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第三十一話 狂言者
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知られてしまう。
他の誰でもない涼樹にバレてしまう。
あの女は危険だ。
その存在そのものが、オレの心を震わせていた。
「よくわかりましたわね。その通り、私《わたくし》の名前は瑠海。この赤い髪こそが狂言ではない事の証明だとわかって下さるかしら?」
——は?
何を言っている?
あいつは何を言っている?
何故そんな嘘を付く? その理由はわからない。わからないけど……オレは助かったのか?
涼樹にバレずに、嫌われずに、恨まれずに済むのか?
「私《わたくし》は彼女、タルトとやらに用があるのですけれど、少々貴方にも興味が湧きましたわ。宜しいですわ。相手をしてあげます事よ。この私《わたくし》、塔怪瑠海が」
ニヤリとした笑みと共に宣言した直後、血の刃が涼樹へと遅い掛かっていた。
「殺してやる!」
地面を強く蹴り、一瞬で彼女との距離を詰める涼樹。
その動きはあまりにも速い。明らかに普通じゃない速度だ。何より脅威的なのはその速力が最初から最高点にある事だ。
普通なら最高速度に至るまでに助走が必要だ。だというのに涼樹のそれは一歩目から最高速度に達しているように見えた。
「あらあら、随分と速いですわね。ですが私《わたくし》の前では無力ですわよ」
瞬時に血の盾を展開し、攻撃を受け止めるのと同時に背後から刃で突き刺そうとする赤髪。
「涼樹、後ろだ!」
「わかってる!」
赤髪の背後へと移動し、彼女の身体を盾にしながら攻撃に移ろうとしている涼樹。
「逃げろ!」
「——っ」
オレの言葉に反射で反応した涼樹は攻撃を中断すると、背後に跳んで距離を取った。
「あらあら残念ですわ。串刺しに出来るはずだったというのに」
「……マジかよ」
ゆっくりとした動きで振り返る赤髪。その身体からは無数の穴が空き、滝のように血を流し続けていた。
「自分ごと貫こうとするなんて、頭おかしいんじゃないか?」
「凡人にとってはそうかもしれませんわね。ですが、私《わたくし》は血に愛された存在。選ばれし者ですわよ。この程度、なんでもありませんのよ」
赤髪が着ているドレスには確かに穴が空いている。
だけど、いつの間に血が止まっていて、それどころか傷口すら綺麗になくなっていた。
「私《わたくし》たちの血を操る力、その副産物が瞬時の再生能力ですわ。穴だらけになったとしてもそこで生涯を終えるのは貴方一人。その後はゆっくりとタルトと話が出来るわね」
「……やっぱり俺は間違っていなかった。お前は、悪だ」
鋭い視線を赤髪に向け、涼樹は断言した。
「よかったよ。お前がそうなってくれていてな。だからもう……容赦はしない」
次の瞬間。涼樹の姿が消えた。
(スピードが上がった!? まだ全力じゃなかったのか!?)
本当に姿が消えているわけじゃない。だけど早過ぎて輪郭を捉える事が出来ない。一筋の線にしか映らなかった。
「あらあら、本当に凄いスピードですわね。ですが、もうネタは割れましたわ。それに対処も容易ですわね」
「——っ!?」
赤髪が取った攻略法は非常にシンプルだった。
「見えないならば全方位を同時に攻撃するだけですわ」
彼女を中心にして円が広がっていくかのように、血の刃が放たれた。
円は一つではなく、上下に並ぶようにして五つ。
まずいっこれじゃあ回避先がない!
「タルト!」
身体の震えが収まらず、赤髪の攻撃に対して何も出来ていないオレの前に現れた涼樹は、ロングソードを下段に構えると一気に振り上げた。
血の刃を下から叩き、軌道を上に逸らした涼樹。そこに拍手が鳴り響いた。
「素晴らしい判断ですわ。貴方のおかけで私《わたくし》の大切なタルトが死なずに済みましたわ」
「……どういう意味だ」
「言葉のままですわ。私《わたくし》はタルトと出会うためにここまで遥々来ましたのよ」
他の誰でもない涼樹にバレてしまう。
あの女は危険だ。
その存在そのものが、オレの心を震わせていた。
「よくわかりましたわね。その通り、私《わたくし》の名前は瑠海。この赤い髪こそが狂言ではない事の証明だとわかって下さるかしら?」
——は?
何を言っている?
あいつは何を言っている?
何故そんな嘘を付く? その理由はわからない。わからないけど……オレは助かったのか?
涼樹にバレずに、嫌われずに、恨まれずに済むのか?
「私《わたくし》は彼女、タルトとやらに用があるのですけれど、少々貴方にも興味が湧きましたわ。宜しいですわ。相手をしてあげます事よ。この私《わたくし》、塔怪瑠海が」
ニヤリとした笑みと共に宣言した直後、血の刃が涼樹へと遅い掛かっていた。
「殺してやる!」
地面を強く蹴り、一瞬で彼女との距離を詰める涼樹。
その動きはあまりにも速い。明らかに普通じゃない速度だ。何より脅威的なのはその速力が最初から最高点にある事だ。
普通なら最高速度に至るまでに助走が必要だ。だというのに涼樹のそれは一歩目から最高速度に達しているように見えた。
「あらあら、随分と速いですわね。ですが私《わたくし》の前では無力ですわよ」
瞬時に血の盾を展開し、攻撃を受け止めるのと同時に背後から刃で突き刺そうとする赤髪。
「涼樹、後ろだ!」
「わかってる!」
赤髪の背後へと移動し、彼女の身体を盾にしながら攻撃に移ろうとしている涼樹。
「逃げろ!」
「——っ」
オレの言葉に反射で反応した涼樹は攻撃を中断すると、背後に跳んで距離を取った。
「あらあら残念ですわ。串刺しに出来るはずだったというのに」
「……マジかよ」
ゆっくりとした動きで振り返る赤髪。その身体からは無数の穴が空き、滝のように血を流し続けていた。
「自分ごと貫こうとするなんて、頭おかしいんじゃないか?」
「凡人にとってはそうかもしれませんわね。ですが、私《わたくし》は血に愛された存在。選ばれし者ですわよ。この程度、なんでもありませんのよ」
赤髪が着ているドレスには確かに穴が空いている。
だけど、いつの間に血が止まっていて、それどころか傷口すら綺麗になくなっていた。
「私《わたくし》たちの血を操る力、その副産物が瞬時の再生能力ですわ。穴だらけになったとしてもそこで生涯を終えるのは貴方一人。その後はゆっくりとタルトと話が出来るわね」
「……やっぱり俺は間違っていなかった。お前は、悪だ」
鋭い視線を赤髪に向け、涼樹は断言した。
「よかったよ。お前がそうなってくれていてな。だからもう……容赦はしない」
次の瞬間。涼樹の姿が消えた。
(スピードが上がった!? まだ全力じゃなかったのか!?)
本当に姿が消えているわけじゃない。だけど早過ぎて輪郭を捉える事が出来ない。一筋の線にしか映らなかった。
「あらあら、本当に凄いスピードですわね。ですが、もうネタは割れましたわ。それに対処も容易ですわね」
「——っ!?」
赤髪が取った攻略法は非常にシンプルだった。
「見えないならば全方位を同時に攻撃するだけですわ」
彼女を中心にして円が広がっていくかのように、血の刃が放たれた。
円は一つではなく、上下に並ぶようにして五つ。
まずいっこれじゃあ回避先がない!
「タルト!」
身体の震えが収まらず、赤髪の攻撃に対して何も出来ていないオレの前に現れた涼樹は、ロングソードを下段に構えると一気に振り上げた。
血の刃を下から叩き、軌道を上に逸らした涼樹。そこに拍手が鳴り響いた。
「素晴らしい判断ですわ。貴方のおかけで私《わたくし》の大切なタルトが死なずに済みましたわ」
「……どういう意味だ」
「言葉のままですわ。私《わたくし》はタルトと出会うためにここまで遥々来ましたのよ」
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