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贄に捧げる神の恋歌《うた》
2.虚にこぼした この想い
しおりを挟む戦神は、決して供物を受け取らなかったとされている。
長きに渡り、霊峰を守って戦った神。
鍛冶の神に供物を捧げるように、風の神に供物を捧げるように。
戦神に供物を捧げ、祝福を授からんとした者はいた。
けれども、決して戦神は供物を受け取らず、祝福も与えることはなかった。
何故供物を受け取らず、人の子らを守るのか。
何故対価を求める事なく敵を屠っていくのか。
問われても戦神は寂しく笑うだけで、深くは語らない。
ただ、対価はすでに支払われた。と寂しく語るのみだった。
「なぁ、戦神。目でも手でも供物にやるから、オレに祝福を与えておくれよ」
「…………くどいぞ」
「なぁなぁなぁ、なあってば!!」
「…………くどい。シュリの子」
木漏れ日の下で、瞑想と称して目を閉じて静かな眠りについていたら、揺さぶられるように起こされた。
戦神が神となってから随分と時が経った。
敵を屠れば屠るほど、時を経るたびに人の子の祈りが降り積もり、神なる力が堆積していくのを感じた。
魔力が深く満ちる地とはいえ、霊峰の地からだけでなく、この地に住まう人々の祈りが、神々に力を与えているのだということを知るようになった。
ゆえに、供物を取り込み力を増幅させ、その中から零れた力を祝福として人に与えることは、戦神にも可能かと思われた。
理論上は。ただ乞われても応じないだけで。
「なんでいけないんだよ! ケチー!」
「ケチじゃない、俺はそういうのはしない神なんだよ」
「いいじゃねーか! 祝福の一つや二つ!」
「あの、なぁ……はぁ」
もう教義を受け始めても良い年頃の少年が、本気で地団駄を踏み、ひっくり返ったカメムシのように手足をバタバタとさせる。
振り回された手足が背中や腰に当たり、地味に痛い。
金髪をかき上げ、この暴れ小僧の手足を抑えるにはどうしたら良いものかと思案する。
古き馴染みに似た少年を突っぱねるほど、戦神は優しさを捨てきることはできず、さりとて人から奪う行為を是とできないほどには苦い過去があった。
どうしたものかと、荒れ狂う筏のように回転し始めた少年をただ無力ながらも見続けるのみ。
次第に少年自体も回転することに興が乗ったのか、手をバタつかせながら高速で回転し始めた。
すでに当初の目的を忘れているだろうな。
ますます得体の知れない高速回転少年となってしまった存在を困惑した目で見下ろしていた。
「こら! あんた何やってんのよ!! 戦神様が困っているじゃないのよ!」
助け船が来た。そう戦神がほっとした瞬間、遠くから走り寄ってきた娘は回転する少年の胴を蹴り上げる。
「ぐふっ」
「もーー! 恥ばかり見せてあんたはもーー!」
げほっげほげほと身体を折って咳き込む少年の背をさすりながら、容赦を一切しなかった少年にそっくりな少女を恐る恐る嗜める。
「シュリの娘、さすがに今のはちょっと……」
「もーごめんなさいねー戦神様! この馬鹿、本当に馬鹿で!」
「ってーな、ねぇちゃん! オレは今、抗議の舞を献上していたところだ! ほら、受けとれ! そして祝福を寄越せ!」
「や、いらない」
全くいらない。お返し申すと舞の受け取りを拒否した。
「もーー! あんたって子はーー!」
姉は弟に追撃をかける。
「戦神様のご尊顔を曇らせるんじゃないわよ!」
「顔が良ければ何でもいいのか! オレだって鼻は高くて目元もくっきりした美少年だぞコラ!」
「性格がすべてぶち壊しているんでしょうがーー!」
容赦なく少年に打ち込まれる鉄槌に、戦神は何とも言えない表情を浮かべる。
「何故、俺の祝福を乞う。神々の中では一番若く、祝福を与えたこともない神だというのに」
その問いに、少年は強い力が灯る瞳で答えた。
