魔王さまに抱かれるもふもふツンデレオオカミの僕

蒼井梨音

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65.婚姻の儀

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夕暮れの光が、祭壇を照らしていた。

周年祭の喧騒は静まり、周年祭のために設けられた中央広場は、祝祭の場ではなく――誓いの場となった。

リュカは、ゼファールの隣に立っている。

先ほどと変わらないのに、
正装の重み、視線の多さを感じて、
胸の奥が、きゅっと締めつけられるようだった。

それでも、ゼファールの手は変わらずそこにあった。

司祭の声が、澄んだ空気に響く。
「――ここに集いし皆の前で、
この二人は、共に生きることを誓います」

風が吹き、花びらが一枚、舞い落ちる。

まず、ゼファールが一歩前に出た。
その背は、揺るがない。
領主として、魔王として、王族として。
そして今は――一人の男として。

「俺は、リュカを伴侶として迎える」
低く、はっきりとした声。
「喜びも、苦しみも、迷いも、すべてを分かち合い、
隣に立ち続けることを誓う」
ゼファは、リュカを見た。
「この手を離さない」

その言葉に、リュカの胸の奥が熱くなった。

次は、リュカ。
喉が、少しだけ詰まった。
……大丈夫。
昨日、何度もそう言ってもらったんだ。
リュカは、ぎゅっと拳を握り、顔を上げる。

「ぼ、僕は……」
声が、わずかに震える。
「ゼファの隣に立つ。
守られるだけじゃなくて……一緒に戦って、一緒に悩んで……」
尻尾が、ふわりと揺れた。
「ずっと、一緒に生きる」
言い切った瞬間、胸にこみあげるものを、止められなかった。

「……っ」
目の奥が、熱い。
「な、泣いてなんか……ない!」
慌てて顔を背けるが、尻尾は正直で、ぼわっと膨らみ、ぱたぱたと揺れている。

小さなどよめきと、あたたかな笑いが起こる。
ゼファールは、そっとリュカに近づいた。
指先で、リュカの頬に触れ、涙を拭う。
「無理するな」
囁くような低い声は、ひどく優しい。
「綺麗だよ」
そう言うと、ゼファールはリュカに口付けた。

リュカは、真っ赤になった。
「……ばか」
でも、逃げなかった。

司祭が、静かに告げる。
「誓いは、交わされました」

その瞬間――

歓声が、広場を包んだ。

祝福の声。
拍手。
笑顔。

ルーシアとミレーニアが、前に出てくる。
「兄上、おめでとうございます!」
「お兄さま、リュカちゃん、おめでとう!」

花や穀物、白い花弁が宙を舞う。
まるで、ライスシャワーのように。

人々が、道を開く。
「お幸せに!」
「魔王さま! 伴侶さま!」
その中を、二人は並んで歩く。

リュカは、少しだけゼファールに近づいた。
指が、自然に絡まる。

――もう、離れない。

春の光の中、
二人は確かに、同じ未来へと踏み出していた。




※また続きをありますが、区切りができたので、ここで一旦しめます。
お読みいただきありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。


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感想 1

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みんなの感想(1件)

まぬまぬ
2025.12.19 まぬまぬ

リュカのツンデレと尻尾が大好きです!

2025.12.19 蒼井梨音

感想ありがとうございます。
これからも、リュカの尻尾がもふもふしていくのでよろしくお願いします(๑・̑◡・̑๑)

解除

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