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第四部
Ⅳ
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夕方、退勤時間近く。
舟形先輩が
「今日はちょっと用事があるんで定時で失礼します」
と早々に帰っていった。
俺も帰り支度をしていると、スマホが鳴った。
天城さんからの連絡。
『もしもし、白鷹くん?』
「あ、はい」
『明日の打ち合わせで必要な確認があるから、ちょっと会えるかな。君の会社の近くに向かうから』
天城さんからの連絡が来た瞬間、一瞬胸がざわつく。なんか、罪悪感も感じてしまう。
「仕事だから」と自分に言い聞かせるけれど、手のひらに汗をかく。
舟形先輩は帰ってしまった。
桐島課長に確認したら、忙しそうにしていて、
「直樹、1人で平気か?」
と聞いてくる。
桐島課長の『平気か?』は俺が一人で仕事ができるかって心配だ。
少しだけ、桐島課長の声で、冷静になる。
でも、まだ心臓の高鳴りは止まらない。
俺は、大丈夫です、と言い、天城さんの呼び出しに、応じることにした。
天城さんに呼び出されたのは柔らかい照明と静かなジャズが流れる店。
窓際の席に案内されると、天城さんはすでに資料を広げて待っていた。
スーツの襟元がきっちり整い、手元にはタブレット。
――仕事の打ち合わせだから、落ち着かないと。
俺は自分にそう言い聞かせる。
「白鷹さん、こちらへ」
天城さんが穏やかに手で示す。
俺は少し胸を押さえる。
……罪悪感があるけど、
でもこれは、仕事だから……!
「はい」
足取りがわずかに早くなる。
店内は落ち着いていて、他の客は遠くのテーブルにいる。
声を低くすれば会話はほとんど漏れず、二人きりの空間が自然に作られていた。
「資料は確認済みですか?」
天城さんの声は低く、落ち着いている。
でも、じっと見つめられる視線で、俺はざわつく。
「え、ええ……ほぼ」
手元の資料を整えながら答える。
心臓がバクバクして、手が少し震える。
(……普通に仕事の確認なのに、なんでこんなに緊張するんだろう)
天城さんはくすり、と笑った。
「そうですか。では、少し確認していきましょうか」
微笑は柔らかいが、どこか意味深な感じ。
俺は目をそらしながら資料を開く。
「仕事だから、仕事だから……」
自分に言い聞かせるけど、胸の高鳴りは抑えられない。
資料を前にして向かい合う二人。
天城さんは淡々と、必要な箇所にだけ指を置きながら説明していく。
「この部分、明日の打ち合わせで重点的に話す必要があります。確認済みですか?」
「はい、確認しました……」
俺は声を落ち着かせようとするが、手元のペンが少し震える。
(……なんで、こんなに心臓が……)
天城さんは軽く微笑む。
「資料は正確ですね。見やすく整理されています」
褒められるだけなのに、顔が熱くなる。
(仕事の話なのに……!)
