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その後の話
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「星矢くん。お願いします」
健斗はベッドに下着姿のまま正座して深々と俺に頭を下げる。顔が羞恥と緊張で強張っていたが、かくいう俺も男とセックスはしたことがないから、心境は同じだ。
健斗が前に言っていたキスやセックスはしたくないというのは、本当は嘘で、嫌われたくないからがっつかないようにしていたらしい。
今はその望みをかなえるべく、こうして向き合っているのだが、どうも恥ずかしい。
今まで付き合った相手とは雰囲気や成り行きでしていたので、こうやって改めて向き合って挨拶をしてというのも、変な気がする。
ローションとコンドームの箱を目にして、本当にこのまましてしまうのかと躊躇う気持ちもあった。想像しただけで、生々しくて胸がどきどきする。
いつかするのかもしれないと思っていたが、いざその時になると、どうすればいいのか頭が混乱しそうになる。
男同士で付き合っていても、必ずしも最後までするわけではないらしいとネットで見たことがある。口でしたり、道具を使ったりして、互いに負担がないように楽しむこともできるのだ。それでも十分満たされそうなものだが、童貞の健斗にとって、やはり繋がって一体になりたい思いは強かった。
一応二人で今日まで色々と勉強しながら触り合ったりしていたが、やっと今日決心した。
健斗が伏目がちに顔を近づけてきたので、目を閉じて身を任せる。
舌を入れてくるのも当たり前になったキスは、甘くて頭がぼうっとしてくる。
健斗はキスが好きだ。気持ちを確かめる一番のスキンシップだと思っているようで、一緒にいるときは所かまわずキスをしてくる。
俺が嫌がらないからというのもあって、奥手の健斗が珍しく積極的にできる行為の一つだ。
絡ませた舌を引いたり、わざと吸い付いたりすると、健斗は俺の体をぐっと密着させて奥深くまで犯すように舌を伸ばす。
ジム通いも続いている体は前より筋肉質になり、ひょろっとした印象が思い出せないほど逞しくなった。凭れてもびくともせず、今では俺を抱き上げるだけの筋力がついた。
ジムでも頻繁に女性に声をかけられているらしく、健斗はやめてほしいとぼやいている。
「星矢くん」
一旦唇を離し、呟くように吐息に絡ませて俺の名を呼ぶ。上気した頬に、赤く色づいた唇、少し垂れ目がちな目にはっきりと欲情の色が見えた。
俺の下半身に見せつけるように、下着の上からはっきりと形がわかるほど昂っているものを擦ってくる。
そっと手で触れると、さらに大きさが増す。
健斗が再び唇を合わせながら下着をずらして俺のものを握り締めた。
「今日はそっちじゃない……」
俺は健斗の手をどけて、そっとベッドに体を倒し、羞恥心に蓋をしてそっと足を開く。
シャワーを浴びてきたから、後ろは綺麗にしてある。手伝おうかと健斗は言ってくれたが、死ぬほど恥ずかしかったので一人で中を洗った。
ここからは健斗に頼らざるを得ない。
健斗はごくりと生唾を飲んで、コンドームを手に取ると指にはめて、その上にローションを垂らした。
後ろを撫でるようにゆっくりと円を描く優しい動きに、強張っていた体が少しだけ解れていく。ただし、恥ずかしさは消えない。
「気持ち悪くない?」
健斗は俺の様子を確認しながら指を動かす。
「……くすぐったいだけで、大丈夫だ」
「じゃあ、指一本入れるよ」
いよいよかと、力む俺の足に口づけて、健斗は慎重に指を入れていく。
息を殺して、違和感から逃げたくなる腰をベッドに押し付けるだけで精いっぱいだった。
「痛くない?」
焦れるほどゆっくりと健斗は円を描くように入り口を広げていく。
「大丈夫。けど……ぞわぞわして変な感じ……」
「中熱い。くちゅくちゅして卑猥だ」
「そういうのは……いいから……んっ……」
指がぐっと中まで入ってきて、俺は息を詰めて腰を浮かせた。
ぬちゃと指が抜かれると、健斗はさらに二本の指を入れてきた。
「うっ……んっ……」
俺は枕を強く抱き締めて、ぐっと唇を噛みしめて耐える。世の男性同士のカップルはこんな思いをして繋がっているのだろうかと思うと、ちょっと同情したくなる。
健斗は枕を奪って、ぽんと遠くへ放ると俺の体を抱き込んだ。そのまま指を動かす健斗にしがみ付きながら、時々せり上がるような異物感にちょっと泣きそうになる。
「指、三本まで入った」
「うん……めっちゃ変な感じ半端ない」
健斗は俺に口づけて、指だけではなく腰を動かした。健斗の勃起したものは俺の太もも辺りに押し付けられていて、汗だけじゃなく先走りでぬめりを帯びている。早く入りたいのだと思うと、なんか異物感とか目を瞑って、もう入れてもいいかという気になる。
