家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜

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3章

初めての依頼

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冒険者登録を終えたあと、
アイラは胸をドキドキさせながらギルド中央の掲示板を眺めていた。
(はじめての依頼……どうしよう……
 できれば簡単なやつからにしたいけど……)
ウィングキャットがひょいっと背中に乗り、
耳元でささやく。
「アイラ~、最初は弱い魔物退治とかどう?
 これとか、スライム討伐!」
「うん……スライムなら、怖くないかも」
シャドーベアは横から紙をじっと見つめ、
「……弱い。すぐ終わる」
と短くつぶやく。
フェンリルは腕を組んだまま、優雅に頷く。
「初依頼としては妥当だ。
 スライム程度なら、危険も少ないだろう」
アイラはスライム討伐の紙をそっとはがし、
受付へ持っていった。
「す、すみません……これ、お願いします」
受付嬢は一瞬だけ青ざめる。
(神獣三体を連れた少女がスライム倒し……!?)
だがすぐに笑みを浮かべ、
「は、はい! どうぞご安全に!」
と送り出した。

ギルドを出て森へ向かう途中、
ウィングキャットは楽しそうにくるくる飛ぶ。
「はじめての依頼だね、アイラ! わくわくするね!」
シャドーベアは影の中から現れたり隠れたり。
「……ぜったい、まもる」
フェンリルはアイラの横で歩きながら、
時折優しい視線を向けた。
「緊張しているか?」
「す、すこしだけ……」
「無理もない。だが大丈夫だ。
 我ら三体がいる限り、お前に傷ひとつつけさせぬ」
アイラはふっと笑った。
(みんながいてくれれば……本当に心強い)

スライムが出るという小さな草地に到着すると──
「……いた!」
ぷよん、と青いスライムがひとつ跳ねていた。
アイラは気合を入れる。
(よし……私、がんばる……!)
だが──
「任せて、アイラっ!」
ウィングキャットが飛び出した。
「あっ、ちょ、待って──」
バシュッ!!!
青いスライムは、
ウィングキャットの爪の一撃で見事に四散した。
「あ……終わっちゃった……」
「……弱い」
シャドーベアが無表情でぼそりと言う。
フェンリルは肩をすくめた。
「ふむ、我らが出るまでもなかったな」
アイラは思わず地面にへたり込みそうになった。
(はじめての依頼……私、なにもしてない……)
そのとき──
「キャアアアアアア!!」
森の奥から悲鳴が聞こえた。
アイラは思わず振り返る。
「い、いまの……!」
フェンリルの目が細く鋭く光った。
「ただのスライム退治では終わらぬか。
 どうやら、本物の“依頼”が来たようだ」
ウィングキャットが翼を広げて言った。
「アイラ! 助けに行こう!」
シャドーベアはすでに影へ溶け込み、
低い声でつぶやいた。
「……守る」
アイラはぎゅっと拳を握った。
(私に……できることがあるなら……!)
「行こう、みんな!」
三人は一斉に、悲鳴の方向へ駆け出した。
──アイラの“本当の初依頼”が、今始まる。
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