家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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2章

決意

追放の森で暮らすようになって五年。
 十歳の誕生日、盛大に行われた魔力測定の式典で――
 アイラは“測定不能の魔力”を叩き出した。
 その瞬間、公爵家の空気は一変した。
 「……この魔力は危険だ」
 「爆発でも起こしたらどうする」
 「こんな子を公爵家に置いておくなど、あり得ん」
 本来なら誇らるはずの強大な魔力。
 だが常人を遥かに超えるその力は、
 “恐怖の対象”としてアイラに向けられた。
 母は震える手で距離を取り、
 兄たちは目をそらし、
 父ガルドは重々しい声でこう言った。
 ――「……お前は、我が家には置けぬ」
 そして、唯一の保護も説明もなく、
 馬車一つで“星降りの森”へ送り込まれた。
 その日から五年。
 十五歳になったアイラは、
 森の奥でフェンリル、ウィングキャット、シャドーベアと共に暮らしていた。

 アイラは決めた。
「……旅に出たい。
 力が怖いって言われたままじゃ嫌だ。
 自分で……わたしの未来を選びたい」
 焚き火のそばで言うと、
 フェンリルがゆっくりと立ち上がった。
 銀の髪と蒼い瞳を持つ人型の姿。
 威厳に満ちているのに、
 見つめる瞳は優しく溶けていた。
『アイラ。お前の決意は、我らの誇りだ。
 世界がどう言おうと、お前は愛しい我が子だ』
 胸が熱くなる。
 ウィングキャットは小柄な少年の姿で尻尾を揺らし、
『にゃは! 旅の町って、おいしいものあるかな~?』
 と笑い、
 シャドーベアは黒髪の青年の姿で、
『……アイラが怖い時、ぼくが手……握る』
 と頭に手を置いた
 涙がこぼれる。
「みんな……ありがとう。行こう、一緒に」

 旅支度は丁寧に進められた。
 魔力の暴発を抑えるための護符、
 フェンリルが鍛えた短剣、
 森の薬草と保存食。
 三体の従魔はすでに人型へ変化し、
 町でも問題なく行動できるよう準備万端だ。
 荷物を背負いながら、アイラは森の出口を見つめる。
(怖くない……わたしはもう、公爵家の“捨てられた子”じゃない)
 五年前に涙で見えなかった森の景色は、
 今日ははっきり見える。
「行こう。わたしの人生を取り戻しに」
 フェンリルが微笑む。
『世界に示す時だ。……お前の力が“祝福”であることを』
 こうして、
 恐れられて追放された少女は――
 新しい人生を歩き出した。
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