「いいぞ。入れて」
興奮で息が荒い健斗が俺の顔を見る。本当に大丈夫なのか確認しているようだ。
舌を伸ばして健斗の唇を舐めると、その目に燃え上がるような欲情が浮かんだ。
体を離した健斗は、パッケージを乱暴に破り、震える手つきで己のものに被せていく。
俺を見据えた目は完全に飢えた獣のようだった。
「痛かったら言って」
「わかった」
ローションをたっぷりと俺の穴にめがけて落とし、コンドームをつけた自身にもとろりと垂らす。
健斗は切っ先を宛がって、深く息を吐くと、歩みの遅い亀以上に遅い動きで腰を前に突き出した。
「ゆっくり……ゆっくり……」
声に出して言う健斗に、俺はぐっと奥歯を噛みしめてシーツを握り締めた。
指の比ではない圧迫感に、内臓が押し上げられる感覚が気持ち悪い。こんなもの、本当に慣れるのか? と涙目になりながら健斗を見ると、興奮しながらも俺の体を思いやるように動きを止めた。
「痛くはない?」
「ううっ……」
言葉にすることもできずに、縦にも横にも首を振る俺に、そっと健斗は腰を引いた。
「んっ……」
反射的に甲高い声が漏れると、健斗はぶるっと腰を震わせた。
「やばっ……出そう……」
体内にいるものが脈打ち「あっ……あっ……」と何度も切なげな声を上げて、健斗は達してしまった。下腹部がぴくぴくしてコンドーム越しでも射精しているのがはっきりとわかるほど温かいものが広がる。
長い放埓がおさまると、健斗はどっと俺に倒れこんだ。
「え? え?」
慌てて、健斗を支えるものの、奴は目を閉じて気を失っていた。
「まじか!? おい」
ゆすっても起きる気配はなく、まさかの事態に呆然として、ゆっくりと体をずらして健斗を抜く。コンドームにはたっぷりと出された精液が溜まっていて、なんだか虚しいような悲しいようなほっとしたような気持ちでコンドームを外す。
「ぷっ……」
思い出してみると、なんだかおかしくて俺は声を出して笑い転げた。
健斗らしいといえば健斗らしいが、まさかの初めての経験で失神とか……恐れとか異物感とか吹き飛んで腹が捩れるくらい笑った。
「ま、これはもっとゆっくり進んでいくしかないんだろうな」
健斗を横たえて、汗で濡れた前髪をすくう。
起きた時にどんな反応をするのか、想像するだけでまた笑いそうになって、俺は眠っている健斗に寄り添うように横になって目を閉じた。
終わり
健斗はベッドに下着姿のまま正座して深々と俺に頭を下げる。顔が羞恥と緊張で強張っていたが、かくいう俺も男とセックスはしたことがないから、心境は同じだ。
健斗が前に言っていたキスやセックスはしたくないというのは、本当は嘘で、嫌われたくないからがっつかないようにしていたらしい。
今はその望みをかなえるべく、こうして向き合っているのだが、どうも恥ずかしい。
今まで付き合った相手とは雰囲気や成り行きでしていたので、こうやって改めて向き合って挨拶をしてというのも、変な気がする。
ローションとコンドームの箱を目にして、本当にこのまましてしまうのかと躊躇う気持ちもあった。想像しただけで、生々しくて胸がどきどきする。
いつかするのかもしれないと思っていたが、いざその時になると、どうすればいいのか頭が混乱しそうになる。
男同士で付き合っていても、必ずしも最後までするわけではないらしいとネットで見たことがある。口でしたり、道具を使ったりして、互いに負担がないように楽しむこともできるのだ。それでも十分満たされそうなものだが、童貞の健斗にとって、やはり繋がって一体になりたい思いは強かった。
一応二人で今日まで色々と勉強しながら触り合ったりしていたが、やっと今日決心した。
健斗が伏目がちに顔を近づけてきたので、目を閉じて身を任せる。
舌を入れてくるのも当たり前になったキスは、甘くて頭がぼうっとしてくる。
健斗はキスが好きだ。気持ちを確かめる一番のスキンシップだと思っているようで、一緒にいるときは所かまわずキスをしてくる。
俺が嫌がらないからというのもあって、奥手の健斗が珍しく積極的にできる行為の一つだ。
絡ませた舌を引いたり、わざと吸い付いたりすると、健斗は俺の体をぐっと密着させて奥深くまで犯すように舌を伸ばす。
ジム通いも続いている体は前より筋肉質になり、ひょろっとした印象が思い出せないほど逞しくなった。凭れてもびくともせず、今では俺を抱き上げるだけの筋力がついた。
ジムでも頻繁に女性に声をかけられているらしく、健斗はやめてほしいとぼやいている。
「星矢くん」
一旦唇を離し、呟くように吐息に絡ませて俺の名を呼ぶ。上気した頬に、赤く色づいた唇、少し垂れ目がちな目にはっきりと欲情の色が見えた。
