つもるちとせのそのさきに

弥生

文字の大きさ
17 / 18

エイプリルフール小話

しおりを挟む
※4/1にエイプリルフールネタとして書いたSSを加筆修正しました。

「ライ! 今日はどうやら公然と嘘がつける日のようだ!」
「え? 昨日、もう描かれることはないでしょう……さらば……エターナル……的(※)な事言ってませんでした?」
「そんなことよりも! 私がお前を騙してやろう!」
「はいはい」
(※ 3/31にムーンで最終話投稿した時、つもるに関してすべて書いたのでもう書くことはありません! と後書きで書いた翌日、舌の根も乾かぬうちにこれを書くという……。なお、現在あれから2万字程度加筆しています。エターナルとは?)



 騙してやろうと、ジーンが得意そうに胸を張る。
「昨日とうとうズッキーニ君375号が完成した!」
「まだあれつくってたの!?」
「実は早朝、お前のズッキーニに尿道ブジーを刺したら抜けなくなった!」
「まっ!? 待って!?!? 何してるの!!? 目覚めたら息子が痛くて尿結石できたかと思ってたんだけど!? 結石、痛い、治療で情報端末検索しちまったんだが!?」
「お前の新しい性癖を開拓しようかとしたら失敗したな!」
「うわ、まっまじで……と、取れないっ(涙目)」
「じゃーん! お詫びに今日は透け透けのいやらしい下着を着けているぞ!」
「すぐにひん剥く!」
「実はここにお前の子が!」
「………………………まじで?」
「(╹◡╹)」
「本当に………?」



『\コンニチハ/ズッキーニクン375ゴウダヨ//』
「しゃべる機能を搭載させてみた!」
「そんなオチだと思ったぜ……」
「ふふふ、騙されたな!」
「いや坊っちゃんならできそうとか思ってないですよまじで……」
「なんだ? ずいぶんとがっかりしているな」
「いや何でもないですよ……はは」
「まぁ、私なら遺伝子操作で作れるが」
「作れるんかい!!」
「なんだ欲しいのか?」
「その……………坊っちゃん似のかわいい子なら蜜月落ち着いたらいつかは……」
「任せろ! 追加オプションは目から破壊光線と尻から巨大化と口から溶解液、どれがいい?」
「お願いしますからオプション全部撤去で」




「いや本当に変なオプションつけられなくてよかった」
「全力で止めたからな。感謝しろよ」
「ははー、下僕カーストさいかそう様、性奴隷ズッキーニ様、雷様おとうさま
「てめぇこの野郎感謝してねーだろ」

 白い長髪に深紅の瞳、そして儚げにも見える美貌の青年を軽く小突く。
 にはっとまったく懲りてない笑みを浮かべた青年は、ジーンよりも長身で、俺よりは小柄に見える……二人の息子だ。
 見た目は儚げな美貌の青年なのに、中身は大層ふてぶてしく育った。
 ……誰に似たんだか。
「しかしジーンは聞けば聞くほど残念だな」
「まぁ、子どものお前には言われたくないだろうが、まぁ、類い稀なるアレだよ」
「残念可愛い?」
「………………まぁ、生涯を連れ添いたいと願うほどには」
「子どもの前で惚気ないでくんない? 引くんだけど」
「お前が最初に聞いたんじゃねーか!」
「あーあ、私もライたちみたいにイチャイチャできる相手が欲しいなぁ」
「まぁ、お前も俺たちみたいに死の概念からは逸脱しているしな。探したらどうだ。つがいはいいぞ~あいつと連れ添って途方もないほどの時を過ごしたが、今でもジーンのやらかしにわりと悲鳴をあげるからな。毎日が新鮮だ」
「直近だと昨日だよね、どうしたの?」
「俺の後ろにズッキーニ君3586号を突っ込もうとしたから返り討ちにした」
「にははっ安定だね。あーあ、どこかに『くっ、殺せ! お前みたいな下衆に身体を奪われるぐらいなら死んだ方がマシだ!』みたいに蹂躙されても涙目で抗う金髪姫騎士いないかな」
「ごふぉっっ、げほ、ごほっ」
「うーわ、汚っ」
「ちょ、待て、待て」
「『凌辱姫騎士マリアンヌの淫夢?』」
「待て! あの端末内の記録はジーンから取り上げた後にすべて粉々にバラしてノイズ加工して意味不明なところまでシャッフルして原型とどめないように数万のBit単位まで解体処置したはずなのになぜそれを!!」
「Bitレベルまで解体処置してあったノイズ混じりの記録の残骸って相当に知られたくないのかなって解読しただけだけど」
「無駄に天才! おいやめろそんな所はジーンに似なくていい!」
 やめろ! くっころ性癖のアーカイブ解読するなよ!! お父ちゃん泣くぞおら!!
 
