ねこねここねこなお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話

橋元 宏平

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第38話 猫の花粉症

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 お父さんとお母さんと仲良くおててつないで歩いていると、どこからかくしゃみが聞こえてきた。
 それも1回じゃなくて、連発れんぱつしている。
 くしゃみを連発するのは、ただごとじゃない。

 最近寒くなってきたし、風邪かぜを引いている猫たちがいるのかもしれない。
 風邪で苦しんでいる猫は、見過みすごせない。
 どこにいるのか、教えて『走査そうさ

対象たいしょう:食肉目ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』

『病名:季節性きせつせいアレルギー性鼻炎せいびえん

処置しょちこうヒスタミンざい・ステロイドざいの投与を飲ませる

位置情報いちじょうほう右折うせつ300m先、直進ちょくしん40m』

 季節性きせつせいアレルギー性鼻炎せいびえん
 それってもしかして、花粉症かふんしょうってこと?

 ステロイドは抗炎症薬こうえんしょうやくのことで、痛みめとかゆみ止めだな。
 抗炎症こうえんしょう作用がある薬草なら、アロエやキランソウやヤブガラシがある。
 でも、こうヒスタミンざいって何?

こうヒスタミンざい薬効やっこう:アレルギーの諸症状しょしょうじょう緩和やわらげる皮膚ひふかゆみを緩和かんわ、乗り物いを緩和、鎮痛ちんつう作用』

 なるほど、アレルギーの薬ってことか。
 基本的には、痛みや痒みをやわらげる薬みたいだな。

原因植物げんいんしょくぶつ:ブタクサ・ヨモギ』

 ブタクサは、秋の花粉症の最大の原因。
 実は万能薬ばんのうやくのヨモギも、秋の花粉症の原因になるんだ。
 犬や猫も、人間と同じように花粉症になる。

 ぼくも人間だった頃は、スギ花粉アレルギーだった。
 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目も肌もあちこち痒くなってツラかった。

 猫に生まれ変わってからは、花粉症で苦しんだことはない。
 お父さんとお母さんも、なんともなさそうだ。
 アレルギー体質たいしつは、親から子へ遺伝いでんする。
 今のぼくが花粉症じゃないのは、お父さんとお母さんが大きく関わっている。
 ふたりとも花粉アレルギーを持っていないでくれて、ありがとう。

 しかし、この先にいる猫たちは花粉症で苦しんでいる。
 花粉症の苦しみを知っているからこそ、猫たちを花粉症からすくいたい。
 ぼくは『走査そうさ』の案内にしたがって、走り出した。

 🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
  
 しばらくすると、猫がたくさんいる集落しゅうらく辿たどいた。
 猫たちはくしゃみを連発して、涙と鼻水を流している。
 かゆみで、ずっと顔をき続けている。
 掻きすぎて、毛が抜けてしまっている猫もいるようだ。

 可哀想かわいそうに……、早くなんとかしてあげたい。
 人間だった頃に、「花粉症に効くお茶」みたいのがあったはずなんだけど。
 花粉症に効く薬草を探して、『走査そうさ

対象たいしょう:バラ科バラ属イヌバラ』

概要がいよう:果実は「ローズヒップ」と呼ばれ、ビタミンCを多くふくむ』

薬効やっこう:ニキビ、乾燥肌、便秘、利尿りにょう、血液循環の改善をサラサラにする鎮痛ちんつう作用、解毒作用デトックス抗酸化こうさんか作用、疲労回復ひろうかいふく免疫力めんえきりょく強化、活性酸素除去かっせいさんそじょきょ、コラーゲンの生成を作る、心臓病予防、ガン予防、脂肪燃焼効果ダイエット、花粉症(アレルギー症状の原因である、ヒスタミンを抑制おさえる)』

 ローズヒップティーは、おばあちゃんが健康の為に飲んでいたっけ。
 ぼくも1回だけ飲ませてもらったことがあるんだけど、めちゃくちゃっぱくって苦手だった。

 見れば緑色の葉を付けた低い木の間に、1cmくらいのちっちゃな実がたくさんっている。
 これが、ローズヒップか。
 真っ赤な皮がツヤツヤしていて、甘酸あまずっぱい果物くだものにおいがする。
 美味しそうなので、さっそく口に入れてみた。

「ミャッ?」

 うわ! 酸っぱっ!
 これは、そのまま食べるのは無理だ。
 困ったな、どうしよう。

 せっかく、花粉症に効く植物を見つけたのに。
 こんなにっぱかったら、誰も飲んでくれないぞ。
 実をつぶして、水でうすめればいけるかな?