「あんたが一番人に寄り添ってくれるからだ。……人から神になった戦神。他の神は祝福を与えても、人の戦には見て見ぬふりをしている。あんただけだ。一緒に戦ってくれるのは。だから、祝福を貰うならあんたがいいと思った。それだけだ」
偉そうな口をきく前にちゃんと自分を鍛えたらどうなのよ! と姉にずるずると引きずられて行った。
嵐のような……否。
高速回転するひっくり返ったカメムシのような少年は過ぎ去っていった。
紫金色の髪の少年は、その後、何度も何度も戦神に頼みに行ったが、戦神は困った表情を浮かべるのみ。
「ねぇちゃん、良い人に嫁がせたいんだよー! オレが力を持てば、箔がつくし!」
「そうか」
「余計なお世話よーー! ちゃんと相手ぐらい探せるわよ!!」
「ねぇちゃん面食いだから本当に大変で」
「天誅ーーー!!」
荒ぶる春の嵐のような紫金色の髪の姉弟に、笑いを噛み殺す。
本当に、古き馴染みに似て元気なものだ。
年月を重ね、シュリの娘は馴染みの美青年と婚姻が整い、シュリの子も証として剣を与えられ、火の神に供物を捧げて力を得た。
「なぁ、戦神」
初陣の武者震いに歯をガタガタとさせていた少年はニィっと嗤う。
「あんたの祝福は貰えなかったけどさ。オレが死んだらあんたの眷族にしてくれよ」
気が向いたらな。そう返答し、その頭をぺしりとひとつ優しく叩いた。
「ねぇねぇねぇ、戦神様。強き神様、守り神様!」
またうたた寝をしていると、目がぱっちりとした烏金色の髪の少年が身体に乗り上げてきた。
このような無遠慮な無体を働く輩に会うのはいつぶりだろうか。ぱちぱちと翡翠色の瞳をまばたきしていると、ずいと顔を寄せられる。
「俺絶対に強い戦士になるから、祝福を与えて欲しいのだけれど」
「まずは礼儀として、人の鳩尾に足を乗っけて覗き込むのはどうかと思うけど」
「逃げられないように! 早い者勝ちかもしれないし!」
ひょいと小さな身体の襟を掴んで退ける。
「やっぱさー! 戦士たる者早いうちから神様に打診しておくのって大切だろう? 俺最強の戦士になるからさ、唾つけるなら今だよ!」
まぁ、この人の気も一切汲まない部分は好む神もいるだろうが……。
古き馴染みに似た存在に、また戻ってきたのかとふわりと笑む。
「俺は供物は受け取らない神だ」
「いいだろ、あんたの眷族の一体や二体、分けてくれよ!」
「眷族は持っていない」
「え!? 嘘だろ。眷族持ってないのか?」
眷族とは、神々が使役する守護精霊の事を指す。
神が自身の身体の一部を分け与えたものが精霊となり、強き守護の力となって神を支える。
供物を捧げた者の中には守護精霊を仮初の間与えられる者もいた。
「俺が持つのは俺自身が戦う力のみ。分け与える力はない」
「ふーん、じゃ、髪を捧げるからその力を授けてよ」
「…………」
ぺちりと少年を転がす。
「供物を捧げて祝福を授かるなんて、民の中では行わない者も増えてきたぞ」
「みんなみんな、戦神たるあんたにすがってな。昔は誰しも男は猛々しい戦士たちだった、って言うけれど、今じゃ教義に従い供物を捧げるのもごく一部だけだ」
「時は移ろう。そういうものだ」
「だけど、神秘はまだある。森の奥にはまだ怖い神様がいるし、供物を捧げて欠けた者たちだっている。俺は、この霊峰が好きだ。守りたい。だから、欠けるのも怖くないよ」
「……そうか」
だが数年後、油断した霊峰の民たちに、大いなる災いが訪れる。
「なぁ、戦神。オレに地を駆け、空を飛ぶ力を授けてくれよ」
腹に突き刺さった頭に懐かしさを感じていると、いつものように祝福を求めてきた少年の身体を転がして、その場を退く。
「俺は供物を受けとれない。神と人の契約は、天秤が釣り合わなければならない。だから、俺は与える事ができないんだ」
「そんなに心をすり減らしても?」
「……」
「あれだけ数を減らした民が、再びここまで数を増やせたのも、あんたが守ってくれたからだ」
「零れ落ちた命も多かった」