「さすがにジーンみたいに全部繋ぎ合わせたりはしなかったよ。タイトルで候補絞って元をデータの海からサルベージしただけで。でも良かった……あれは正直いい趣味してるなって思った……」
「息子よ、頼むからそこを似ないでくれ」
「私のゴーヤが火を吹いたな」
「息子とシモの話したくないんだけど? やめてくれない?」
「にははっ息子と息子の話をするなって?」
 べちんと頭をわしゃわしゃする。おい、無駄にジーン似の儚い美青年なのに発言が残念すぎる。

「まぁ、あんたのズッキーニと私のゴーヤは置いておくとして」
「お前以外は話題にしてねーよ」
「なぁ、私はずーっと考えてきたんだけどさ。肉体を持たず精神だけの生命体で、このあまねくすべての世界は自分達の餌場だって思って油断している彼らにさ、絶望を与えてあげたらどんな声をあげるのかなって。ぞくぞくしないか? この星々の“管理者”ってやつの首を押さえて組敷いたらどんな良い声で泣くかなって。両親たちが勝ち得たこの星の未来は結局のところ、あいつらとの均衡を保つこと。勝ち負けで言えば負けていないってだけだろう? 自分達は神だってさ、思い込んでいる存在を地面に這いずり回してやったら、どんな気持ちだろうなって」
 ……赤い瞳がにんまりと笑む。

 ……あぁ、本当に。
 ジーンのような永遠に打ち込むことができる根性と、本物の化け物と呼べるほどの知性、俺と一対一さしで勝負してもとんとんなぐらいの天武の才さえ持ち合わせている。
 おまけに、性格はクソほどネジ曲がっているとくれば、どれほど厄介な相手かは親の俺がよく知っている。

 俺たちに成し得なかったことすらもできるだろうと思うほどには、厄介な人物に育った。
 ……相手にとっては、最悪なことに。

「敵は強いぞ? 途方もないほどに」
「永遠に近いほど、『支配できないものはない』って思い込んでいるのだろう? 無様に服従させるのが楽しみだなぁ~。なぁに、ちょいと遊びで時空転移装置とそれに耐えうる器は造った。ひとりでも行けるけど、せっかくなら玩具が欲しいかな」
 ……あいつらが文明を壊すのも、“それ”を作らせないためにだ。遊びでできる代物じゃないっていうのに。
「ね、あの二人を貸してよ。ジーンに似ている私に弱いんだよね~。すーぐ言うこと聞いてくれる」
尻穴提供者マイク狂信者リュウはどうぞどうぞ、好きに連れてけ」
 にははっと嗤う。
「ついでに、精神だけの生命体を器に閉じ込める装置も開発したんだ~。直に触れてなぶれるなんて、今までそんな刺激に触れたことのない生き物に、シナプス焼き切れるぐらいの刺激を与えたらどんな声で喘ぐかな?」
「…………」
 うわー、我が息子ながら本当にイイ性格してる。父さんドン引きだよ。
 でも存分に、くっ殺してくれ。
「……黒雷くろいかずちを持っていけ。お前なら使いこなせるだろ」
「お、ありがとう父さんライ
 俺たちの物語は終わった。
 ……次の物語は後世に手渡しても良いだろう。

「風は、自由に吹いて世界に満ちるものだ。大いに宇宙そらに羽ばたいてこい、風花かざはな
「ジーンは寂しがると思うから、任せたよライ」
「ま、いつまでも待っているから、存分に暴れてこいよ」
 風の戻る場所として、俺たちはここから見守ろう。
 狂人きぼうをこの星から送り出す。

 風花と呼ばれた青年は、風に舞い上がる白い雪の儚さとは裏腹に、強い意思をもった赤い瞳でにぃっと嗤う。

「神を克する下克上なる物語のはじまりはじまり、なんてね」


  ─完─
 



 此にて下克上なる物語、「つもるちとせのそのさきに」終幕にございます。
 最後までご覧いただき、ありがとうございました!
 



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。

キノア9g
BL
王位継承権を剥奪され、婚約者にも婚約破棄された元王子カイル。 ショックで前世の記憶を思い出した彼は、平民として新たな人生を歩む決意をする。 心配して訪ねてきた旧友レオナードと深い絆が育まれ、カイルは自分の心に素直になる。 過去を乗り越え、共に歩む未来が描かれる物語。 全8話。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

悪役令息の僕とツレない従者の、愛しい世界の歩き方

ばつ森⚡️8/22新刊
BL
【だって、だって、ずぎだっだんだよおおおおおお】 公爵令息のエマニュエルは、異世界から現れた『神子』であるマシロと恋仲になった第一王子・アルフレッドから『婚約破棄』を言い渡されてしまった。冷酷に伝えられた沙汰は、まさかの『身ぐるみはがれて国外追放』!?「今の今まで貴族だった僕が、一人で生きて行かれるわけがない!」だけど、エマニュエルには、頼りになる従者・ケイトがいて、二人の国外追放生活がはじまる。二人の旅は楽しく、おだやかで、順調に見えたけど、背後には、再び、神子たちの手がせまっていた。 「してみてもいいですか、――『恋人の好き』」 世界を旅する二人の恋。そして驚愕の結末へ!!! 【謎多き従者×憎めない悪役】 4/16 続編『リスティアーナ女王国編』完結しました。 原題:転んだ悪役令息の僕と、走る従者の冒険のはなし

処理中です...