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十一話
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『だから、アイはすごくて、僕は尊敬しています!!』
「「終わったぁ……」」
私とオーベロンは、二人して疲れたようなため息をつきながら、声を合わせた。
ぶっちゃけもう二時間くらいたってる気がした。
「ね?長かったでしょ?」
「はい……」
『えっと、なんかすみません……』
落ち込んだ犬のように、しゅんとしてしまっているのが、不覚ながらかわいいと思ってしまう。
「全然いいんですけど、でも、やっぱり、その……け、結婚とかは……」
「えー、なんで?別に僕と結婚しても、何の苦労もないと思うよ?むしろ、贅沢三昧」
「妖精王様……?は、何だか自分の事を否定するような感じがしますね。苦労がなくて贅沢三昧なんて、とてもいいですが、私は苦労しても貧乏でもいいから、好きな人と結婚したいんです」
「そういうもんなの?」
心底不思議だと言うように口を尖らせた。
あぁ、この人は愛されたことがないのだろうか。
一目瞭然だった。幸せという事を知らないから、そんな事が言えるのだ。
「それじゃあ、もしも妖精王様が自分を好きになってくれたら、私の事を惚れさせてくれたら、いいですよ」
「自分を好きに……?」
「はい」
私は驚いているオーベロンをおき、にこっと普通に微笑んだ。
「…………まぁ、いいや。改めて、僕の名前はリリアーヌ・オーベロンこの中央の国の妖精王だよ」
「私はウィリアムレリー・ティターニアと言います」
改めて自己紹介を終わらすと、気になっていた事を質問した。
「あの、お義母様……は…その…とりあえず、現実世界にもどしてほしいんです」
「え?」
そう言うと、レンもオーベロンも心底驚いたような表情と不思議だと言うような表情をした。
お母さんのお墓参りとかできるだけしていたいし、ちゃんと生きているという事を見てもらいたかったのだ。
「いいよ、ただ結婚したらあんまりいけなくなるかもしれない」
「その点については平気です。年に一回くらい行けるなら……」
『ですが、なんで行きたいんですか?』
「一応、お墓参りにも行きたいですし、生きてるっていうことを見せてあげたいんです」
理由を言うと、二人とも納得したような表情をした。
うちのお母さんとお父さんは攻略結婚とかそういうのはどうでもよく、ただ娘に好きに自立して生きてほしいというのが願いだった。
女なら、結婚させるのが普通だが両親は無理矢理そうしようとは思わなかった。
好きな人ができたらーーというのだ。
「あ、でも、妖精には気をつけてね?もう僕が愛し子の事を知ってるって言うのが流れてるから、あいつら普通に姿見せてくるよ」
「へ?」
『それに、現実世界ではいろんな国の妖精が集まっているので、人間嫌いな妖精もいますね』
フラグかな
「まぁ、それは帰ってから考えます」
帰っても居場所はないだろうが、平民くらいにはなれるだろう。
そこで働けばいいのだ。私は頭は良い方なので、きっと職につけるだろう。
「あ、あと、この世界に帰りたいって思ったらすぐ帰れるし、僕もそっちの世界にちょくちょく行くね」
「ありがとうございます」
その気遣いにとても感謝をした。全てを助けてもらおうとは思わないが、少しだけでいいのでこういう気遣いはとてもありがたい。
「そのさ、敬語やめない?」
「え?」
「敬語やめてよ」
「で、ですが…っ……」
「や、め、て、?」
突然言われた言葉に戸惑ったが、圧がすごかった。
にこにこ微笑みながらこちらを見てくる。あれは、はいと言わなくてはいけないやつだ。
「わかりま………わかった」
「ありがとう。それじゃあ、そろそろ現実世界にもどしてあげないとね」
そう言うと、オーベロンは大きな手の人差し指を私のおでこにつけた。
その時、ふっと突然意識がくらっとしてくる。
「助けてあげるから、安心してね。ずっと、ずっと、その時が来るまで待ってるよ」
