妖精の愛し子は、妖精の王に求婚されます〜ついでに、復讐もさせていただきますね

二十七話

「ウェイル。貴方知っていたなら、早く教えて下さい」

「面白そうだったねえ」

「あ、あの………どういうことですか？」

　急いで立ち上がり、二人で話している中、少し悪い気もしながら質問をしてみた。
　そもそも、ここがどこかわからないし、それも聞かなくてはならない。

「え、あぁ、申し訳ございません。僕の名はリークと申します」

「僕は知ってる通りウェイルって言うんだよねぇ」

「そうなんですか。じゃ、じゃなくて…ここはどこなんですか？」

「妖精国、アイキュラですよ」

「はい……？」

「うわぁ、驚いてるねぇ～」

　耳を疑うその言葉に、は？となってしまった。もういい加減にしてくれ。
　ウェイルはニコニコと楽しそうにこの状況を楽しんでいるようだった。

「すみません、その帰らせてはくれませんか？」

　そう言った途端に、ウェイルとリークの目が変わった。
　あんな優しそうな瞳が、暗くて怖い、まるで狩られる様な気分になる瞳だ。

「なぜですか？」

「なぜってそれは……」

「そうだよ、帰っても誰も君を待たない。誰も愛し子を大切にしないんだよねぇ」

「誰も……」

「そうですよ。結局、みんないなくなりますよ？」

　みんな、みんないなくなる。その感覚をその感情を私は知っていた。
　みんなが私から離れていく、孤独になるのだ。

「で、でも、アイだってレンだって、それにオーベロンも………」

「あぁー、知らないんだねぇ」

「神の子が卑しいモノに穢られさせるなんて……オーベロンなど、結局は敵ですよ」

「どういうこと…？」

「そうだねぇ。教えてあげるよ、オーベロンはね人を殺したことがあるんだよ？」

「………え」

　信じられないことを聞かされ、目が点になるばかりだ。
　あのオーベロンが殺すなんてことするはずがない。でも、本当にそうだろうか。
　矛盾する気持ちが私を覆い尽くす。

「嘘……」

「嘘じゃないよねぇ。しかも、殺したのは前の愛し子………」

「……！」

　その時、私は足の立つ力がなくなり、立ち崩してしまった。
　がたがたと小刻みに体が震える。

「おや、少々刺激が強すぎてしまったようですね。それでは、夢の世界へ」

「おやすみねぇ～」

　リークは私の側で跪き、人差し指が私のおでこへと向けられた。
　そして、指がおでこについた途端に眠気が襲ってきた。
　なんだろう。もう、全てを忘れて、ずっと眠っていたいような…………

「神の御加護があらんことを」