このセカイで僕が見つけた記憶

さくらもち

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五話

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「痛いのは我慢しろ」

「いるし……」

 後ろには当たり前というような顔をしながら突っ立っているツバサがいた。
 突然、地面がなくなったら普通驚くのが妥当ではないのか。

「ここは、記憶のセカイ。記憶のカケラより巻き込まれると厄介だ。最悪の場合、助けられない」

「記憶のセカイ……この鳥籠に入っている光がそうなの?」

 視線を目立っている光へと向けた。中に入っている光は、青や紫、赤、黄色、などといろんな色がある。

「そうだ。あまりむやみに触らぬほうがいい、簡単に巻き込まれる。カケラの場合声とかで来るからわかりやすいんだが、記憶の場合はいつの間にか巻き込まれているんだ」

「あ~、だから、カケラの場合は惑わされる、で記憶の場合は巻き込まれる、なのか」

 カケラは声とかで惑わしてくるから、惑わすで。記憶はいつの間にか巻き込まれるから、巻き込まれる、なのだ。

「まぁ簡単な事だ。カケラの時は声が聞こえたらすぐ逃げればいいし、記憶の場合は何かしら絶対違和感が生まれる。それに気づいた時、自分がいる近くにヒビが入っているはずだ。そこを殴れ」

「物理的だね……」

「まぁそうだな。正当法はこのカギを使うのだが、渡すのが駄目だし、そもそもカギを使うのが面倒くさい」

どこからか、上の方にハートの形をした宝石が埋め込まれているカギを取り出した。それも雫の形をしたカギと同じだ。

「正当法なんてあるの!??」

「は?あるだろ」

 当たり前だと言われているような返答だが、ツバサは当たり前なんて飛び越えていると思う。
 だから、驚いたのだがそれを普通だと勘違いしているツバサがすごい。

「さて、どうする?何の記憶から見るか?不が多い記憶からか幸が多い記憶。不が多い記憶は辛いだろうが………」

「不が多い記憶から見てみたいかな……」

「そうか、珍しいな。大体が幸が多い記憶から見る。まぁいいだろう、青と紫その系統の色をこの中から選ぶがいい」

 浮かんでいる鳥籠に入った光、記憶へと指を指した。
最初に不の記憶から終わらせたほうが早いと思ったからだ。精神的にも楽というのもある。

 辺りを見回すと、記憶がいっぱいあるがその中でもなぜか印象的なモノに指を指した。
 印象的、というかなんというか生きてるような感覚がしたのだ。

「これ……」

「それは………運が悪いのか、良いのかわからんな」

 一瞬目を見開いたがすぐさま元の表情へと戻った。はぁと深いため息をついている。

「え?なんか駄目だった?」

「駄目ではない。ただ、それは…いらない記憶なんだ」

「へ?」

 思わず腰を抜かしてしまった様な声を出してしまった。
 いらない記憶、いろんな情報が脳に流れ込んできて理解が追いつかない。

「記憶には稀にいらない記憶というものが生まれる。人間は夢を見て起きたら忘れてるだろ?それは脳がいらないと判断してるからだ。それと同様、脳がいらないと判断したものはいらない記憶へと分担される」

「いやでも、ここは忘れられた記憶が集まる場所なんだよね。忘れられた、といらない、って何が違うの?」

「簡単だ。いらない記憶は本当にいらないもので、忘れ去られた記憶はいるものなのだ。そして、いらない記憶は色が一応つくが関係ない。だから、わかりにくいのだ……というか、お前馬鹿か?」

 同い年くらいに馬鹿と言われ、少しだけ腹が立ってしまった。
 確かに、いらないと忘れたがわからない馬鹿だが、年齢的にもしょうがないだろう。

「こっちはまだーーあれ、自分って何歳だっけ……」

「ほらな、ここに居すぎると記憶を失くす。というか、一番最初の方は精神年齢的にも幼く見えたが、今のお前は大きく見えるな」

「一言無駄だよ」

 そういえばそうだ、自分は何歳なのだろうか。生まれてから、記憶があまりない。
 これも、ここにいるせいなのかもわからなかった。

「そろそろ、見に行くか。いらない記憶だし少しだけお前が耐えられるか実験をしよう」

「行く?どうやって」

「僕の服を掴め」

 言われたとおりに、ツバサの服を掴んだ。裾の端っこで少しだけ掴んでいる。
ツバサは僕が掴んだのを確認すると、そのいらない記憶へと手を伸ばした。

「行くぞ」
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