6 / 42
第六話 幼馴染
しおりを挟む
そんなタイミングで奴は現れた。
「あー、先に食べちゃったのかよー。少しくらい待ってくれても良いじゃんか!」
「うるさい、初日から調子に乗るな友達」
理不尽な事を言いながら現れたのは涼樹だ。こいつもこいつで真王と同じくらい距離の詰め方がとんでもない速度だよな。
「寝てるオマエが悪い。怒られて当然だ」
「ちえー」
口を尖らせながらも躊躇う事なくオレの隣に座る涼樹。
別に気にはしないけど……もういい、こいつの事は色々と諦めよう。こういう人種なんだ。
彼が選んだ料理は……肉だな。
豚バラ肉の生姜焼き、トンカツ一枚、メンチカツ二つ、唐揚げが山盛り、お米は特盛り。
——うわぁ。
肉と揚げ物と米。野菜食べろよ……。
「涼樹。たくさん食べるのは良い事だと思うけど、少しは野菜も食べろ?」
「えー、でもさー」
「でもじゃない。身体に悪いぞ」
健康に必要なのは運動、睡眠、そして食事だ。量に関しては個人差があるから何も言わないけれど、バランスに関しては言わせてもらうぞ。
肉は身体に大切。お米だって大切なエネルギー源だ。脂だって全否定するつもりはない。だけど野菜からしか得られない栄養もある。身体作りに重要なこの時期にバランスの悪い食事をするのはダメだ。見逃せないぞ。
「ぷっふふふっ」
「……なんだよ真王」
「だってー、タルタルにはそれを言う資格ないんじゃないかなーって」
「……」
それはそう。
なんせ今日のオレのランチはデザートオンリーだからな。思わずこぼれた真王の笑みが聞こえるのと同時に、こうなる事はわかっていた。
しかし問題はない。既にオレは食事を終えた後、証拠なんて残っていない。真王の証言を涼樹が信じるかは五分五分だ。
「真王? もしかしてマッオマオか?」
……あっれー? もしかして、知り合いなのか? さっきまでそんな雰囲気皆無だったじゃないか。こんなの詐欺だ。遺憾遺憾。
「おっひさー。わっちゃだって気が付かなかったんだー。ひっどーい」
「その謎呼び、間違いなくマッオマオだな! 久し振り!」
きょとんとした表情を浮かべた後、心から嬉しそうな笑顔を見せる涼樹。
「二人とも知り合いだったんだな」
「そーだよー。小さな頃は同じ壁国に住んでたんだー。リヨリヨも来てたんだねー」
一緒に居たのが小さい頃ならば、すぐにわからなくても不思議じゃない。
男子である涼樹の事はまだしも、女子の数年は印象が大きく変わるからな。真王の容姿なら尚更だ。
これは涼樹も異性として意識してしまうのではないか?
「ああっ一ヶ月前からな!」
……良い笑顔だ。そんな気配はなかったな。
「ほー、全然気が付かなかったー」
「えっ、オマエそうだったのか?」
「あれっ、言ってなかったっけか?」
「聞いてない」
オマエも二年からの途中組だったのか。そんな話は聞いてない。……いや、別に知らなくても問題ないといえばないけど……まあいいか。
「わっちゃは七年前からここにいるからねー。本当に久しぶりだー」
「七年前っ!? それってつまり建国初期から住んでたのか!?」
真王の言葉に思わずオレは叫んでいた。
本来ならありえないペースで急成長した壁国ホムラフェルファ。その歴史をその目で見ている少女の存在は、オレの中で衝撃的だった。
「んー、そだよー。本当に凄い国だよねー。元々は内乱から逃げ出した人たちの集まりだからねー。それが元の国を遥かに超える技術を確立させるなんてねー。本当に幸せ者だよね」
幸せだと語る少女。しかし、その目は何処か濁っているように見えた。
——逃げ出した先で幸せになった。純粋な笑みでの言葉ではなく、濁った瞳での言葉。それなら聞かない方が良いんだろう。家族は今どうしているのかは。
「この国はねー、卒業した魔装師たちによって国内の治安維持されてー、外部からの侵略行為からも守られているんだよー。戦うのは怖いけどー、でも、みんなの役に立ちたいもんねー」
さっきまでの濁りが消えた瞳。眠たそうな表情のまま、だけど声は少し真剣な想いが籠っているように感じられた。
戦いが怖い。それは本当なのだろう。だからそれが迷いになっているのだろう。だけど彼女は進もうとしている。自分で決めた道を、人間の道を。
