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しおりを挟む「聖女」とはヒロインの1番のハッピーエンドへの鍵だ。
この世界で万物を癒す、浄化する魔法は簡単に言えば、かなり燃費の悪い魔法。
どんな大魔導師でも、聖女の適正が無ければ魔力を根こそぎ持っていかれて倒れる。聖女の適正がある者が誕生してもほとんどが保有魔力は少なく、体も弱くて魔法なんて使えやしない。おまけに短命だったりする。
そんな回復魔法や浄化魔法、生命に働きかける魔法を連続で使えるのがヒロインで、その力に目覚めてからは王の庇護下に入り、最後は王子と結婚する。
攻撃魔法とかって使えるのかな?
噴水広場を抜け、なんだか色々と試したい欲求が芽生えて肉串を頬張りながら、城門へと歩を進めた。
でもさ、遅いんだよねー。気付くの。12歳だよ?5年後…しかも、義姉に踏み潰されたお花が枯れちゃうっ!とかいう理由で。ていうか、今までも十分死にかけてるのに、なんで気付かないかなー?いや、仕方がないか…
生きていても死んでるようなものだった。歩いていても誰も見て見ぬふりで、たまに目が合えば蔑んだ冷たい目が返ってくる。ネズミやカラスの群がるところを見つけるとラッキーだと思えるくらいに毎日飢えていた。何より、前世を思い出した今と違って魔法を知るような術も、手を差し伸べて教えてくれるような大人もいなかった。
希望なんてものはどこにもなかった。諦めていたんだ。
昨日までの事が頭に過ぎって溜息が出る。
…いや、これは初めて食べた肉串が美味しくて、おなかいっぱいの意味の溜息だよね、そういうことにしよう
でもそこから、ゆっくり生活水準が上がっていけば、虐めにも耐えられるってことなのかな…
いやぁ…無理。私には無理ですよ?
鞄の中身をゴソゴソと漁ってみると、紙に包まれたパンの横にピンク色の液体が入ったボトルを見つけて、瞳を輝かせる。
「きれい…」
透明の容器に、果実本体で栓がされている果実水。この果実水は、ヒロインと騎士が街に買い物に行った時の挿絵の中に描かれていた。
それにしてもヒロインがチヤホヤされても驕らず変わらず頑張っていられたのって本当にすごいと思う。
自分だったら絶対に義姉と喧嘩するか逃げちゃうだろうし、鼻の下伸ばしてイケメン見ちゃうだろうなぁ…
生憎、前世でもダンスやマナーなんて習わなかったし、重たいドレスも着たいとは思わない。
というか、今世で悪役令嬢にも前世の記憶があったらどうする?
前世で悪役令嬢物大好きだったし、二次創作にもあったもんなぁ…
お金も権力もあって主要人物達との距離も近いんだから、色々と改善してそうじゃない?
推しはいたけど…あと10年そこらを待ってられる?なんかもう
「めんどくさいなぁ…」
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