妖精の愛し子は、妖精の王に求婚されます〜ついでに、復讐もさせていただきますね

二十六話

「………本気で？」

　目が覚めた途端にわかる嫌な予感。というか、もうそれが当たってる。
　見たことのない部屋、なんだか神秘的な部屋だ。

「…フラグ回収……ですか…探検してみるかぁ…」

　肝が座っているのか、もしくは少し慣れてしまったのかはわからないが、すんなりとこの状況を受け止められた。
　とにかく、早く帰って、謝らなければ。

　私はゆっくりと部屋のドアを開けた。

「へ……？」

　ドアを開いた先の景色に驚く。なにが驚くかって、内装が神殿みたいなのだ。
こんなところ、見たことがない。

「そもそも、なんで私の事を……？愛し子…いやいや、関係ない………と、思いたい」
　
　なんだろう。だって、オーベロンの時もそうだったし、これもその予感がした。
　関係ないと思いたいが、今はとにかく逃げることが優先だ。

　私は見覚えのない廊下を歩いてまわった。時には、妖精たちが集まっているところもあったが、どうやら人間はいないようだ。

　歩いて少したった頃、右側の方から何かの声が聞こえてくる。

　近くにその声はなく、あまり聞こえにくいのにそれでも綺麗だと思える、そんな声だ。
　人々を魅力する声、とでもいうのだろうか。

　私はその方向へと導かれ、ついた先は今まで見たことのない大きな扉だった。
　見たこともない豪華でけれどもシンプルなデザインだ。

「失礼します……」

　小声でそう言い、ドアを少しだけ音が聞こえないように開けた。
　そこから見えた光景は、綺麗な美少年と並ぶウェイルだ。何やら何か話していた。

「ウェイル、それで、結局どうするのですか？僕達は神の導きの元ここにいます。愛し子を勝手にこちらに連れてきては神が怒るでしょう」

「そんなのいいじゃんねぇ。神が怒ったって、愛し子をいじめてたのはオーベロンなんだからねぇ」

「まぁ、いいでしょう。貴方としてはとても良い行いをしました」

　はぁと止む終えなく了承した美少年がいる。顔を崩さずにどうやってそんな不機嫌顔ができるんだ。

「それで、誰なのですか？ここは、僕達しか入れません。また妖精ですか？ったく、結局、この部屋には入れぬのですから、立ち聞きなどやめたら良いものを………」

「リーク、やめなよねぇ」

　よし、逃げよう

　なぜか察しられ、逃げることをすぐさま判断した。
　私は数歩ゆっくりと下がり、そして、勢いよく走り去った。

「ですから、逃げれませんよって…………愛し子様！？」

　目の前に突然あの美少年が現れ、腰を抜かしてしまった。
　驚いた、というかあたふたと美少年もしている。

「だから、やめなよって言ったよねぇ」