妖精の愛し子は、妖精の王に求婚されます〜ついでに、復讐もさせていただきますね

十六話

「ったく、なんであんたなんかの為に私が探しに行かなくちゃいけなかったのよ」

　ティーポットを持ち、アリーが飲みほしたティーカップへと紅茶を注ぐ。

　最初からわかってはいた。アリーやリンナが私をわざわざ自分で探しに来たのは、生贄ということが内緒だったから、他の人に探させることができなかったから。

「申し訳ございません」

「次逃げたから、わかってるわよね……？あら、不味い紅茶」

　入れたばっかりの湯気が出ている紅茶をゆっくりと口に運んだ。
　ふっと技笑いながら、一口飲んだあと、私に話しかけた。

「あんたはもう知ってたから逃げ出したのだろうけど、元は生贄の予定だったのよ？本当はその体など朽ち果てていた、だから、どうせ同じよね？」

「何をおっしゃって………」

「わからないの？あんたの目が気に食わないのよ。だから、そんな目一つだけでもいいわね？」

　そう言われて、ぞっと背筋が凍った気がした。
　私の瞳の色は金色だ。珍しいとは言われていたが、どうでもいいことなのに。

　今はアイはいない。何やら、月に一回会議があり、タイミング悪く今日がその日だったようだ。
　それに、オーベロンもその会議に出なくちゃいけなく、助けはいない。

　最後まで心配をしていたが、大丈夫とは言っといた。けど、大丈夫じゃなそうだ。

　アリーは、お皿においてあったフォークを手に持ち、立ち上がった。

「ご、ごめんなさい。だから……っ…」

「今更？馬鹿じゃないの？？私が許すわけ無いでしょ」

　そう言われて数秒、アリーは私の左の瞳にフォークを突き刺した。そして、一瞬辺りが真っ暗になってしまった。

「あ、あああんた…っ……！！」

　激痛と共にアリーが驚く声。けれど、なんだろう。激痛、痛い……けど、痛くはない。
そんな曖昧な感じだ。

　左目を思わず触ると、左目からは血など流れていなかった。

「目、目が……っ……！！」

　なら、なぜこんなに怖がられているのだろう。

　アリーは小刻みに震えながら、こちらに指を指している。

　そして、フォークで反射して自分の顔が見えた時、やっとその理由がわかった。

「赤色……？違う、何これ……」

　自分の目が、左目が真っ赤に染まっていたのだ。右目も金色、金色ではあるが元の色とは少し違っていた。