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三章 メグリ
六十話 財政難と古城
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踏み込む度にギシギシと音を立てる木製の床は4人の体重に耐えられるのだろうか。不安を覚えながら袖を掴んでくるメグリの手を振り払いつつ進む。
「本当にあるんだろうな?金になるものは」
何十年と経っている割には散らかっておらず、整頓されている。慌てて城を捨てた訳ではないのだろう。城を出る際に高価なものは置いてくいくはずがないので、探しても無駄なのではと心の隅で考えつつも、もしやという期待が勝っていた。
「でもあるはずなのよ…その記録があるってパパ…先代が言ってたもん」
「記録?」
「うん。資料」
「その資料は?」
「えっ?…っいや…」
「見てないのか?」
「えと…その……探すのが大変そうで…」
魔王は気まずそうに俯き、苦笑いをしつつ目を逸らした。想定外の質問に戸惑っている様子だ。
「は? まさか、面倒だからとりあえず行ってみよう、って考えで来たなんて言うんじゃないだろうな」
「はっ…あは…そんなわけ…」
そんなに急ぐ程の財政難だったのか…この魔王、しっかり者ではあるが10数年しか生きていない。国一つの財を取り仕切るには経験が足りなかったのだろう。
「じゃあここに何も無かったらおしまいじゃあないですか?」
「そうなるわね…そうなったらもう金貨を錬成するしか」
「錬成しないのか?」
「そりゃあそんな事ルール違反だもの」
「そんな、変な所でクロメさん律儀にならなくてもいのにっ」
「あはは…」
廊下の先、過度を曲がってすぐの所に大きな鉄の扉が取り付けられていた。木製の室内に不釣り合いな銀色の重々しい扉に手をかけ、力を入れた所でメグリが腕を引っ張った。
「なんだよっ…」
「ツバキさん! 床が落ちますっ!!」
その言葉を聞き終える頃には足は床を踏んでおらず、4人は崩れる木片と共に穴へと落ちていった。
目の先には四角形の天井。崩落したんじゃない。これは落とし穴だ。
「本当にあるんだろうな?金になるものは」
何十年と経っている割には散らかっておらず、整頓されている。慌てて城を捨てた訳ではないのだろう。城を出る際に高価なものは置いてくいくはずがないので、探しても無駄なのではと心の隅で考えつつも、もしやという期待が勝っていた。
「でもあるはずなのよ…その記録があるってパパ…先代が言ってたもん」
「記録?」
「うん。資料」
「その資料は?」
「えっ?…っいや…」
「見てないのか?」
「えと…その……探すのが大変そうで…」
魔王は気まずそうに俯き、苦笑いをしつつ目を逸らした。想定外の質問に戸惑っている様子だ。
「は? まさか、面倒だからとりあえず行ってみよう、って考えで来たなんて言うんじゃないだろうな」
「はっ…あは…そんなわけ…」
そんなに急ぐ程の財政難だったのか…この魔王、しっかり者ではあるが10数年しか生きていない。国一つの財を取り仕切るには経験が足りなかったのだろう。
「じゃあここに何も無かったらおしまいじゃあないですか?」
「そうなるわね…そうなったらもう金貨を錬成するしか」
「錬成しないのか?」
「そりゃあそんな事ルール違反だもの」
「そんな、変な所でクロメさん律儀にならなくてもいのにっ」
「あはは…」
廊下の先、過度を曲がってすぐの所に大きな鉄の扉が取り付けられていた。木製の室内に不釣り合いな銀色の重々しい扉に手をかけ、力を入れた所でメグリが腕を引っ張った。
「なんだよっ…」
「ツバキさん! 床が落ちますっ!!」
その言葉を聞き終える頃には足は床を踏んでおらず、4人は崩れる木片と共に穴へと落ちていった。
目の先には四角形の天井。崩落したんじゃない。これは落とし穴だ。
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