし無さが強調されるが
その下から覗く  鍛え抜かれた肉体に 誰もが驚くのが  いつものパターンというやつだ
実際、  勝呂も  そのだらしない上着の下に見える傷だらけの勇ましい肉体を見て  男として
嫉妬を覚える程だ。

『あの、師匠も  今回の招集に  呼ばれたんすか？』
自然な口調で勝呂が喋りかけられる人間も限られたもので  その一人が  師匠の稲村だった

稲村は葉巻をくわえながら  金髪の髪を片手で手ぐししながら  答える

『いや、  最近働いてねーから金なくて稼ぎに来たまでだぜ？   おまえも今のうちに稼いどけ、  後悔すっからよ』
自慢げに話す 稲村  の顔は  若々しく、
大学生くらいに  見えるが、  それは違う
大間違いというやつだろう  
その爽やか格好から  勇ましい目つきからしてイケメンという単語が似合う彼だが
実際は  50を超える 高齢者である。



そして、10年前  行く当てもなく  再構築者に身分を迫害されるところだった  勝呂を
この仕事に呼んで助けた  命の恩人こそ、
そんな  青年のような風貌をした 叔父さんである  稲村だった。

そして、なにより、 今のクラックマンの異名が付いたのも 稲村あっての事である。
クラックマンとして  というより、
アニンバイツの能力を得たのは  勝呂が14歳の頃だった。