よろず恋花(こいばな)

伊織 蒼司

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捨てられても傍にいる R18

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 誤解をといてようやく気持ちを通わせる事ができた剛が、次の日のよろず屋の昼休みに勝色の部屋を訪ねた。仕事の前まででいいから「毎日会いたい」と勝色にせがまれたためだった。

 緊張した面持ちで座っているだけの剛に、勝色が痺れを切らした。
 「ねえ、剛って呼んでもいい?」
 剛の元へとにじみより猫なで声で近づいてくる勝色に魅入られたように剛の体が硬直した。
 「も、も、もちろん。勝色さんの好きなように呼んでもらえたら俺は」
 しどろもどろの剛が顔をボッ、と赤くした。
 「じゃあ俺のことはカツって呼んで、剛」
 口をパクパクするだけで剛が、一向に勝色の名を呼ぶ気配がなかった。

 「カツって呼んで、剛。早く」
 脂汗まで噴出した剛がようやく「カツ」と小さな声で呼んだ。
 「嬉しい」勝色がすぐさま抱きついた。
 「…じれったい。剛のこと待ってたら、俺、爺さんになっちゃうよ。
 だから…俺が貰う、『剛の初めて』。
 剛、貰ってよ、『俺の初めて』」

 勝色が、剛の首筋に唇を這わせてキツク吸い付いた。
 「ん、綺麗についた」
 着物の前袷からも見えるところにもキツク吸い付いては次々と赤い痕を残した。
 「カ、カツ。何を…」
 急展開をし始めた事態に追いつけず、剛が慌てふためいた。
 「言ったろ、『剛の初めて』貰うって」
 前袷からするりと両手を滑り込ませて、剛の見事な大胸筋、腹筋、腹斜筋、後背筋を撫でていき、最後の締めに着物を脱がせた。下穿きのみの逞しい筋肉にじかに触れ、頬ずりしなから勝色が手を這わせた。

 「カツ、そんな風に触られたら俺」
 「剛が俺の事、好いてくれてるなら嫌とは言わないだろ」

 チラリと剛の下穿きに視線を向けて、勝色が迷い無く手を滑り込ませた。

 (準備した甲斐があった)嬉しさに勝色の頬が緩んだ。

 「カツ、そこは…」
 剛のそれはまさしく体躯に相応しいものであった。
 動揺のせいか抵抗らしい抵抗をしない剛を、そのまま押し倒して上に乗り上げ、勝色が腰を下ろし始めた。
 勝色が下穿きを穿いていない事を、直に触れた下肢で剛が気づいた。

 「カツ」
 剛の眉間に皺が寄った。
 「剛が来る前に準備したから、このまましたい。
 もう、すれ違いは嫌だ」
 剛に拒まれると思ったのか、勝色が剛の体に力強くしがみ付いて、離れまいとした。
 「違う、そうではない。俺がカツを気持ちよくしたい」
 勢い良く起き上がった剛が勝色を強く抱きしめた。

 「俺の『初めて』も他の全てもカツに捧げると誓う。だから、カツの『初めて』は俺にさせて欲しい」
 剛が勝色の目を覗き込んだ。すると、勝色が了承したように切れ長の瞳をゆっくりと閉じた。緊張した面持ちの剛が勝色にそっと口付けた。大柄で強面の剛の拙いながらも優しい口付けに、勝色がもっともっととせがむ様に剛の背に両手を回した。
 口付けたまま剛がゆっくりと勝色を布団の上に寝かせ手探りで前袷を開いた。長年焦がれた勝色の体に触れたためか、初めてのためか剛の手は震えていた。
 口付けを開放した剛が勝色の体全体を見下ろして、感嘆した。

 「ここで剛と早く繋がりたい」
 勝色の手に促されるように剛が、勝色の蕾に指を埋めた。その柔らかさに指を二本に増やした。

 「カツ、きれいだ。どこもかしこも綺麗だ」
 感動したように剛が勝色の中心に手を伸ばした。勃ち上がっている『カツイロ』自身に優しく触れると剛の手がすぐさま濡れ始め、蕾も綻び剛の指は三本に増やされた。
剛がその太い指三本で勝色の胎内の隅々までを探るように蠢かす。剛の手の中のカツイロから夥しく滴る蜜が蕾まで垂れ、それを使いながら剛の指が胎内を濡らしていく。そのもどかしい動きに勝色の腰が揺れ、艶やかな声を上げる。それでも剛が勝色の蕾を念入りに溶かすのを止めることはなかった。

 「ああ、ああ」
 カツイロに触れる手の動きを胎内のそれに合わせると、勝色から艶かしい声が溢れた。気をよくした剛が動きをどんどんと早めていく。

 「ああ、あっ、あっ」剛の手によって勝色が惜しげもなく声を上げた。

 「なんて綺麗なんだ。カツが俺の手で極めるところを俺に見せてくれ」
 剛の目が欲情した獰猛な雄になっていた。その目に射抜かれたように勝色が「ああっ」と声を上げた後、大きく下肢を震わせて、言われるがままに剛の手に快楽の証を吐き出した。

 「カツと、繋がりたい」
 剛が勝色の出した快楽の証を、見るからに凶器的に勃ち上がった『ゴウ』自身に塗り込めた。
 「んん、あああっ、剛のおっきい…」
 ずぶずぶと迫る圧迫感に勝色が苦しそうに目を細めていた。
 「すまない、かつ。少しだけ我慢してくれ」
 剛も片目を瞑ってきつさに耐えているようだった。
 途中幾度か動きを止め、半ば萎えたカツイロを労わるように触り、再び力を取り戻すのを待ちながら、長い時間を掛けて二人はようやく繋がった。

 「カツ、痛いのか」
 涙を滲ませた勝色に剛が心配そうに声を掛けて気遣った。
 「嬉し泣きだ」と勝色が応えると、優しいく口付けをした。徐徐に口づけを深くしていくと勝色もそれに応える。勝色の胎内が馴染むまで、剛の口付けは続いた。
 
 「んふっ」
 勝色の鼻から吐息が漏れた。
 「動いても良いか?」
 なおも口付けをしながら剛が少しずつ腰を揺らし始めた。
 「ああ、ここに剛がいる。本当に俺達繋がったんだ」
 勝色が腹部に手を置いた。
 「そうだ、カツの胎内、堪んねえ」
 「俺も、剛の熱で溶けそう…」
 勝色が潤んだ目で剛を見つめた。

 「カツ、俺の初めてがカツで良かった」
 「俺も、初めてが剛で良かった」

 勝色が、両腕と両足を回して全身で剛に抱きついた。
 「俺を放さないで剛」
 「ああ、カツに捨てられても傍にいる」
 剛も、離すまいと勝色の細い腰を両腕に閉じ込めた。

 ピッタリと密着した塊が、形を変えながら蠢きあい、初めてにも拘らず勝色が驚喜的な快楽に喜び啼いた。

 「俺、もう、もう出したい」
 勝色が切羽詰った声を出した。
 「俺もだ、このまま一緒に」
 二人がそのまま口付けを交わす。
 二人の間にあるカツイロが、剛の腹筋の凹凸に擦れてはち切れそうになっていた。
 
 「剛、触って。出したいから触って」
 剛の大きな手に擦られながら、堪らずに剛の背中に爪を立てて、勝色が体を震わせた。剛も大きく腰を震わせると、感無量とばかりに昇天したように放心した。
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