「真王は凄いな。オレには真似出来ない」
「えー? どうしてー?」
「タルトだって魔装師になるために来たんだろ? 同じじゃんか!」
「全然違う。オレのは惰性だ。こいつがあるから、外に理由を求めた結果が今だからな」
任務のために、不自然なくここの生徒になるために与えられた二つの魔装具を見つめながらオレは独白する。
今までの努力を否定する気はない。無意味だったとは思いたくない。だけど結果的にオレは目的を失ってしまった。
両親の事は今でも大切に思っている。愛しているって胸を張って言える。……だけど、復讐する気になんてなれなかった。悪いのは……私《・》たちだから。
「それを言ったら俺も似たようなもんだな。やりたい事があって残ってたけど、結局何も出来ずに魔装具を手に入れて、それでここに来た。まあ、正直俺らしくなかったなって思うし、これでよかったと今じゃ思ってるけどな!」
涼樹には似合わない落ち着いた言葉の後、締めに明るく笑っていた。
(……あれ、もしかしてどっちも訳ありか?)
そんな気しかしない。具体的にはわからないけれど、二人とも何か心の奥に傷がありそうだと、そう感じた。
そんな会話をしながらも、いつの間にか二人とも昼食を食べ終わっていた。
真王はまだわかる。うどんを啜ってる姿を何度も見たからな。しかし涼樹? オマエは一体いつの間に食べたんだ? こんな短時間でなくなる量じゃないぞ!?
全てを噛まずに飲み込んだ。そう言われればまだどうにかギリギリ目を逸らしながらも納得のようなものを微かにする事が出来る。出来るが……噛めよ!
野菜を食べない! 噛まない! 早食い! 三重ペケだぞ!
これは言わねば、仮初の友人だとしても——
「あー、先に食べちゃったのかよー。少しくらい待ってくれても良いじゃんか!」
「うるさい、初日から調子に乗るな友達」
理不尽な事を言いながら現れたのは涼樹だ。こいつもこいつで真王と同じくらい距離の詰め方がとんでもない速度だよな。
「寝てるオマエが悪い。怒られて当然だ」
「ちえー」
口を尖らせながらも躊躇う事なくオレの隣に座る涼樹。
別に気にはしないけど……もういい、こいつの事は色々と諦めよう。こういう人種なんだ。
彼が選んだ料理は……肉だな。
豚バラ肉の生姜焼き、トンカツ一枚、メンチカツ二つ、唐揚げが山盛り、お米は特盛り。
——うわぁ。
肉と揚げ物と米。野菜食べろよ……。
「涼樹。たくさん食べるのは良い事だと思うけど、少しは野菜も食べろ?」
「えー、でもさー」
「でもじゃない。身体に悪いぞ」
健康に必要なのは運動、睡眠、そして食事だ。量に関しては個人差があるから何も言わないけれど、バランスに関しては言わせてもらうぞ。
肉は身体に大切。お米だって大切なエネルギー源だ。脂だって全否定するつもりはない。だけど野菜からしか得られない栄養もある。身体作りに重要なこの時期にバランスの悪い食事をするのはダメだ。見逃せないぞ。
「ぷっふふふっ」
「……なんだよ真王」
「だってー、タルタルにはそれを言う資格ないんじゃないかなーって」
「……」
それはそう。
なんせ今日のオレのランチはデザートオンリーだからな。思わずこぼれた真王の笑みが聞こえるのと同時に、こうなる事はわかっていた。
しかし問題はない。既にオレは食事を終えた後、証拠なんて残っていない。真王の証言を涼樹が信じるかは五分五分だ。
「真王? もしかしてマッオマオか?」
……あっれー? もしかして、知り合いなのか? さっきまでそんな雰囲気皆無だったじゃないか。こんなの詐欺だ。遺憾遺憾。
「おっひさー。わっちゃだって気が付かなかったんだー。ひっどーい」
「その謎呼び、間違いなくマッオマオだな! 久し振り!」
きょとんとした表情を浮かべた後、心から嬉しそうな笑顔を見せる涼樹。
「二人とも知り合いだったんだな」
「そーだよー。小さな頃は同じ壁国に住んでたんだー。リヨリヨも来てたんだねー」
一緒に居たのが小さい頃ならば、すぐにわからなくても不思議じゃない。
男子である涼樹の事はまだしも、女子の数年は印象が大きく変わるからな。真王の容姿なら尚更だ。
これは涼樹も異性として意識してしまうのではないか?
