異世界でもぐもぐしよ?

飲杉田楽

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23.湯けむりオブザデッド②

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『料理出現! 料理名は…ハヤシライス』

どこからともなくアナウンスが鳴り響く。
湯けむりが踊る中、御子は腰にタオルを巻いて半裸状態で湯の中、構えをする。

臨戦態勢。    というやつだ
御子はアナウンスを聴いてすぐさま理解できた。
なんのことを言っているのか、どういう意味なのか、その料理がどこにあるのか…
一目瞭然だった。
この世界は食べ物が擬人化していて当たり前。
目の前にいる 女体にトナカイの顔がくっついた化け物以外、その名前が似合うものなんていなかった。
とはいえど どう見てもそれが料理名のとおりの姿、イメージかと問われればそれは明らかに否定の対象になるわけであるが…


のぼせてきた。 熱い…いや暑い
視界が歪んできた
てか、でけえよおい…
御子は必死に頭の中で独り言をぶつぶつと呟く。
そうしていないと気を失ってしまいそうになるからだ。

なによりも  すでに体力消費を抑えられていない。

時間が経過するごとに水分が失われていくこの極悪環境の中で
先ほどからハヤシライスと命名された謎の怪物の素早い打撃から逃走し続けているからだ。

『おい!  なんで私を攻撃するんだ!私が君を食べようとしたか?』
御子の問いかけに全く口を開こうとはしないハヤシライス。

ハヤシライスという名前とは全く関係のないビジュアルとその名すらかすれそうな圧倒的な威圧感と存在感が御子の不安と恐怖を掻き立てては増やしていく。

『くそ、、う!水さえあれば…う、、 やばい喉が…渇いて。』

御子が枯渇した喉を撫でようとした時、ハヤシライスの大ぶりの拳が御子の脇腹へ注ぎ込まれた。



パツンッ!という肉が擦り切れて破裂を2度3度繰り返したかのような音が空気中にこだまし、
その音がしてから4秒後、御子の身体は宙を舞って湯の中へぼとりと落下した
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