「ありがとうございます」
言葉を返すが、つい視線を落とす。
すると天城さんの指が資料の上で止まり、ゆっくりと顔を上げて俺を見る。
「白鷹さん、集中してますね……でも、目が少し泳いでいるように見えます」
「え……あ、そ、そんなこと……」
俺は顔を真っ赤にし、視線を資料に戻す。
ペン先を握る手も力が入る。
天城さんは小さく笑った。
「心配しなくていいですよ。僕も、こういう細かい確認は緊張しますから」
言葉は穏やかだが、その微笑にはどこか意図があり、俺の心臓が高鳴る。
(……え、なんでこんなにドキドキするんだろう……)
「では、この項目について少し詳しく見ていきましょうか」
天城さんは再び仕事モードに戻る。
でも俺は、資料に向かいながらも、心の奥で天城さんの視線や微笑みを何度も反芻してしまう。
「仕事だから、仕事だから……」
自分に言い聞かせる直樹。
しかし、確かなことがひとつ――
天城さんと向き合うこの時間が、今の自分にとって想像以上に刺激的だということだった。
舟形先輩が
「今日はちょっと用事があるんで定時で失礼します」
と早々に帰っていった。
俺も帰り支度をしていると、スマホが鳴った。
天城さんからの連絡。
『もしもし、白鷹くん?』
「あ、はい」
『明日の打ち合わせで必要な確認があるから、ちょっと会えるかな。君の会社の近くに向かうから』
天城さんからの連絡が来た瞬間、一瞬胸がざわつく。なんか、罪悪感も感じてしまう。
「仕事だから」と自分に言い聞かせるけれど、手のひらに汗をかく。
舟形先輩は帰ってしまった。
桐島課長に確認したら、忙しそうにしていて、
「直樹、1人で平気か?」
と聞いてくる。
桐島課長の『平気か?』は俺が一人で仕事ができるかって心配だ。
少しだけ、桐島課長の声で、冷静になる。
でも、まだ心臓の高鳴りは止まらない。
俺は、大丈夫です、と言い、天城さんの呼び出しに、応じることにした。
天城さんに呼び出されたのは柔らかい照明と静かなジャズが流れる店。
窓際の席に案内されると、天城さんはすでに資料を広げて待っていた。
スーツの襟元がきっちり整い、手元にはタブレット。
――仕事の打ち合わせだから、落ち着かないと。
俺は自分にそう言い聞かせる。
「白鷹さん、こちらへ」
天城さんが穏やかに手で示す。
俺は少し胸を押さえる。
……罪悪感があるけど、
でもこれは、仕事だから……!
「はい」
足取りがわずかに早くなる。
店内は落ち着いていて、他の客は遠くのテーブルにいる。
声を低くすれば会話はほとんど漏れず、二人きりの空間が自然に作られていた。
「資料は確認済みですか?」
天城さんの声は低く、落ち着いている。
でも、じっと見つめられる視線で、俺はざわつく。
「え、ええ……ほぼ」
手元の資料を整えながら答える。
心臓がバクバクして、手が少し震える。
(……普通に仕事の確認なのに、なんでこんなに緊張するんだろう)
天城さんはくすり、と笑った。
「そうですか。では、少し確認していきましょうか」
微笑は柔らかいが、どこか意味深な感じ。
俺は目をそらしながら資料を開く。
「仕事だから、仕事だから……」
自分に言い聞かせるけど、胸の高鳴りは抑えられない。
資料を前にして向かい合う二人。
天城さんは淡々と、必要な箇所にだけ指を置きながら説明していく。
「この部分、明日の打ち合わせで重点的に話す必要があります。確認済みですか?」
「はい、確認しました……」
俺は声を落ち着かせようとするが、手元のペンが少し震える。
(……なんで、こんなに心臓が……)
天城さんは軽く微笑む。
「資料は正確ですね。見やすく整理されています」
褒められるだけなのに、顔が熱くなる。
(仕事の話なのに……!)
「ありがとうございます」
言葉を返すが、つい視線を落とす。
すると天城さんの指が資料の上で止まり、ゆっくりと顔を上げて俺を見る。
「白鷹さん、集中してますね……でも、目が少し泳いでいるように見えます」
「え……あ、そ、そんなこと……」
俺は顔を真っ赤にし、視線を資料に戻す。
ペン先を握る手も力が入る。
天城さんは小さく笑った。
「心配しなくていいですよ。僕も、こういう細かい確認は緊張しますから」
言葉は穏やかだが、その微笑にはどこか意図があり、俺の心臓が高鳴る。
(……え、なんでこんなにドキドキするんだろう……)
「では、この項目について少し詳しく見ていきましょうか」
天城さんは再び仕事モードに戻る。
でも俺は、資料に向かいながらも、心の奥で天城さんの視線や微笑みを何度も反芻してしまう。
「仕事だから、仕事だから……」
自分に言い聞かせる直樹。
しかし、確かなことがひとつ――
天城さんと向き合うこの時間が、今の自分にとって想像以上に刺激的だということだった。
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