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第2章 俺と攻略対象者と、時々悪役令嬢
09話 シナリオは変更します。
しおりを挟む乙女ゲーム“七つの罪~私と貴方の軌跡~”は年齢制限こそないものの、残酷で人間関係が昼ドラ並のドロドロゲームだ。
その名の通り七つの大罪に関した悪魔と契約した悪役をヒロインと共に倒し、過去の傷を乗り越える。
それが主な流れであり、大変人気を博したらしい。
と言っても、あの女がそう熱く語っていただけなので、本当に流行ったかはいまいち分からないが。
そんな人気のゲームの中でも1、2を争う程の人気攻略キャラなのがレイアス・ウェルザックだ。
レイアスは文武両道であり、皇太子の親友ポジションだ。
彼は誰にも本心を見せず、いつも愛想笑いを浮かべている。
性格は冷酷で合理主義者、利用出来るものは何でも使う。
それがいいのだと、熱弁していた。
ゲーム内のレイアスは複雑な家庭環境で育った。
母親はこの国一番の大貴族であるシュトロベルン公爵家の娘。
父親は固有魔法を宿した伯爵家の嫡男。
両親の結婚は政略結婚であり、シュトロベルンの力により強引に結ばれたものだ。
伯爵には、将来を誓い合った幼馴染みがいた。
よって、当然伯爵は妻であるクリスティーナを愛することなく、婚姻後も幼馴染みと関係を持ち続けた。
そして、それに気付いたクリスティーナが伯爵を暗殺する。
悲劇の幕開けだ。
彼女はプライドが高かったのだろう。
相手の女は彼女の家より格下の家のものだったのも、きっと悪かった。
彼女は伯爵をその手にかけた。
その後、クリスティーナは誰の子かも分からないリリスを生んで、社交界で人気があり固有魔法を受け継ぐ家の父様と無理矢理結婚した。
この婚姻を結んだ後、邪魔者であった母様を暗殺する。
実の父親と初恋の人を殺された事から、レイアスは実の母親を憎悪するようになる。
これが俺が聞いたゲーム内でのレイアス・ウェルザックの過去であり、傷だ。
そしてこのルートのメインの悪役は、クリスティーナ・ウェルザック。
色欲の悪魔と契約した彼女はその力に呑み込まれ、ヒロイン達の前にたちはだかる。
これがレイアスのシナリオ、通称色欲ルートの基本的な流れである。
そしてこのルートではメインでないが、ヒロインに嫌がらせをするのが悪役令嬢であるリリス・ウェルザックだ。
彼女はこの国の第3王子の婚約者であり、彼のルートでのメインの悪役である。
彼女はその性質から嫉妬の悪魔と契約を交わし、主人公の前に立ちはだかる。
リリス・ウェルザックはコンプレックス意識が高く、嫉妬深い。
彼女は容姿も勉学、魔力も公爵家の地を引いているのにとても平凡であった。
血筋の事もありそれらの事から、幼少期から卑屈に育った。
だからと言って、自分を高める事はしない。
自分では何の努力もしない癖に、周りの脚ばかり引っ張ろうとするクズ。
それが彼女、リリス・ウェルザックであった。
だからこそ庶民の出で容姿、勉学、魔力に優れたヒロインを、嫉妬し苛めるらしい。
他の悪役は各々のルートでしか出てこないが、リリスは必ずヒロインに敵対する。
ヒロインの存在そのものが、リリスにとっては気に入らないのだ。
レイアスのルートだと、最後は処刑か国外追放になるらしい。
これがゲーム内での、リリスの立ち位置だ。
そして、実際にこの目で見た兄妹仲は既に悪い。
もはや和解不可能なレベルで。
空気も……凍ってたしね。
さっきまで俺にベタベタしてきてたから、乙女ゲームとか言いながらもただ名前が同じってだけなのかと思ってたよ……。
俺はゲームのシナリオを全て知っている訳ではない。
だけど俺がいることで、確実に物語は変わってきている。
俺のゲーム内での立ち位置や出番があったのかは定かではないが、初め俺はゲームのシナリオに関わるつもりは全く無かった。
しかし、これからは傍観者を気取ることは出来なくなるだろう。
少なくとも父様と兄様とは、家族として仲良くしたいと思っている。
だからヒロインとやらには悪いが、シナリオは変更させてもらう。
母様を暗殺なんてさせないし、父様や兄様の事だって守ってみせる。
というか、父様に限っては既に母様がいるしね。
浮気しようもんなら……ヒロイン共々半殺しじゃ済まさないし。
これからも母様一筋を貫いてもらう予定だ。
兄様は……うん。
なるべく残念な感じにならないといいな。
一応攻略キャラだしね。
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