嚆矢

山吹レイ

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9 交歓

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「お前……真っ黒だな。これ夜にいてもわかんないだろうな。というか黒いスライムっているんだ? 目はあるのか? 口は?」
 俺はスライムを目の高さまで持ち上げて、まじまじと見つめる。
 スライムは体をくねらせて、手の中でどろりと溶けた。
「うわっ……」
 指の隙間から垂れたスライムは溶けながらも、その体に意志があるように意図をもって腕を伝った。害を与えるつもりはないらしく、俺の肩の上で丸くなる。
 懐いているペットのようにも見えて、俺はぷっと笑ってしまった。
 可愛い。色が黒いのはちょっとグロい気がしないでもないが、仕草が可愛い。
「お前、魔物だろ? こんなに懐いていいのかよ」
 スライムは肩でジャンプし、俺の頭の上で丸くなる。
 この愛らしさは魔物ではなくペットではないのだろうか。
「他の人間なら踏みつけられて、ぺしゃんこになる運命だぞ」
 そっと掴んで頭からどけると、指でぐにゅぐにゅと揉んで、真っ黒なその体の中をのぞき込む。
 アメーバのように中は透けていないようで、細胞らしきものも見えず、ただ黒かった。
 目も口も鼻もなく、表面はつるんとしている。不思議な存在だ。
 くんくんと匂いを嗅いでも、なんの匂いもせず無臭だった。
 揉んでいるうちに、癖になりそうな弾力と触感に、俺は腕にスライムを抱いたまま欠伸をして目を擦る。
 すると、スライムもぬるっと伸びる性質を利用して細長くなると、俺の目元をなんともいえない触感で撫でた。
 こういうことをされると愛着がわく。
「癒されるなあ」
 こんなに愛らしいのに、なぜ嫌われて潰されないといけないのだろうか。
 魔物だというだけで害はないのに。
 ごろんと横になってスライムを撫でていると、ゆっくりと体の上で溶けていく。
 スライムは薄くなって俺の体の表面に広がると、ぬるぬると撫で始めた。
 はじめは擽ったくて体を捻って笑っていたが、次第に、スライムは長衣の隙間から入り込んで直接肌をなぞる。
「んあっ……こらっ」
 胸を撫でられて、思わず変な声が漏れた。この世界に来てからずっと押しやられていた性欲が蘇ってくる。執拗に胸を撫でられ気が付くと勃起していた。
「なんで……こんなことっ……」
 胸から払いのけようとすると、スライムはさっと下半身へと向かい、尻から股間のあたりで留まる。
 勃起したものを冷たいスライムが包み込んで、思わず、内股を閉じて体を縮めた。
「お前、どこ触って……あっ」
 尻の割れ目まで垂れたスライムは、ぬるぬると俺の体を擦りつける。
「だめだって……ん……やばっ出そう」
 あっという間に達してしまい、くらくらする頭でスライムがはりついている下半身を見る。出た感覚があるのに、精液は飛び散っていない。スライムの中に全部収まったようだった。
「もう……こんなこと……」
 ぐったりとした倦怠感を覚え、俺は知らず知らずのうちに眠りについていた。
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