「ああっ一ヶ月前からな!」
……良い笑顔だ。そんな気配はなかったな。
「ほー、全然気が付かなかったー」
「えっ、オマエそうだったのか?」
「あれっ、言ってなかったっけか?」
「聞いてない」
オマエも二年からの途中組だったのか。そんな話は聞いてない。……いや、別に知らなくても問題ないといえばないけど……まあいいか。
「わっちゃは七年前からここにいるからねー。本当に久しぶりだー」
「七年前っ!? それってつまり建国初期から住んでたのか!?」
真王の言葉に思わずオレは叫んでいた。
本来ならありえないペースで急成長した壁国ホムラフェルファ。その歴史をその目で見ている少女の存在は、オレの中で衝撃的だった。
「んー、そだよー。本当に凄い国だよねー。元々は内乱から逃げ出した人たちの集まりだからねー。それが元の国を遥かに超える技術を確立させるなんてねー。本当に幸せ者だよね」
幸せだと語る少女。しかし、その目は何処か濁っているように見えた。
——逃げ出した先で幸せになった。純粋な笑みでの言葉ではなく、濁った瞳での言葉。それなら聞かない方が良いんだろう。家族は今どうしているのかは。
「この国はねー、卒業した魔装師たちによって国内の治安維持されてー、外部からの侵略行為からも守られているんだよー。戦うのは怖いけどー、でも、みんなの役に立ちたいもんねー」
さっきまでの濁りが消えた瞳。眠たそうな表情のまま、だけど声は少し真剣な想いが籠っているように感じられた。
戦いが怖い。それは本当なのだろう。だからそれが迷いになっているのだろう。だけど彼女は進もうとしている。自分で決めた道を、人間の道を。
「真王は凄いな。オレには真似出来ない」
「えー? どうしてー?」
「タルトだって魔装師になるために来たんだろ? 同じじゃんか!」
「全然違う。オレのは惰性だ。こいつがあるから、外に理由を求めた結果が今だからな」
任務のために、不自然なくここの生徒になるために与えられた二つの魔装具を見つめながらオレは独白する。
今までの努力を否定する気はない。無意味だったとは思いたくない。だけど結果的にオレは目的を失ってしまった。
両親の事は今でも大切に思っている。愛しているって胸を張って言える。……だけど、復讐する気になんてなれなかった。悪いのは……私《・》たちだから。
「それを言ったら俺も似たようなもんだな。やりたい事があって残ってたけど、結局何も出来ずに魔装具を手に入れて、それでここに来た。まあ、正直俺らしくなかったなって思うし、これでよかったと今じゃ思ってるけどな!」
涼樹には似合わない落ち着いた言葉の後、締めに明るく笑っていた。
(……あれ、もしかしてどっちも訳ありか?)
そんな気しかしない。具体的にはわからないけれど、二人とも何か心の奥に傷がありそうだと、そう感じた。
そんな会話をしながらも、いつの間にか二人とも昼食を食べ終わっていた。
真王はまだわかる。うどんを啜ってる姿を何度も見たからな。しかし涼樹? オマエは一体いつの間に食べたんだ? こんな短時間でなくなる量じゃないぞ!?
全てを噛まずに飲み込んだ。そう言われればまだどうにかギリギリ目を逸らしながらも納得のようなものを微かにする事が出来る。出来るが……噛めよ!
野菜を食べない! 噛まない! 早食い! 三重ペケだぞ!
これは言わねば、仮初の友人だとしても——
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
溺愛兄様との死亡ルート回避録
初昔 茶ノ介
ファンタジー
魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。
そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。
そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。
大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。
戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。
血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。
「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」
命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。
体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。
ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学4巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる