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第十七話 北園アンリ
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授業内容については特に言及する事はない。強いて言うなら、一部の授業内容に凄く違和感を感じるって事だな。
まあ、生活環境が突然変わったんだ。そんなもんだろ。
「ジョンス! さっきの続きよ!」
「続き? 何の事だ?」
「あたしが良い奴だって話よ!」
「えー、その話続けるのか? そこまで良い奴押しされると引くんだけど」
「な、なんでよ! あたしはいつも風紀委員として——」
何やら意地になっているご様子のユニが、涙目になりかけながら続けようとした時だった。
教室の入り口でキョロキョロとしている女子生徒を見つけた。
特に変な行動ではないけど、不思議と注意が向いた。
理由の一つとして……ロリだからだ。
長い白髪で前髪まで長く片目が覆われていた。それにこの時期なのにワイシャツの上にカーディガンを着ているのだが、長袖だ。それも萌え袖を遥かに超える長さで、完全に掌が隠されている。
どうして完全なるロリがここにいる? 明らかに君、中等部じゃね?
「……ん、いた」
キョロキョロと誰かを探していたロリっ娘はこっちを向くとアングルを固定させた。そしてそのままやってきた。
俺の客か? 全く知らないけど、何かやらかした可能性はあり過ぎてわからん。と思ったけど、どうやら目的は俺じゃないらしい。
「ユニ、多分お前に用があるみたいだぞ?」
「あたしに?」
後ろを向くように促すと、若干怪訝そうにしながらも振り向いた。
「あらアンリじゃない」
「……西塔一年。風紀委員長が呼んでる」
「委員長が? わかったわ。わざわざありがと」
「……ん、じゃ」
袖で口元を隠しながらボソボソと話すアンリ。
……なんというか、この子、目が死んでる。
前髪で片目しか見えないけど、瞳に光が宿ってない。
俺は知っている。この目は、全てに絶望しているモノの目だ。
「アンリでいいか?」
風紀委員長という上司に呼ばれたという事で、早歩きでスタスタと教室から去るユニ。それを確認した後、ユニの後を追うような形で背を向けたアンリに声を掛けた。
「……何?」
立ち止まってから随分と時間をかけて振り返ったアンリ。いや、反応するの迷い過ぎだろ。……ある意味当然か? その目なら。
「お前は救いを期待してるか?」
「……何の話?」
本当に訳がわからないとでも言いたげな表情をするアンリ。
これは……どっちだ?
俺の経験で知っている。この目をしている奴は早々に殺してやるべきだ。
世界に、人間に、そして何より己に絶望している存在。そんなの厄災になる未来ぐらいしかない。
絶望は闇の苗床となり、崩壊の礎となる。
ならば、今ここで殺すべきだ。
全てを恨み、否定し、破壊する。そんな未来を断つために、今ここで。
……そう思った。だけど、アンリまだ引き返せるところにいる、のか? なんとなく、そう感じたんだ。救いという単語に対する反応があまりにもない。
今までの奴はその二文字に酷く激昂していた。でも、アンリは違う。それなら……絶対とはいえないけど、救えるのか?
「……いや、なんでもない」
「……そう」
首を傾けた後、短く言って去って行くアンリ。
「まあ、流石にな」
いくら未来の厄災になるかもしれない目をしていたとしても、まだロリっ娘だからな。斬るのは流石に早いよな。
これを理由に躊躇しているつもりはないけど……可愛かったな。心の闇をどうにか浄化しながら寄り添えば、良い時期に良い感じで落ちるんじゃねえか?
なんてつい考えてしまう俺の方こそ犯罪者予備軍筆頭だな。
「北園《きたぞの》アンリ。見た目は完全に未発達だが、実際のところは俺らと同じ一年生の合法ロリ。いやーいやー、意外と性癖高いんだな」
「……は?」
思考の隙間に聞こえて来た声に意識を向けると、そこには金髪の野郎がいた。
まあ、生活環境が突然変わったんだ。そんなもんだろ。
「ジョンス! さっきの続きよ!」
「続き? 何の事だ?」
「あたしが良い奴だって話よ!」
「えー、その話続けるのか? そこまで良い奴押しされると引くんだけど」
「な、なんでよ! あたしはいつも風紀委員として——」
何やら意地になっているご様子のユニが、涙目になりかけながら続けようとした時だった。
教室の入り口でキョロキョロとしている女子生徒を見つけた。
特に変な行動ではないけど、不思議と注意が向いた。
理由の一つとして……ロリだからだ。
長い白髪で前髪まで長く片目が覆われていた。それにこの時期なのにワイシャツの上にカーディガンを着ているのだが、長袖だ。それも萌え袖を遥かに超える長さで、完全に掌が隠されている。
どうして完全なるロリがここにいる? 明らかに君、中等部じゃね?
「……ん、いた」
キョロキョロと誰かを探していたロリっ娘はこっちを向くとアングルを固定させた。そしてそのままやってきた。
俺の客か? 全く知らないけど、何かやらかした可能性はあり過ぎてわからん。と思ったけど、どうやら目的は俺じゃないらしい。
「ユニ、多分お前に用があるみたいだぞ?」
「あたしに?」
後ろを向くように促すと、若干怪訝そうにしながらも振り向いた。
「あらアンリじゃない」
「……西塔一年。風紀委員長が呼んでる」
「委員長が? わかったわ。わざわざありがと」
「……ん、じゃ」
袖で口元を隠しながらボソボソと話すアンリ。
……なんというか、この子、目が死んでる。
前髪で片目しか見えないけど、瞳に光が宿ってない。
俺は知っている。この目は、全てに絶望しているモノの目だ。
「アンリでいいか?」
風紀委員長という上司に呼ばれたという事で、早歩きでスタスタと教室から去るユニ。それを確認した後、ユニの後を追うような形で背を向けたアンリに声を掛けた。
「……何?」
立ち止まってから随分と時間をかけて振り返ったアンリ。いや、反応するの迷い過ぎだろ。……ある意味当然か? その目なら。
「お前は救いを期待してるか?」
「……何の話?」
本当に訳がわからないとでも言いたげな表情をするアンリ。
これは……どっちだ?
俺の経験で知っている。この目をしている奴は早々に殺してやるべきだ。
世界に、人間に、そして何より己に絶望している存在。そんなの厄災になる未来ぐらいしかない。
絶望は闇の苗床となり、崩壊の礎となる。
ならば、今ここで殺すべきだ。
全てを恨み、否定し、破壊する。そんな未来を断つために、今ここで。
……そう思った。だけど、アンリまだ引き返せるところにいる、のか? なんとなく、そう感じたんだ。救いという単語に対する反応があまりにもない。
今までの奴はその二文字に酷く激昂していた。でも、アンリは違う。それなら……絶対とはいえないけど、救えるのか?
「……いや、なんでもない」
「……そう」
首を傾けた後、短く言って去って行くアンリ。
「まあ、流石にな」
いくら未来の厄災になるかもしれない目をしていたとしても、まだロリっ娘だからな。斬るのは流石に早いよな。
これを理由に躊躇しているつもりはないけど……可愛かったな。心の闇をどうにか浄化しながら寄り添えば、良い時期に良い感じで落ちるんじゃねえか?
なんてつい考えてしまう俺の方こそ犯罪者予備軍筆頭だな。
「北園《きたぞの》アンリ。見た目は完全に未発達だが、実際のところは俺らと同じ一年生の合法ロリ。いやーいやー、意外と性癖高いんだな」
「……は?」
思考の隙間に聞こえて来た声に意識を向けると、そこには金髪の野郎がいた。
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