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第二部
白鷹迅②
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俺がオフィスで資料に目を通していたとき、見慣れない番号から電話が入った。
「白鷹です」
『白鷹迅さん? 小国直樹の母です。実は直樹が倒れました……病院までお越しいただいてもいいですか』
声は明らかに緊張していた。
(……直樹が、倒れた……!?)
思わず息を呑む。
胸がぎゅっと締め付けられ、呼吸が荒くなる。
「わ、わかりました……すぐに病院に向かう……!」
俺はすぐ行動に移す。
過保護なほどに、全力で直樹を守る覚悟が湧き上がった。
病院に向かう道中、頭の中で思う。
「お前が……直樹が、弱ってるときに、そばにいられないなんて……そんなの、絶対に嫌だ」
瞬間的に頭の中が全て真っ白になった。
タクシーを手配し、急いで乗り込む。
手が震えて、心臓が早鐘のように打つ。
(直樹……待ってろよ、今すぐ行くから……!)
病院に着くと、直樹の両親と大学生くらいの青年がいた。
「うわぁ、びっくりしたじゃないのー! めっちゃイケメンじゃない?」
第一声は、お母さんにそう言われた。
「……あ、あの、直樹くんは?」
俺が恐る恐る訊ねると、
「……兄ちゃん、今検査中だって」
弟が心配そうにこたえてくれたが、どこか冷静だ。
しばらくして、戻ってきた直樹はベッドの上で、まだ少し青ざめた顔で横になっている。
俺を見ると、弱々しくも小さい手を上げて合図する。
「……迅さん……来てくれたんですね……」
お母さんは少し笑みを浮かべながら、
「はい、はい。ちゃんと連絡しましたからね」
俺は直樹のほうに歩いていって、手を握ると、ひんやりしていていつもの生気が感じられなかった。
「直樹……大丈夫、俺がずっとそばにいる……絶対に放さない」
直樹は小さく目を開け、眠そうに微笑む。
「……迅さん……ありがとう……」
その瞬間、俺は心の中で決める。
(家族として……いや、それ以前に、俺は――これからもずっと、お前を守る。ずっと一緒にいよう)
病室で直樹の手を握ったまま、直樹の家族と俺は医師に呼ばれる。
直樹の病状が説明される。
直樹は虫垂炎、いわゆる盲腸というやつだった。
炎症が広がってるので、手術で摘出する、ということだった。
「それで、手術の同意書なんですが……ご家族の署名が必要です」
その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。
(家族……か。俺じゃダメ……なのか……)
頭の中で動揺が渦巻く。
目の前の直樹は、まだぐったりしている。
思わず直樹の額に手を当てる。
(俺は、お前を守れないのか……)
同意書には直樹の両親がサインをした。
それから直樹は手術の準備が進められ、出棟した。
待合室で待っているとき、俺は一人項垂れていた。
でも、俺は、決めた。
もう迷わない。
家族として……
いや、俺の直樹を守るために、結婚しよう。
病室に戻り、直樹の寝顔にそっと話しかける。
「直樹……結婚しよう。今すぐじゃなくても、手続きを含めて正式に……ずっと一緒にいるためにな」
まだ麻酔が覚めきらず、うつらうつらしていた直樹は目を細め、少し赤らんだ顔でかすかに微笑む。
「はい……ずっと一緒に……」
握った手をぎゅっと強く握り返してくるその感触に、俺の胸はいっぱいになる。
よし……これで、もうお前を絶対に離さない。
病室は静かだが、二人の心は温かく、甘く満たされていた。
これまでのラブラブな日常の延長で、やっと正式に「家族」となれるのだ。
「白鷹です」
『白鷹迅さん? 小国直樹の母です。実は直樹が倒れました……病院までお越しいただいてもいいですか』
声は明らかに緊張していた。
(……直樹が、倒れた……!?)
思わず息を呑む。
胸がぎゅっと締め付けられ、呼吸が荒くなる。
「わ、わかりました……すぐに病院に向かう……!」
俺はすぐ行動に移す。
過保護なほどに、全力で直樹を守る覚悟が湧き上がった。
病院に向かう道中、頭の中で思う。
「お前が……直樹が、弱ってるときに、そばにいられないなんて……そんなの、絶対に嫌だ」
瞬間的に頭の中が全て真っ白になった。
タクシーを手配し、急いで乗り込む。
手が震えて、心臓が早鐘のように打つ。
(直樹……待ってろよ、今すぐ行くから……!)
病院に着くと、直樹の両親と大学生くらいの青年がいた。
「うわぁ、びっくりしたじゃないのー! めっちゃイケメンじゃない?」
第一声は、お母さんにそう言われた。
「……あ、あの、直樹くんは?」
俺が恐る恐る訊ねると、
「……兄ちゃん、今検査中だって」
弟が心配そうにこたえてくれたが、どこか冷静だ。
しばらくして、戻ってきた直樹はベッドの上で、まだ少し青ざめた顔で横になっている。
俺を見ると、弱々しくも小さい手を上げて合図する。
「……迅さん……来てくれたんですね……」
お母さんは少し笑みを浮かべながら、
「はい、はい。ちゃんと連絡しましたからね」
俺は直樹のほうに歩いていって、手を握ると、ひんやりしていていつもの生気が感じられなかった。
「直樹……大丈夫、俺がずっとそばにいる……絶対に放さない」
直樹は小さく目を開け、眠そうに微笑む。
「……迅さん……ありがとう……」
その瞬間、俺は心の中で決める。
(家族として……いや、それ以前に、俺は――これからもずっと、お前を守る。ずっと一緒にいよう)
病室で直樹の手を握ったまま、直樹の家族と俺は医師に呼ばれる。
直樹の病状が説明される。
直樹は虫垂炎、いわゆる盲腸というやつだった。
炎症が広がってるので、手術で摘出する、ということだった。
「それで、手術の同意書なんですが……ご家族の署名が必要です」
その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。
(家族……か。俺じゃダメ……なのか……)
頭の中で動揺が渦巻く。
目の前の直樹は、まだぐったりしている。
思わず直樹の額に手を当てる。
(俺は、お前を守れないのか……)
同意書には直樹の両親がサインをした。
それから直樹は手術の準備が進められ、出棟した。
待合室で待っているとき、俺は一人項垂れていた。
でも、俺は、決めた。
もう迷わない。
家族として……
いや、俺の直樹を守るために、結婚しよう。
病室に戻り、直樹の寝顔にそっと話しかける。
「直樹……結婚しよう。今すぐじゃなくても、手続きを含めて正式に……ずっと一緒にいるためにな」
まだ麻酔が覚めきらず、うつらうつらしていた直樹は目を細め、少し赤らんだ顔でかすかに微笑む。
「はい……ずっと一緒に……」
握った手をぎゅっと強く握り返してくるその感触に、俺の胸はいっぱいになる。
よし……これで、もうお前を絶対に離さない。
病室は静かだが、二人の心は温かく、甘く満たされていた。
これまでのラブラブな日常の延長で、やっと正式に「家族」となれるのだ。
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