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第三十九話 生存者
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喪服。それが意味する事は一つ。
「今日が彼の命日ですわ」
「なんで涼樹を殺す必要がある。この前のはこいつから襲ってるから正当防衛として、今回は勘違いを訂正したわけだし必要ないだろ?」
「それはどうかしら。確かに私《わたくし》は瑠海ではないけれど、血の繋がった姉だというのは事実。この血を憎んで言うのならば私《わたくし》もまた復讐対象でしょう?」
涼樹の恨みは魔王と王妃。そしてその子供たちだ。
それなら確かにそうなるか。
「だけどタルト、貴方を殺すつもりはありませんわ」
「……どうせ碌でも無い理由だと思うけど、聞いてやる」
「貴方は貴重な実験材料ですもの」
「……うわ、想像以上だった」
実験材料ってなんだよ。もしかしてこいつは研究者か何かなのか?
どうしてオレを狙っているのかは、なんとなくわかったな。自分の身体では出来ない実験をオレの身体でやろうとしている。
あの悪意。大きく外れてはいないだろう。
「そうだわ。これも一つの縁。貴方たちに面白い事を教えてあげますわ。特に、彼にとっては重要な話だと思いますわよ」
「俺にとって?」
「うふふ、興味があるようですわね。良いですわ。冥土の土産に教えてあげましょう。この国ホムラフェルファと我が祖国センズファストの関係を」
「「——っ!?」」
今、なんて言った?
ホムラフェルファとセンズファストの関係?
「我が祖国センズファストは魔術の国。魔術師たちが支配している国でしたわ。魔術は強力な武器。センズファストの平和は魔術師たちによって維持され続けたわ。しかしやがて魔術師たちは恐怖で国民を支配するように変化し、その結果、恐怖から逃れるべく様々な技術が開発された。完成品、未完成品、それらはあまりにも様々な用途で使用出来る技術の宝。それらを全てお母様は回収しましたの」
「……は?」
雛芽の話を聞いているうちに、呆然とし始めた涼樹。
「あらあら? その様子、もしかするとお母様が回収した技術のどれかは、貴方のご両親が作り出した技術だったのかもしれないわね」
「……そうだ。父さんは研究者だった。そして魔王に殺された!」
「否定しますわ」
「ふざけるな!」
「貴方のご両親を殺したのは魔王ではなく、お母様ですもの」
「……は?」
母様が涼樹の両親を殺した?
「でもおかしいわね。国の礎となった人々に敬意を表し、家族はみんな同じ所へ送ったと聞いていたのですけれど、どうやら例外がいたようですわね。ならばやはり貴方はここで殺すべきですわね。感謝しなさい、ご両親の元へと送ってあげますわ」
「こいつっ!」
目を細めて殺気を放った雛芽に、思わず飛び掛かろうとした涼樹を手で制した。
「待て涼樹。話はまだ終わってない。それはセンズファストの話だ。それがどうホムラフェルファと関係するって言うんだ?」
「全ては予定通りでしたわ。魔王の意識を誘導し、国民の恐怖心を増大させる。人間は恐怖から逃れるためならば想像を絶するほどの力を引き出す生き物よ。魔術師に対抗するために魔術とは違う新たな形の武力を生み出す。そう予測され、事実複数の技術が生まれたわ。あとはそれらを回収し、用済みとなった魔術師たちが殺し合うように操作。あとは数多の技術と資金を持って国から脱出する。そして別の場所で新たな国を作る。その国の名がホムラフェルファ。つまりこの国ですわ」
「「——」」
雛芽の話にオレたちは言葉を失った。
センズファストで作り出された技術と、魔術師たちの資金。それらを元手にこの国が生まれた? 数年でここまで急成長したのはつまり、母様が干渉していたから?
——いや、待て。
待て待て待てっ、それではまるで!
「答えろ雛芽。まさか……王妃は生きているのか?」
「——っ!」
オレの言葉に彼女は再び嗤った。
それは明確な肯定だった。
「ええお母様は生きていますわ。貴方も嬉しいでしょう? タルト」
「「——っ!」」
その言葉に空気が変わった。
「タルト……お前……」
「はあー、お喋りは終わりだな」
知りたい事は知れた。
雛芽は地雷を踏んだ。
だから始めよう。
「王妃が生きていて嬉しいかって? 別に、今の話を聞いて喜ぶと思うか? むしろドン引きしてるところだよ」
父様は民に厳しくなったのも母様の誘導。
涼樹の両親。大勢の研究者、技術者を殺したのも母様が仕組んだ事なんだろう。
処刑されたのも方法はわからないけどフェイク。
それにそうなんだ。娘を置いて一人だけ助かっていたのか。
「決めた。オマエを殺して終わりにするつもりだったけど、王妃もこの手で殺す」
「今日が彼の命日ですわ」
「なんで涼樹を殺す必要がある。この前のはこいつから襲ってるから正当防衛として、今回は勘違いを訂正したわけだし必要ないだろ?」
「それはどうかしら。確かに私《わたくし》は瑠海ではないけれど、血の繋がった姉だというのは事実。この血を憎んで言うのならば私《わたくし》もまた復讐対象でしょう?」
涼樹の恨みは魔王と王妃。そしてその子供たちだ。
それなら確かにそうなるか。
「だけどタルト、貴方を殺すつもりはありませんわ」
「……どうせ碌でも無い理由だと思うけど、聞いてやる」
「貴方は貴重な実験材料ですもの」
「……うわ、想像以上だった」
実験材料ってなんだよ。もしかしてこいつは研究者か何かなのか?
どうしてオレを狙っているのかは、なんとなくわかったな。自分の身体では出来ない実験をオレの身体でやろうとしている。
あの悪意。大きく外れてはいないだろう。
「そうだわ。これも一つの縁。貴方たちに面白い事を教えてあげますわ。特に、彼にとっては重要な話だと思いますわよ」
「俺にとって?」
「うふふ、興味があるようですわね。良いですわ。冥土の土産に教えてあげましょう。この国ホムラフェルファと我が祖国センズファストの関係を」
「「——っ!?」」
今、なんて言った?
ホムラフェルファとセンズファストの関係?
「我が祖国センズファストは魔術の国。魔術師たちが支配している国でしたわ。魔術は強力な武器。センズファストの平和は魔術師たちによって維持され続けたわ。しかしやがて魔術師たちは恐怖で国民を支配するように変化し、その結果、恐怖から逃れるべく様々な技術が開発された。完成品、未完成品、それらはあまりにも様々な用途で使用出来る技術の宝。それらを全てお母様は回収しましたの」
「……は?」
雛芽の話を聞いているうちに、呆然とし始めた涼樹。
「あらあら? その様子、もしかするとお母様が回収した技術のどれかは、貴方のご両親が作り出した技術だったのかもしれないわね」
「……そうだ。父さんは研究者だった。そして魔王に殺された!」
「否定しますわ」
「ふざけるな!」
「貴方のご両親を殺したのは魔王ではなく、お母様ですもの」
「……は?」
母様が涼樹の両親を殺した?
「でもおかしいわね。国の礎となった人々に敬意を表し、家族はみんな同じ所へ送ったと聞いていたのですけれど、どうやら例外がいたようですわね。ならばやはり貴方はここで殺すべきですわね。感謝しなさい、ご両親の元へと送ってあげますわ」
「こいつっ!」
目を細めて殺気を放った雛芽に、思わず飛び掛かろうとした涼樹を手で制した。
「待て涼樹。話はまだ終わってない。それはセンズファストの話だ。それがどうホムラフェルファと関係するって言うんだ?」
「全ては予定通りでしたわ。魔王の意識を誘導し、国民の恐怖心を増大させる。人間は恐怖から逃れるためならば想像を絶するほどの力を引き出す生き物よ。魔術師に対抗するために魔術とは違う新たな形の武力を生み出す。そう予測され、事実複数の技術が生まれたわ。あとはそれらを回収し、用済みとなった魔術師たちが殺し合うように操作。あとは数多の技術と資金を持って国から脱出する。そして別の場所で新たな国を作る。その国の名がホムラフェルファ。つまりこの国ですわ」
「「——」」
雛芽の話にオレたちは言葉を失った。
センズファストで作り出された技術と、魔術師たちの資金。それらを元手にこの国が生まれた? 数年でここまで急成長したのはつまり、母様が干渉していたから?
——いや、待て。
待て待て待てっ、それではまるで!
「答えろ雛芽。まさか……王妃は生きているのか?」
「——っ!」
オレの言葉に彼女は再び嗤った。
それは明確な肯定だった。
「ええお母様は生きていますわ。貴方も嬉しいでしょう? タルト」
「「——っ!」」
その言葉に空気が変わった。
「タルト……お前……」
「はあー、お喋りは終わりだな」
知りたい事は知れた。
雛芽は地雷を踏んだ。
だから始めよう。
「王妃が生きていて嬉しいかって? 別に、今の話を聞いて喜ぶと思うか? むしろドン引きしてるところだよ」
父様は民に厳しくなったのも母様の誘導。
涼樹の両親。大勢の研究者、技術者を殺したのも母様が仕組んだ事なんだろう。
処刑されたのも方法はわからないけどフェイク。
それにそうなんだ。娘を置いて一人だけ助かっていたのか。
「決めた。オマエを殺して終わりにするつもりだったけど、王妃もこの手で殺す」
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