若き二つ名ハンターへの高額依頼は学院生活!?

狐隠リオ

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第十五話 隣人

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 怒りに任せたユニの大振りに合わせ、居合で返そうとしたその時だった。

「そこまでだ!」

 大声と共に俺たちの間に入り込み、ユニの斬撃を刃で受け止めつつ、俺の刀の柄頭に手のひらを向ける生徒会長、カユの姿があった。

「生徒会長!?」

 目を丸くして動きを止めるユニ。
 流石は生徒会長だ。なんという影響力。

「よっカユ。もっと早く来れなかったのか? 結構な騒ぎだったと思うぞ」
「すまない。どうやら入れ違いになったようだ」
「と、言うと?」
「これを貴方に届けようと思っていたのだ」

 そう言って近くにいた女子生徒から紙袋を受け取るカユ。

「それはなんぞ?」
「遅くなってしまったが我が校の制服だ」

 結構抜く事のなかった刀を鞘ごと腰に差し戻し、空いた両手で紙袋を受け取りながらチラリとユニの様子を窺ってみた。

 うわー、凄く何かを言いたそうな顔してるー。だけどカユの手前何も言えないって事か。
 ……ざまあ。

「わざわざ届けに来てくれてたのか。そりゃ悪かったな、気分転換のために早くに出て散歩してたんだ」
「ジョンス殿が謝罪する必要はない。本来ならば昨日の内に用意するべきだったのだ。非はこちらにある」
「そんな深く考える必要ないぞ? 俺は私服で目立とうが気にしないしな」

 むしろ目立てば目立つだけ可愛い女の子の目にも入るわけで、チャンスが増えるかもしれない。男が少ない今日は時にだ。
 まあ、ユニのせいで、いやおかげか? 相当に目立ちまくってるけど。

「ところでジョンス殿。質問したい事があるのだが……」

 そう言って少し困ったような顔をするカユ。
 一体どうしたのだろうと思う事○,一秒。すぐに理解理解。
 入れ違いになったって事はだ。玄関前に積み重なった人間の山を見ているって事になる。となれば、気になるよなー。

「あの山についてだろ? 丁度そこにいるユニに言ったところなんだけど、昨日の夜に襲って来た奴らを返り討ちにした結果だ。勿論殺してないぞ……骨は逝ってるかもだけど」

 金にならない殺しなんてしないさ。賞金首なら笑顔で殺すけど。ボーナスボーナス。

「脈がある事は確認済だが……何故襲われたのだ?」

 真剣な顔をして傾げているカユ。
 いや、ほんとに、自身の価値に気が付けー? お前と副会長のせいだからな?

「それについてはソラに聞いてくれ。多分あいつなら察せると思うぞ」
「ソラにか? ふむ、ジョンス殿がそう言うのならばそうなのだろう。あとで聞いてみよう」
「そうしてくれ」

 俺からはちょっと言いづらいからな。ソラには言えたけど、カユはちょっときつい。
 ……それにしても、ふと気が付いたのだが、なんでカユってこんなにも俺の事を信頼してくれているんだ? 初めて会った時から高めだったと思うけど、何故?

「カユさん! どうしてですか!?」

 もう我慢出来ないとばかりに叫ぶかのように話すユニ。

「む? 何がだ?」
「だから、どうしてカユさんがその男の肩を持つんですかって事です!」

 確かに今のやり取りを聞けばそんな感じがするな。
 俺がここに来た理由を知らないユニからすれば、謎の関係だからな。

「やっぱりあんたが昨日ナニかしたのね!」
「待つのだユニ。ジョンス殿は信頼出来る人だ」
「どうしてそんな事が言えるんですか! ままま、まさか夏休みの間にっ!」
「むう? どういう事だ」

 顔を真っ赤にしてワナワナと震えているユニ。こいつ、さっきから思考が随分とピンク寄りじゃないか? 真面目そうに見えて実はむっつりって事?
 何もわからなくて疑問符を浮かべているカユを見習えよ。堅い人に見えて中身は清楚。しかも巨乳美人とか改めるとレベル高っ。

