流行りのオモチャを買わされたら、そのオモチャが擬人化しました!

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第一章 日常ラブコメ編

第47話 主人を待つ仔犬達のように

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 楽しい時間は、あっと言う間に過ぎる。今までのデートは(どっちかと言えば)、女性の趣味に近いモノだったから。男の俺とは……うーん、やっぱり楽しかったかな? いつもと違う刺激があって。
 
 その意味では、ドンファンとの放課後デートは、今までのどれよりも熱く、それころ、夢中になってしまった。たとえ、自分が負けたとしても。その敗北自体が楽しかった。男子達と一緒にサッカーをした時と同じで。
 
 勝っても、負けても、自分の気持ちが晴れやかなる。彼女との勝負は、正に「それ」を疑似体験させるモノ、文字通りの熱い勝負だった。帰り際、中学生達が見ている前でキスしたのは、かなり恥ずかしかったけれど。
 
 俺は彼女と連れ立って、自分の家に帰った。家の中では、ラミア達が俺達の帰りを待っていた。まるで……そう、主人を待つ子犬達のように。俺が家の服に着替えた時も、満足げな顔で「それ」を見、そして、「やっぱり格好いいね」とうっとりした。
 
 俺は、彼女達の感想に恥ずかしくなった。

「お前ら、ううっ」

「どうしたの?」と、チャーウェイ。彼女は俺の身体を突き、楽しげな顔で「フフフ」と笑いながら、その感触か何かに顔を赤らめた。

「気持ちいい」

 俺も、その声に赤くなった。

「な、『何が?』だよ?」の質問にはもちろん、答えてくれない。ただ、「うんう」と笑って、「何でもない」の答えが返ってきた。

 俺は、その応えにムスッとした。

「そ、そうかよ」

「うん!」

 ラミアは(それに怒ったらしく)、俺の手を掴んで、自分の胸に「それ」を押し当てた。

「私は、ちゃんと伝える」

 何を? の質問は、野暮ってモノだろう。彼女の顔を見れば、分かる。彼女は、俺に(いつものように)好意を伝えているのだ。自分の身体を使って、その気持ちを動かそうとしている。
 俺がどんなに「バ、バカ、止めろ!」と言っても。今の彼女には、その言葉自体が無意味だった。それを見ているウリナ達も……ムスッはしているが、彼女に何かを言おうとはしなかった。
 
 俺は、彼女の手から何とか逃れた。

「俺だって、男なんだ!」

 性欲もちゃんとある。今はこうだが、夜には狼になるかも知れない。美少女達との同棲は、正に本能との戦いなのだ。

 俺は額の汗を拭い、机の椅子に座った。

「お前ら、スキンシップし過ぎ!」

 彼女達は、その言葉にしゅんとなった。

「ごめんなさい」

「これからは、もっと」

 とか言っているが、顔がまったく反省していなかった。それこそ、悪戯を止められない悪ガキの如く。擬人化した美少女って言うのは、人間よりもずっと積極的だった。これでは、流石の理性君も参ってしまう。今、部屋の中を漂っているのは、彼女達が放つ匂い、禁断の果実へと誘う危険な香りだった。
 
 俺はその匂いに耐え、ついでに晩飯の時にも耐えて、風呂に入る時の「一緒には入ろう?」も乗り越えつつ、部屋での勉強、加えて作品のプロット作り(今日の分)を終わらせた。

「つかれ」

「たなら、肩を揉んであげるよ!」

 チャーウェイは自分の胸を押し付けるように、俺の肩をそっと揉みはじめた。

 俺は二重の意味で、その行為に気持ち良くなってしまった。背中に当たるメロンの感触。メロンは主人の動きに合わせて、その動きを軽く上下させた。

「どう、気持ちいい?」

「ああ、気持ちいい。気持ちいいから、もう止めてくれ!」

「え? うん、分かった」

 チャーウェイは、俺の肩から手を放した。

「疲れたらいつでも言ってね」

「ああ。いつでも言うから、今日はもう寝ろ」

「はーい」と、うなずくチャーウェイ。残りの少女達も、「分かった」、「おう」、「お休みなさい」とうなずいた。

 彼らキューブの姿に戻すと、机の上まで浮かんで、そこにスッと着地した。

 俺はスマホの端子に充電器を刺し、部屋の電気を消して、ベッドの中に潜り込んだ。

 
 朝は、いつもの時間に起きた。

 俺は必要な準備を済ませて、ダイニングの中から出ようとしたが、テーブルの椅子から立ち上がった瞬間、テレビの映像にふと目が行ってしまった。

「キューブマニアの特集か」

 これだけ流行っているのに。テレビのキャラスターは「今、話題の」から始まって、キューブマニアの事を楽しげに伝えつづけた。

 俺は、その情報に溜め息をついた。

「流行っているどころか。俺のキューブは、擬人化しているよ」

 ウリナはその言葉に苦笑し、チャーウェイもニコニコ、ドンファンも「ふんっ」と笑った。

 三人は家の玄関まで行くと、穏やかな顔で俺(鞄の中にはラミアが入っている)の事を見送った。

「行ってらっしゃい」

「気をつけてね」

「学校から帰ったら、ゲームしようぜ?」

 俺は三人の言葉に「はいはい」に応えてからすぐ、「行って来ます」と言って、家の玄関から出て行った。
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