俺の下半身に見せつけるように、下着の上からはっきりと形がわかるほど昂っているものを擦ってくる。
そっと手で触れると、さらに大きさが増す。
健斗が再び唇を合わせながら下着をずらして俺のものを握り締めた。
「今日はそっちじゃない……」
俺は健斗の手をどけて、そっとベッドに体を倒し、羞恥心に蓋をしてそっと足を開く。
シャワーを浴びてきたから、後ろは綺麗にしてある。手伝おうかと健斗は言ってくれたが、死ぬほど恥ずかしかったので一人で中を洗った。
ここからは健斗に頼らざるを得ない。
健斗はごくりと生唾を飲んで、コンドームを手に取ると指にはめて、その上にローションを垂らした。
後ろを撫でるようにゆっくりと円を描く優しい動きに、強張っていた体が少しだけ解れていく。ただし、恥ずかしさは消えない。
「気持ち悪くない?」
健斗は俺の様子を確認しながら指を動かす。
「……くすぐったいだけで、大丈夫だ」
「じゃあ、指一本入れるよ」
いよいよかと、力む俺の足に口づけて、健斗は慎重に指を入れていく。
息を殺して、違和感から逃げたくなる腰をベッドに押し付けるだけで精いっぱいだった。
「痛くない?」
焦れるほどゆっくりと健斗は円を描くように入り口を広げていく。
「大丈夫。けど……ぞわぞわして変な感じ……」
「中熱い。くちゅくちゅして卑猥だ」
「そういうのは……いいから……んっ……」
指がぐっと中まで入ってきて、俺は息を詰めて腰を浮かせた。
ぬちゃと指が抜かれると、健斗はさらに二本の指を入れてきた。
「うっ……んっ……」
俺は枕を強く抱き締めて、ぐっと唇を噛みしめて耐える。世の男性同士のカップルはこんな思いをして繋がっているのだろうかと思うと、ちょっと同情したくなる。
健斗は枕を奪って、ぽんと遠くへ放ると俺の体を抱き込んだ。そのまま指を動かす健斗にしがみ付きながら、時々せり上がるような異物感にちょっと泣きそうになる。
「指、三本まで入った」
「うん……めっちゃ変な感じ半端ない」
健斗は俺に口づけて、指だけではなく腰を動かした。健斗の勃起したものは俺の太もも辺りに押し付けられていて、汗だけじゃなく先走りでぬめりを帯びている。早く入りたいのだと思うと、なんか異物感とか目を瞑って、もう入れてもいいかという気になる。
「いいぞ。入れて」
興奮で息が荒い健斗が俺の顔を見る。本当に大丈夫なのか確認しているようだ。
舌を伸ばして健斗の唇を舐めると、その目に燃え上がるような欲情が浮かんだ。
体を離した健斗は、パッケージを乱暴に破り、震える手つきで己のものに被せていく。
俺を見据えた目は完全に飢えた獣のようだった。
「痛かったら言って」
「わかった」
ローションをたっぷりと俺の穴にめがけて落とし、コンドームをつけた自身にもとろりと垂らす。
健斗は切っ先を宛がって、深く息を吐くと、歩みの遅い亀以上に遅い動きで腰を前に突き出した。
「ゆっくり……ゆっくり……」
声に出して言う健斗に、俺はぐっと奥歯を噛みしめてシーツを握り締めた。
指の比ではない圧迫感に、内臓が押し上げられる感覚が気持ち悪い。こんなもの、本当に慣れるのか? と涙目になりながら健斗を見ると、興奮しながらも俺の体を思いやるように動きを止めた。
「痛くはない?」
「ううっ……」
言葉にすることもできずに、縦にも横にも首を振る俺に、そっと健斗は腰を引いた。
「んっ……」
反射的に甲高い声が漏れると、健斗はぶるっと腰を震わせた。
「やばっ……出そう……」
体内にいるものが脈打ち「あっ……あっ……」と何度も切なげな声を上げて、健斗は達してしまった。下腹部がぴくぴくしてコンドーム越しでも射精しているのがはっきりとわかるほど温かいものが広がる。
長い放埓がおさまると、健斗はどっと俺に倒れこんだ。
「え? え?」
慌てて、健斗を支えるものの、奴は目を閉じて気を失っていた。
「まじか!? おい」
ゆすっても起きる気配はなく、まさかの事態に呆然として、ゆっくりと体をずらして健斗を抜く。コンドームにはたっぷりと出された精液が溜まっていて、なんだか虚しいような悲しいようなほっとしたような気持ちでコンドームを外す。
「ぷっ……」
思い出してみると、なんだかおかしくて俺は声を出して笑い転げた。
健斗らしいといえば健斗らしいが、まさかの初めての経験で失神とか……恐れとか異物感とか吹き飛んで腹が捩れるくらい笑った。
「ま、これはもっとゆっくり進んでいくしかないんだろうな」
健斗を横たえて、汗で濡れた前髪をすくう。
起きた時にどんな反応をするのか、想像するだけでまた笑いそうになって、俺は眠っている健斗に寄り添うように横になって目を閉じた。
終わり
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