「ユニ、その発言って俺は当然としてカユに対しても失礼だからな?」
「あっ……」
「失礼? どういう事だ?」

 機械のような動きで頭をカユへと向けるユニ。対して彼女の反応は変わらずの疑問符だ。
 何もわからないからこそ、怒りもない。だってわからないから。
 ……どういう意味か説明したらどんな反応を見せてくれるのだろうか。ドキドキ。勿論しないよ? 貴重な清楚を自ら破壊なんてしないしない。……今のところはそう思っております。

 ちなみにこの件でもう少しユニを揶揄いたいと思います。思えばその瞬間がベストタイミングだって誰かが似たような事を言っていた気がする。
 ので、早速実行したいと思います。
 まだ低性能のロボットの如く、動きが鈍いユニの側に忍び寄り、そっと耳打ちした。

「あれが一夏で大人の階段を登った女に見えるか?」
「——っは、離れなさいっ!」

 大慌てで飛び退くユニ。
 随分と反応が鈍いですなぁ。今の一瞬で色々とナニを考えたのでしょうねぁ。にんまり。
 さてと、俺とカユの関係についてどう説明するか。それはカユ次第だな。

「カユ。俺は知られても良いぞ。お前次第だ」
「……そうか。ジョンス殿にとって隠す必要などないという事か」
「——どどど、どういう事よそれ!」

 明らかな動揺を見せるユニ。どんな勘違いをしたのかは大体想像出来る。
 俺とカユが行為まで至らぬまでも、そういう仲だと思ったのだろうな。
 将来的には行為まで至る気満々な未来のハーレム王たる俺だが、残念な事に今の関係はまったく色恋とは遠い。

「ユニ。聞いてくれ」
「い、嫌です! カユさんの口からそんな事聞きたくないわ!」

 両手から剣を滑り落とした事にも気が付かず、いやいやと首を振りながら耳を覆うユニ。
 ……まあ、二人がどういう関係なのかはわからないけど、少なくとも尊敬の眼差しを向けていたからな。聞きたくないよなー、憧れの先輩から彼氏を紹介されるとか、嫌だろうなー。
 しかもその相手がついさっきまで戦っていた奴とか……考えたくもないだろうなー。
 恋愛的意味合いじゃないけど、精神的なNTRだな。

「何をそんなに嫌がっているのだ?」

 流石は気が付かずのカユだ。安定の疑問符を浮かべていた。

「カユ、もうほっとけ」
「しかし……」
「こうなったら落ち着くまで話なんて聞かないだろ」

 落ち着いたとしても話をしようとすると即錯乱。あ、これって無理ゲーじゃん。

「ユニには俺から言っとくからカユはもう戻んな。それよりもやっぱり風紀委員会のとこに行った方が良いか?」
「一先ずその必要はない。眠っている者たちが目覚め事情を聞いたあとに、改めて話を聞くとしよう」
「了解」

 絶対有力な情報は手に入らないだろうな。
 だって言えるか? 俺がカユとソラに手を出すNTR野郎だと思ったから嫉妬心で襲ったところ、返り討ちに合いましたとか……マジでダセェな。

 カユの号令で強制的に解散となった後、驚くべき事実が判明した。

「……何よ」

 隣の席から聞こえるさっき知った声。

「いや、昨日は気が付かなかったなーと」
「何よそれ喧嘩売ってる?」

 笑顔を浮かべながら怒筋を浮かべるユニが座っていた。

 信じたくはないが、現実は厳しい。己の認識力については過信してはいけないレベルだったらしい。
 あー、どうやら校則に縛られたあるべき場所、その隣に過去から現在まで存在していた者についてなのだが……えっ、ユニ?

 ——昨日の俺。周囲に興味なさすぎだろ……。
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