雨と五線譜

ぱり

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五月雨(さみだれ)

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雨が降っている。

窓の外からしとしと降る雨の空気が伝わる。俺は小さなソファーにもたれて携帯を開いたり、閉じたりしている。パカ、カチャン、パカ、カチャン。もう、天気予報はずっと雨だ。今日も雨、今日も雨。昨日も明日もそしてきっと明後日も、雨。

雨、雨、雨。雨のゲシュタルト崩壊。天気予報のお姉さんは今日で何日連続で雨なのかそれが歴史上いかに珍しいことなのかを伝えてくれる。「統計上、このような長雨には例がなく、原因も不明であり…」小聡明さ溢れる困り顔で毎日そんなことを伝えてくれる。
統計上っていつからの統計なんだろ…そんなどうでもいい考えが頭をかすむ。それよりあと何日で雨が上がるのかを無表情でもいいから教えてほしいのに。

けれど、この雨が上がらないことを本当は俺には分かっている。

カチャン。
パカ

雨が降っている。

ウォークマンから流れる音楽から「グッバイ」と小気味良いセリフが聞こえてきた。
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