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Stage2 男は女に弱い!弱すぎる!でもそれでいい!
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白色を中心とした部屋にピンク色の紙が貼られており、【CDデビュー1周年記念&歩美と千尋の歓迎会!】とふわふわとして可愛くても大きく描かれている。
「ええーーでは、歩美と千尋のメンバー入りを祝って乾杯!!」
リーダーの音頭にみんなで唱和し歓迎会が始まった。
始まって早々に部屋の片隅でレズと名高い茶髪の平野先輩がバイセクシュアルな黒髪ぱっつんの先輩を拱き始めていた。
「千尋ちゃーん、今日の公演どうだった?」
最初に話しかけてくれたのはやはりリーダーの丸岡氷見子先輩だった。
身長は俺より低く胸ほどの高さだ。髪の毛にクセがあっておでこの所で左右に分けた髪が交差しているのが彼女らしい所だ。ワイルドにホットパンツにパステルイエローのTシャツ姿でスイートでアクティブだ。
「ライトが熱かったですね」
はにかみながらそう言った。
「でしょぉー」
先輩は両手人差し指を俺にビシッと向けた。
「でも凄いですよね、このグループ。1年目でオリコンだなんて」
横から割り込むように話を入れてきたのは歩美だった。
「凄いだなんて、全然だよ。うちらはタイミングが良かっただけ。そうじゃなきゃデビュー曲でオリコンチャート3週連続なんて取れないよ。それに、次世代の歩美達にはすぐに越されそうだなぁ」
先輩達は話が通じているが俺にはよく分からなかった。もちろん、俺が全く外の世界を見てこなかったからだ。
「いや、凄いですよ。グループデビュー1年目の今月にもう東京ドームだなんて前代未聞じゃないですか?」
歩美は落ち着いた口調でそう言った。でも、若干興奮が漏れている。
「でも、そんなこと言ったら君たちだったグループ入って1年で東京ドームだよ。私たちはここまで来るのに2年かかってるんだ。君らの方が凄いさ」
なんとなく、感じていたがこのままだと褒め合うことのキャッチボールが続いて終わりそうにないので、俺は別の人と絡むことにした。
そうして部屋の中をぐるっと見回した。
視界の右端でセクハラごっこが続いていて、自分達のテーブルを挟んで反対側に脱がないタイプの野球拳をしている先輩やポッキーゲームをしている先輩がいた。
そのメンバーの中に長身が一際目立つ先輩がいる。ステージ上とは違い木目フレームの眼鏡をかけている花畠友佳先輩。ツヤの効いた髪はポニーテールで残った触角が眼鏡と柔肌の間で先輩の動きに合わせて揺れている。
友佳先輩はファンの間で『白い悪魔』と呼ばれているそうだ。その名前の由来はふとした時に見せる笑顔だった。その笑顔に人への拒絶という免疫は効力をなさない。さながらエヴァのロンギヌスの槍といったところだ。
「ん?どうしたのちーちゃん。一緒にする?」
見つめすぎていたせいか先輩が暇を持て余している俺の気配に気づいて声をかけてくれた。ポッキーの箱を片手にーーーーーーーー!
ポッキーゲームか?いや違う。きっと違うな。
俺も近距離だけど手を振り返し、そちらへ行った。
「何やるんですか?」
「ポッキーゲームぅ!」「それ無理です!」
先輩がポッキーの「ポッ」を言った瞬間に被せるように言った。
「えーつまんない、じゃあお預けね?」
そう言って笑顔を向けてくる。
この笑顔にやられるんだ世の人間は、この笑顔に瞬殺なんだ。入りたての頃は俺もそうだったがあまりに一緒に良すぎるせいか効果が薄れつつある。
「はい。じゃあ何します?」
「あっち向いてホイ!」
「いいですよ。」
「よし決まり、先に5回負けた方罰ゲームね!出さなきゃ負けよジャンケンポン!」
友佳先輩は俺に異議を唱えさせないように即座に始めた。
慌てた俺が出したのはチョキ!先輩はグー。
「あっちむいいてえええ!ほぉい!」
異様に溜め込んでタイミングをずらした先輩の指先がスナップを利かせて右を指す。俺は、繊細な指先に誘惑され指を追いかける。
1本目、先輩の圧勝に終わる。
「いやまだですよ。勝負はここからです!」
俺は自分自身に言い聞かせた。
俺vs友佳先輩
2本目 先輩勝ち
3本目 先輩勝ち
4本目 先輩勝ち
5本目 先輩勝ち
「うわーーー!千尋よっわいねぇぇ」
先輩達がヒィヒィと漏らしながら瓦礫のごとく崩れ落ちていく。理由はもちろん俺の言い訳すらできないストレート負け。
俺は立ち尽くしたまま骨の芯まで灰と化していた。
「じゃ、じゃあ罰ゲームね!楽しみに」
俺は無残に敗退し、それから間も無くお開きの時間が来たので部屋を片付けて俺たちは解散した。
最後に部屋を出た俺は、一気に静まり返った部屋を眺めてどこか儚く感じた。
というか、不安と恐怖が部屋を出る俺に怨霊のようにこびり付いてきた。
「何すんだろ、罰ゲーム」
少し先に先輩達がいる廊下を歩きながら軽く呟いた。
「お楽しみに」