「でも、守ってくれた命も多かっただろ」
「……」
「次の戦にはオレも出る」
「……まだ教義を教わる2年も過ぎていない、子どもじゃないか」
「でも敵は待ってはくれないだろう? ……なぁ、もしもオレが上手くやったら、ご褒美をくれよ」
「お前たち子どもが戦わなくて済むように、大人がいるんだ。戦神という俺も、な。」
まだ早いと少年の髪をくしゃくしゃにした。
少年は不貞腐れたように、その手を受け入れていた。
紫金色の髪の少年は、片目を捧げて火の力を得て、炎を纏う剣によって、多くの敵を葬り去った。
けれども、戦場は多くはなく、数に囲われ討ち取られた。
戦神がその戦局に斬り込んでいった時にはすでに遅く、最期の言葉を聞いて慟哭する娘に伝えなければならなかった。
烏金色の髪の少年は、神々が愛する暁を閉じ込めた髪を供物に嵐の神の守護精霊を得た。
けれども時すでに遅く、夜襲された霊峰の民は次々と命を落としていった。
戦神がなんとか民を連れて森の奥まで逃れた際、しんがりとして少年は嵐を纏いて敵を足止めした。
神なる身でどれほどの力を持ってしても、零れ落ちてしまう命に戦神は慟哭した。
生き長らえた民たちが、命育むのを、敵は待ってはくれなかった。
戦神がなんとか身を削りながら押し止めても、二十数年しかもたなかった。
証の大剣が敵の血で滑り、術を放つ魔力すら尽きかけていた。
戦士の数はもとより、戦神という強大な守り神を得た民たちの中には、身を捧げて力を得るものたちも減っていた。
その薄い守りで敵を抑えるのもやっとのところだった。
じりじりと追い詰められる中で、戦えぬ者たちにも被害が出始めた。
逃げ遅れた若い娘の髪を、敵が掴む。
振り下ろされる剣に誰しもが最期を覚悟したとき、少年が娘をかばって切り捨てられた。
また、だ。
また。
救えなかった命に、届かなかった力に。
何故神と名乗れるのだろうか。
慟哭に近い魂の叫びは、呪詛となって敵を溶かした。
魂を削って敵を駆逐した後、残されたの痛ましい躯の山であった。
幾分にも身も魂も削れた戦神は、何度生まれ変わっても自身に力を求める少年の躯を見下ろした。
古き馴染みと似ている者。
野を駆け春の嵐と見紛うほどの、生命に満ちた魂。
「三度目だ。三度。入れ物は違うのに、同じ魂でやって来て、やれ祝福をやれ力をとお前は……」
美しくて、力を求めた魂。
きっと同じものを好んだ同士なる魂。
共に開いた虚は深く。
埋めることはできはしなかったけれど。
背中を預けるには、この者以外はいないだろう。
「よくぞ、守った。よくぞガロウ=マロウの戦士として、弱き者を助け、霊峰を守った。戦士として、見事なり。その魂よ、永久に。我が眷族として舞い戻れ」
再生の炎が少年の躯を覆い、燃え尽きると美しい輝きを放つ魂となる。
生前の、様々な願いが祈りとなって、魂に注がれた。
地を駆ける足は強靭で、羽ばたく翼は風を巻き起こし、その菫色の瞳は強く光る。
狩人と呼べるその嘴は、猛禽類のその鋭さであった。
戦神が御霊を核に産み出した精霊は、鷲獅子と呼ばれる霊獣に類似していた。
『ピィィィィィ!!!!』
甲高く、力強い声で戦神の眷族は鳴いた。
「俺が行くのは、底無し沼のように終わりの見えない道だぞ」
『ピィィィィィ!』
そんなことはわかっている。
そう伝えるようにぐりぐりと背中を嘴でつつく。
抉られた背中の痛みに耐えながら、戦神はニィっと嗤う。
「この霊峰の外に戦場を持っていくことはなかったんだが……ここまでやられたんだ。きちんとお返しをしようか」
『ピィィ!!』
戦神は、霊峰を離れる神々から幾つかの守護精霊を授かったが、自身が産み出した眷族はこの鷲獅子だけであった。
この赤銅色の毛並みを持つ眷族は、戦神が最後のひとりになるまで、付き従った。
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