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四章 椿蓮
百二十二話 継承
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「…ッ!! でも、これで…」
傷口に手を当てながら、剣で切り上げる。
「うそ…!」
まるで空を切るような感触。しかし剣の先にあるグロウリーの甲羅は、一直線に切断されていた。
少し遅れて、ごおっ、という音とともに強い風が巻き起こり、砂塵や瓦礫を舞い上がらせた。
マントがバタバタと音を立てる。
断面から真っ赤な液体が吹き出、周りの甲羅にはヒビが入った。どこが口なのかも分からないが、低い獣のような声がこだまする。
「これだけでこの威力って…」
ユリウスの強さを改めて実感する。振る度に傷口が開き痛むため、抵抗はあるが。
3、4回振った辺りから威力が落ちてきたのを感じた。空を切るような感覚から、水をきるような感覚になる。
早くも傷口が治ってきたらしい。だとすると、この威力を続けようと思うなら何度も自分の腹に穴を開けなくてはならないってことか。
「できるだけ早めに終わらせたいわね…!」
「みんな! 一斉攻撃!!」
剣を高く掲げ、後退しながらそう叫んだ。
「すごい…!」
これがユリウスの本来の威力なんだ。ツバキさんを近くで見ていたのに知らなかった。
これを使っていれば、ツバキさんももっと上位にいってたんだろうな。
そう思いながら、メグリは木箱から腰を上げた。
「すみません、もう1回お願いします」
「? なにを」
隣でしゃがんでいたシアが首を傾げる。
「魔法を撃ちます」
「…あなたが?」
「はい」
「損傷するわよ」
「いいんです。今は大きなチャンスですし…それに炎は使いません」
「そ。わかったわ」
「え?」
「確かに今はかなりのチャンスよ。ここで威力の高いあなたの魔法を当てるのは有効じゃない。それとも引き止めて欲しいの?」
「いえそんなことはないですっ」「お願いします」
「任せて」
そう言ってシアは背を向け、向こうの仲間達に声をかけに行った。
「私も…っ」
メグリはそばにあったエリクサーをぐいっと喉に流し込んだ。
傷口に手を当てながら、剣で切り上げる。
「うそ…!」
まるで空を切るような感触。しかし剣の先にあるグロウリーの甲羅は、一直線に切断されていた。
少し遅れて、ごおっ、という音とともに強い風が巻き起こり、砂塵や瓦礫を舞い上がらせた。
マントがバタバタと音を立てる。
断面から真っ赤な液体が吹き出、周りの甲羅にはヒビが入った。どこが口なのかも分からないが、低い獣のような声がこだまする。
「これだけでこの威力って…」
ユリウスの強さを改めて実感する。振る度に傷口が開き痛むため、抵抗はあるが。
3、4回振った辺りから威力が落ちてきたのを感じた。空を切るような感覚から、水をきるような感覚になる。
早くも傷口が治ってきたらしい。だとすると、この威力を続けようと思うなら何度も自分の腹に穴を開けなくてはならないってことか。
「できるだけ早めに終わらせたいわね…!」
「みんな! 一斉攻撃!!」
剣を高く掲げ、後退しながらそう叫んだ。
「すごい…!」
これがユリウスの本来の威力なんだ。ツバキさんを近くで見ていたのに知らなかった。
これを使っていれば、ツバキさんももっと上位にいってたんだろうな。
そう思いながら、メグリは木箱から腰を上げた。
「すみません、もう1回お願いします」
「? なにを」
隣でしゃがんでいたシアが首を傾げる。
「魔法を撃ちます」
「…あなたが?」
「はい」
「損傷するわよ」
「いいんです。今は大きなチャンスですし…それに炎は使いません」
「そ。わかったわ」
「え?」
「確かに今はかなりのチャンスよ。ここで威力の高いあなたの魔法を当てるのは有効じゃない。それとも引き止めて欲しいの?」
「いえそんなことはないですっ」「お願いします」
「任せて」
そう言ってシアは背を向け、向こうの仲間達に声をかけに行った。
「私も…っ」
メグリはそばにあったエリクサーをぐいっと喉に流し込んだ。
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