ゾクッと背中に人気を感じ、姿を現した友佳先輩が念を押してハートマークの入った言葉を言った。
そしてそのまま先輩駆けていき、俺もその後を追った。
「ええーーでは、歩美と千尋のメンバー入りを祝って乾杯!!」
リーダーの音頭にみんなで唱和し歓迎会が始まった。
始まって早々に部屋の片隅でレズと名高い茶髪の平野先輩がバイセクシュアルな黒髪ぱっつんの先輩を拱き始めていた。
「千尋ちゃーん、今日の公演どうだった?」
最初に話しかけてくれたのはやはりリーダーの丸岡氷見子先輩だった。
身長は俺より低く胸ほどの高さだ。髪の毛にクセがあっておでこの所で左右に分けた髪が交差しているのが彼女らしい所だ。ワイルドにホットパンツにパステルイエローのTシャツ姿でスイートでアクティブだ。
「ライトが熱かったですね」
はにかみながらそう言った。
「でしょぉー」
先輩は両手人差し指を俺にビシッと向けた。
「でも凄いですよね、このグループ。1年目でオリコンだなんて」
横から割り込むように話を入れてきたのは歩美だった。
「凄いだなんて、全然だよ。うちらはタイミングが良かっただけ。そうじゃなきゃデビュー曲でオリコンチャート3週連続なんて取れないよ。それに、次世代の歩美達にはすぐに越されそうだなぁ」
先輩達は話が通じているが俺にはよく分からなかった。もちろん、俺が全く外の世界を見てこなかったからだ。
「いや、凄いですよ。グループデビュー1年目の今月にもう東京ドームだなんて前代未聞じゃないですか?」
歩美は落ち着いた口調でそう言った。でも、若干興奮が漏れている。
「でも、そんなこと言ったら君たちだったグループ入って1年で東京ドームだよ。私たちはここまで来るのに2年かかってるんだ。君らの方が凄いさ」
なんとなく、感じていたがこのままだと褒め合うことのキャッチボールが続いて終わりそうにないので、俺は別の人と絡むことにした。
そうして部屋の中をぐるっと見回した。
視界の右端でセクハラごっこが続いていて、自分達のテーブルを挟んで反対側に脱がないタイプの野球拳をしている先輩やポッキーゲームをしている先輩がいた。
そのメンバーの中に長身が一際目立つ先輩がいる。ステージ上とは違い木目フレームの眼鏡をかけている花畠友佳先輩。ツヤの効いた髪はポニーテールで残った触角が眼鏡と柔肌の間で先輩の動きに合わせて揺れている。
友佳先輩はファンの間で『白い悪魔』と呼ばれているそうだ。その名前の由来はふとした時に見せる笑顔だった。その笑顔に人への拒絶という免疫は効力をなさない。さながらエヴァのロンギヌスの槍といったところだ。
「ん?どうしたのちーちゃん。一緒にする?」
見つめすぎていたせいか先輩が暇を持て余している俺の気配に気づいて声をかけてくれた。ポッキーの箱を片手にーーーーーーーー!
ポッキーゲームか?いや違う。きっと違うな。
俺も近距離だけど手を振り返し、そちらへ行った。
「何やるんですか?」
「ポッキーゲームぅ!」「それ無理です!」
先輩がポッキーの「ポッ」を言った瞬間に被せるように言った。
「えーつまんない、じゃあお預けね?」
そう言って笑顔を向けてくる。
この笑顔にやられるんだ世の人間は、この笑顔に瞬殺なんだ。入りたての頃は俺もそうだったがあまりに一緒に良すぎるせいか効果が薄れつつある。
「はい。じゃあ何します?」
「あっち向いてホイ!」
「いいですよ。」
「よし決まり、先に5回負けた方罰ゲームね!出さなきゃ負けよジャンケンポン!」
友佳先輩は俺に異議を唱えさせないように即座に始めた。
慌てた俺が出したのはチョキ!先輩はグー。
「あっちむいいてえええ!ほぉい!」
異様に溜め込んでタイミングをずらした先輩の指先がスナップを利かせて右を指す。俺は、繊細な指先に誘惑され指を追いかける。
1本目、先輩の圧勝に終わる。
「いやまだですよ。勝負はここからです!」
俺は自分自身に言い聞かせた。
俺vs友佳先輩
2本目 先輩勝ち
3本目 先輩勝ち
4本目 先輩勝ち
5本目 先輩勝ち
「うわーーー!千尋よっわいねぇぇ」
先輩達がヒィヒィと漏らしながら瓦礫のごとく崩れ落ちていく。理由はもちろん俺の言い訳すらできないストレート負け。
俺は立ち尽くしたまま骨の芯まで灰と化していた。
「じゃ、じゃあ罰ゲームね!楽しみに」
俺は無残に敗退し、それから間も無くお開きの時間が来たので部屋を片付けて俺たちは解散した。
最後に部屋を出た俺は、一気に静まり返った部屋を眺めてどこか儚く感じた。
というか、不安と恐怖が部屋を出る俺に怨霊のようにこびり付いてきた。
「何すんだろ、罰ゲーム」
少し先に先輩達がいる廊下を歩きながら軽く呟いた。
「お楽しみに」
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そしてそのまま先輩駆けていき、俺もその後を追った。
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