 とりあえず河原かわらへ行って、ローズヒップを石で叩いてつぶす。
 出来た真っ赤な汁を、水でうすめて飲んでみる。
 そのまま食べるよりかはマシだけど、やっぱりっぱいな。
 最終手段さいしゅうしゅだんとして、「薬なので我慢がまんして飲んで下さい」と言うしかないか。

 花粉症には、どのくらい飲めばいいの?

用量ようりょう:1日1粒。過剰摂取するのみすぎると、副作用ふくさようあり』

副作用ふくさよう倦怠感ダルさ、吐き気、下痢、胸やけ、不眠症ふみんしょう消化器系異常しょうかきけいいじょう腎臓じんぞう異常、腎結石じんけっせき

 強い薬には強い副作用ふくさようがあるから、量には気を付けないと。
 とりあえずつぶした実を水で薄めて、花粉症で苦しむ猫たちに飲ませてみよう。
 花粉でアレルギー性皮膚炎せいひふえんを起こしている猫には、アロエをって痛みとかゆみをおさえるんだ。

 ぼくは集落へ戻り、花粉症で苦しんでいるクロブチ模様もようの猫に話しかける。

「こんにちは、ぼくはお医者さんですミャ。皆さんの病気を治す為に、お薬を作ってきましたミャ。っぱいと思いますが、病気は治るので我慢がまんして飲んで下さいミャ」
「あっ、仔猫こねこのお医者さん! また来てくれたのにゃあ?」

 クロブチは、おどろきとよろこびが混ざった顔でぼくを見た。
 え? ぼくを知っているの?

「あの、どこかでお会いしましたミャ?」
「覚えてないかにゃあ? この集落しゅうらくの猫が全員病気になった時に、仔猫のお医者さんが助けてくれたにゃあ」

 あ! 思い出したっ!
 イチモツの集落を出て、初めておとずれた「イヌノフグリの集落」

猫風邪ネコカリシウイルス感染症集団感染しゅうだんかんせんした、集落だったはず。

 クロブチは、イヌノフグリの集落のおさだ。

「クロブチさん、おひさしぶりですミャ。皆さん、お元気でおごしですミャ?」
「元気も何も……。この通り、みんな病気で苦しんでいるにゃあ……」

 クロブチは鼻をグズグズいわせて、せきやくしゃみをしている。
 鼻が詰まって、息をするのも苦しそうだ。

「そうですよね、すみませんミャ」
「教えてもらったヨモギの薬を飲んだんだけど、全然かなかったにゃあ……」

 そりゃ、そうだ。
 ヨモギの花粉が原因の花粉症なんだから、かないどころか悪化あっかするだけだ。

残念ざんねんながら、この病気にヨモギはきませんミャ。でも大丈夫ですミャ。この病気にく、新しいお薬を用意しましたミャ」 
「本当にゃあ? ありがとうにゃあ! じゃあ、みんなを呼ぶにゃあっ!」

 クロブチは大喜びで、集落しゅうらくの猫を呼び集めてくれた。
 ローズヒップをつぶして、水でうすめたものを猫たちに飲ませた。

「「「っぱいニャーッ!」」」

 思った通り、猫たちは酸《す》っぱい水に驚いて悲鳴を上げた。
 猫は、酸味さんみ苦味にがみが苦手なんだ。
 酸味と苦味は、「くさったものや、毒を食べない為に重要じゅうよう味覚みかく」と言われている。
「飲まないと病気は治りませんよ」と言い聞かせて、我慢がまんして飲んでもらった。

 アレルギー性皮膚炎せいひふえんを起こしている猫には、アロエの汁をった。
走査そうさ』によると、アロエの汁は目薬めぐすりとしても使えるそうだ。
 花粉症で炎症えんしょうを起こした目に、くらしい。
 アロエの汁は即効性そっこうせいがあり、るとすぐに痛みやかゆみが引く。
 人間だったら食べることも出来るんだけど、猫の体には毒なんだよね。
 猫がアロエを食べると、ゴロゴロおなかをピーちゃんこわすになっちゃうんだ。

「アロエをった場所は、絶対にめないようにして下さいミャ」

  アロエを塗った猫たちは、「痒くなくなったニャー」とよろこんでいる。
 良かった良かった。
 花粉症の猫たちに、アロエの使い方とローズヒップの薬の作り方を教えて伝える。

「病気が治るまで、この薬を毎日飲み続けて下さいミャ」

 これを聞いた猫たちは、「これを毎日……?」とげんなりしていた。

―――――――――――――――――
【ローズヒップとは?】
 そこのお前! ローズヒップに含まれるビタミンCは、レモンの20倍だぜっ!
 100g当たり約420mgのビタミンCが含まれているから、「ビタミンCの爆弾」と呼ばれているぜっ!
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