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男同士の決まり事?
しおりを挟む私はついさっき二度寝から覚めた…。
(うーん、とても怠惰な時間を過ごした)
そしてゴロリと寝返りをうち、うつ伏せになった私の目の前のソファーにて、夫二人がまだ話し合いをしていた。
(第一夫のレイが第二夫のヴェルに躾をする図…?なんだろう、二人がトラと子猫に見える。)
目を吊り上げながらこんこんと正論を言うレイに対して体を小さくしながら『すんません…』と謝るヴェル。
体の大きいヴェルが小さく見え、華奢なレイが大きく見えるという不思議な現象が起きている。
(というか、いつから話し合ってるのだろうか?ヴェルが少し可哀想になってきたわ)
「ですから、あなたは猿なんです。優里様が気絶した後も気づかずに腰を振り続けていたなど…どこの野生の猿なんですか!」
「い、いや…優里様がもっとって…」
「黙りなさい!優里様がなんと言おうと、気絶したならば夫は妻を気遣うものでしょう?違いますか?振り続けるのが正解なんでしょうか?!」
「す…すんません…」
…どうやらレイはヴェルのことを猿と呼ぶ事に決めたようだ。
(私が気絶した後も腰振ってたって、すごいなぁ。体力お化けだ)
私がぼーっと二人を眺めていると、それに気づいたレイが素早く私のそばにやってきた。
「レイ~おはよう?お腹すいたよぉ~」
私がレイに対し少し甘えた声で言ってみると『すぐに用意してもらえるように伝えてきます!』と言い、部屋から小走りで出ていった。
その間に私はヴェルを呼び『昨日は気持ちよかったよー』と、フォローしておいた。
レイの気持ちは嬉しかったので否定しないようにしたいし、ヴェルの事を凹ませたいわけではないのでそう声をかけたのだ。
ヴェルは小さな声で『体調大丈夫ですか?…無茶させてすんません…』と私に言ってきた。
小さな子供が親に怒られた時のような表情をするヴェルはとても可愛くて『あぁ、大好きだぁ』と言ってしまった。
ヴェルは少しびっくりしていたが、やっと笑ってくれた。
うん。私は夫達にいつでも笑顔でいてほしいのだ。
「優里様!今日はお部屋で食べれるようにしてもらいました!」
少しすると、そう言いながらハニカミ笑顔のレイが帰ってきた。
まさに忠犬…なんだかレイの頭に犬耳、お尻に尻尾が見えるようだ。もちろんブンブンと振っている。
「ありがとうレイ、大好きよ」
そう言って私は寝転んだままレイに向けて両手を伸ばす。
それを見たレイは、俊敏な動きで私のそばにきてそっと抱きしめてくれた。
チラリと横を見ると、ヴェルが寂しそうにしていたので、左手をヴェルに伸ばし『ヴェル、おいでー』と呼んだ。
寂しそうな表情から一変、ヴェルも嬉しそうな顔をし私を抱きしめてくれたので、三人で暫しの間ぎゅうぎゅうとハグをし合った。
きっとこれが新しい幸せの形なのだろう。
(前世とはまた違う愛の形に、私はまだ少しだけ慣れないけど…夫たちを愛してるこの心は揺るぎないのでまぁいっか)
私は絶対に夫達を幸せいっぱい笑顔いっぱいにする事を再度強く思ったのだった。
少ししたら部屋に三人分の食事が届いたので、三人で楽しく昼食をとった。
ただし、届けてくれたメイドの子に『ありがとう』とお礼を言っただけなのに、赤面されたのは解せない。
(そうだよね、私のこの顔はセクシーの具現化なんだものね…)
…なんだか、自分の顔を思い出し悲しくなった。
⭐︎
「レイとヴェルは仲良くできそう?私的にはみんな仲良くしてくれると嬉しいんだけどなぁ~」
食事が終わって私が二人を見ながらそういうと、二人はお互いの顔を見て何かアイコンタクトをしているようだった。
(いや、なにそれ!めっちゃ仲良さそうなんだけど!なんでアイコンタクト!?私ともしてくれるかな?…だめだ、レイは赤面して終わりそうだし、ヴェルはお金出してきそう…)
「僕はこいつが猿じゃなくて紳士になれるのならば、多分…仲良くできます」
「うっ…俺は、頑張ります!紳士になれるか分かんないっすけど、騎士ですんで!」
二人とも色々と私に無理をさせないように、そう言ってくれてるんだろうなと思い、つい笑ってしまった。
「ふふ、二人とも、ありがとうね」
私がつい笑いながらそういうと、レイは相変わらず赤面して固まったし、ヴェルはなぜかお金の入った袋をそっと私に出してきた。
それを見た私は『私が思った通りだなー』と思い、すごく笑うことができた。
『あぁ、二人が夫でとっても幸せだぁー』
ちなみに、この後二人とソフトに愛し合った。勿論私の体が持たないので一回ずつだ…
(この生活を続けたら多分、私の体が骨と皮になるな…)
そんな感じで今日も平和に生きてます。
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