異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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三章 メグリ

五十九話 財政難と古城

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「お金が無いのよ。もう全然」

魔王城二階にある集会所には真ん中に丸いテーブルが置かれ、等間隔に椅子が並べられている。月の初めに行われる魔王城の集会、何かをやろうにも予算がないという事をまず伝えられた。

「人間側との交流が前と比べてかなり少なくなってるの。売れるものはあるのに売る人がいないし買う人もあまりいない。食費医療費建築費…そろそろまとまったお金がないと苦しくなる」

集会所の壁に貼られた板に何かが書かれた白い紙が貼られ、それを細長い棒で指しながら魔王は説明を始めた。

「これから分かれてやる事を伝える。基本は人間側の商売人との取引と新しい商品の考案ね、取引の方は人間に近い魔物もしくは人間に任せる」

「それと戦闘能力の高い人は別の事をするから、今から言う人以外は残って」

【五十九話】

部屋に残ったのは5人、俺と魔王、よくみるごついおっさんとじいさんと毛布を被った小さいやつ。

「一応聞くけど、あんた達序列20番以内よね? 適性によって選んだから上位五ではないけど」

「序列?」

「序列ってのは総合的な能力によってつけた順位の事。全員違うから色々便利なの」

「ふーん…順位」

いつ決められたのかは知らないが、こんな事したら変に競争が生まれるのでは?そもそも下の方は強さに大差がなさそうだし…。

「あんたはまだ決まってないけど、今の所当てはめるとしたら9位8位くらいじゃないかしら」
「まあ知らなくてもいいけどーーーじゃあ説明するね」
「簡単に言うと、ミズリケルンの古城、正式名称は第二信仰城、に行って宝を取ってこいってことなの」

「お宝があるなんて聞いてないんだが」

ごついおっさんが尋ねる。黒く焼けた腕を机にのせ、手元に持っていたペンを置いた。

「確実にあるかは私もわからない。どこかに金庫があるはずでーーーそこに何かないかな、って思ってね」

「ないかなって、確定してないのかよ?」

「まあ、ね…。でも今あなた達が思っている以上に苦しい状況なの。絶対無いとは言いきれないから行くの」

「仕方ねえか…」

「詳しい説明はそれぞれ分担してからにする。100番以内の魔物数体を援護につけるから、日が暮れるまでには帰ってほしいから出発はすぐにね」


家に戻り、メグリとクルトに説明してから準備を始める。リンは連れていくわけにもいかないので城に預けておいた。集合はなしで開始との事なのですぐに出発した。

「それで、何も無かったらどうするんです?」

「そのまま帰るんだろ。何かあると決まってるわけでもないみたいだし」

「というか何故戦闘用意してるんですかね? なにもいないのでは?」

「さあな、第二信仰城について俺はよく知らない」

「なんか嫌になってきました」

「俺もだ」

「珍しいですね」

「いや面倒なだけだ」

崖の上に立つ、巨大な薄汚れた古城を見上げる。静かで何かがいる感じはしない。長らく使われていないらしいし壊れないだろうか。
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