その言葉を最後に私の意識は途切れてしまった。
「「終わったぁ……」」
私とオーベロンは、二人して疲れたようなため息をつきながら、声を合わせた。
ぶっちゃけもう二時間くらいたってる気がした。
「ね?長かったでしょ?」
「はい……」
『えっと、なんかすみません……』
落ち込んだ犬のように、しゅんとしてしまっているのが、不覚ながらかわいいと思ってしまう。
「全然いいんですけど、でも、やっぱり、その……け、結婚とかは……」
「えー、なんで?別に僕と結婚しても、何の苦労もないと思うよ?むしろ、贅沢三昧」
「妖精王様……?は、何だか自分の事を否定するような感じがしますね。苦労がなくて贅沢三昧なんて、とてもいいですが、私は苦労しても貧乏でもいいから、好きな人と結婚したいんです」
「そういうもんなの?」
心底不思議だと言うように口を尖らせた。
あぁ、この人は愛されたことがないのだろうか。
一目瞭然だった。幸せという事を知らないから、そんな事が言えるのだ。
「それじゃあ、もしも妖精王様が自分を好きになってくれたら、私の事を惚れさせてくれたら、いいですよ」
「自分を好きに……?」
「はい」
私は驚いているオーベロンをおき、にこっと普通に微笑んだ。
「…………まぁ、いいや。改めて、僕の名前はリリアーヌ・オーベロンこの中央の国の妖精王だよ」
「私はウィリアムレリー・ティターニアと言います」
改めて自己紹介を終わらすと、気になっていた事を質問した。
「あの、お義母様……は…その…とりあえず、現実世界にもどしてほしいんです」
「え?」
そう言うと、レンもオーベロンも心底驚いたような表情と不思議だと言うような表情をした。
お母さんのお墓参りとかできるだけしていたいし、ちゃんと生きているという事を見てもらいたかったのだ。
「いいよ、ただ結婚したらあんまりいけなくなるかもしれない」
「その点については平気です。年に一回くらい行けるなら……」
『ですが、なんで行きたいんですか?』
「一応、お墓参りにも行きたいですし、生きてるっていうことを見せてあげたいんです」
理由を言うと、二人とも納得したような表情をした。
うちのお母さんとお父さんは攻略結婚とかそういうのはどうでもよく、ただ娘に好きに自立して生きてほしいというのが願いだった。
女なら、結婚させるのが普通だが両親は無理矢理そうしようとは思わなかった。
好きな人ができたらーーというのだ。
「あ、でも、妖精には気をつけてね?もう僕が愛し子の事を知ってるって言うのが流れてるから、あいつら普通に姿見せてくるよ」
「へ?」
『それに、現実世界ではいろんな国の妖精が集まっているので、人間嫌いな妖精もいますね』
フラグかな
「まぁ、それは帰ってから考えます」
帰っても居場所はないだろうが、平民くらいにはなれるだろう。
そこで働けばいいのだ。私は頭は良い方なので、きっと職につけるだろう。
「あ、あと、この世界に帰りたいって思ったらすぐ帰れるし、僕もそっちの世界にちょくちょく行くね」
「ありがとうございます」
その気遣いにとても感謝をした。全てを助けてもらおうとは思わないが、少しだけでいいのでこういう気遣いはとてもありがたい。
「そのさ、敬語やめない?」
「え?」
「敬語やめてよ」
「で、ですが…っ……」
「や、め、て、?」
突然言われた言葉に戸惑ったが、圧がすごかった。
にこにこ微笑みながらこちらを見てくる。あれは、はいと言わなくてはいけないやつだ。
「わかりま………わかった」
「ありがとう。それじゃあ、そろそろ現実世界にもどしてあげないとね」
そう言うと、オーベロンは大きな手の人差し指を私のおでこにつけた。
その時、ふっと突然意識がくらっとしてくる。
「助けてあげるから、安心してね。ずっと、ずっと、その時が来るまで待ってるよ」
その言葉を最後に私の意識は途切れてしまった。
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