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四章 椿蓮
百三十七話 壊滅から新世代へ
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「王国は実質の壊滅。行き場を失った民も魔王城で保護、王国軍ともなんとか机を挟む事が出来ております」
イシマは資料をほぼ見ずに話す。
「この先は他の街との連携も必要となります…少なくとも王国再建までは、この国の統制を一挙に引き受ける訳ですので」
現在、王国民の多くとその他街の住民は魔王城にて保護している。魔族を恐れ、敵対してる者も多いがすがれるものがない為仕方なく、と言った感じの者が多数だろう。でも───
「ちゃんと真実が浸透して、良心同士向き合えばすぐに手を取り合えるわよ」
「…そうですね。魔族と人間、種族の壁を越えて接する───そんな時代に、なろうとしているのでしょう」
「うん。だから魔族の皆は胸を張って先導するように、ってね。きっと着いてきてくれるよ」
「…はい。伝えておきます」
イシマは資料を降りたたみ、鞄にしまってからもう一度クロメの方を見た。
「ところでクロメ様、未だ皆の前に姿を出さないのですか? 病んでいる者もおりますし、実際…」
「明日には出るわよ。明日の集会──その最後かしらね」
犠牲者は多い。王国軍と交戦して死んだ者、グロウリーにやられた者等。名誉の死を遂げた彼らに一刻も早く祈りを捧げると共に、生き残った者への希望を与えなければならない。
「これから大変でしょうね」
「…イシマも本当にありがとう。休息もちゃんと取るのよ?」
「承知致しました。それではごゆっくり」
イシマが部屋を出てゆくと同時に、入れ替わるようにユメが部屋に入ってきた。
クロメの姿を見て、手を振りながらテーブルに近付いてきた。
「うわっ、おめかし? めっずらしいねどうしたの?」
「別にいいでしょ、それくらい」
「あっメグか。うんうん綺麗だよ~ドレス似合ってるけど汚さないようにね」
「…そう」
少し頬が熱くなる。化粧とかお洒落とか、ほとんどしたことが無かった。人に頼んでやってもらったものだけど、やっぱり大丈夫かと不安にもなる。
「別に秘密にしなくても良かったんじゃないの? メグ結構落ち込んでたよ?」
「それは悪いと思ってるけど…タイミングってものがあるのよ」
「…? 私にクロメの考えてる事はわかんないな。すぐにでも会いたがると思ってたよ」
「傷も回復してなかったから。余計な心配かけたくないし」
ユメが椅子に座る。クロメの対面ではなく横に。
「随分激しい戦いだったみたいだね。私はそこにいなかったからよく分からなかったし、クロメが生きてるって聞いた時も逆に『死にかけてたの?』って思ったもん」
「…実際、よく生きてたなって思う程よ。ユリウスも一瞬台座に戻ったってくらいらしいしね」
確実に致命傷だったが、イシマが運び、魔王軍の皆の必死の手当てによりなんとか無事でいられた。
「…ねえ、メグ、応募したよ。例のやつ」
「…そう」
「やっぱ分かってる? メグの考えてる事…いいの?」
「あの子が決めたんならそれでいいわよ」
「本当にそう思うの?」
「だからいいんだって。私のワガママで彼女の気持ちを抑えさせたくない。寂しいだけなんてそんなの言えないわよ」
きっともう、あの子は誰かがいなくても一人で歩いてゆける。自分で道を見つけて進んでいける。
多分、そこに私はいない。
「だから、それまではあの子の背中を押してあげるのよ」
階段を叩く足音が聞こえた。
クロメは前髪を触り、背筋を伸ばす。
「そんなお見合いみたいな…」
「もう…うるさいわね」
「会ったら、ちゃんと言いなよ」
「わかってるわよ」
足音が扉の前で止まり、ドアがノックされた。
イシマは資料をほぼ見ずに話す。
「この先は他の街との連携も必要となります…少なくとも王国再建までは、この国の統制を一挙に引き受ける訳ですので」
現在、王国民の多くとその他街の住民は魔王城にて保護している。魔族を恐れ、敵対してる者も多いがすがれるものがない為仕方なく、と言った感じの者が多数だろう。でも───
「ちゃんと真実が浸透して、良心同士向き合えばすぐに手を取り合えるわよ」
「…そうですね。魔族と人間、種族の壁を越えて接する───そんな時代に、なろうとしているのでしょう」
「うん。だから魔族の皆は胸を張って先導するように、ってね。きっと着いてきてくれるよ」
「…はい。伝えておきます」
イシマは資料を降りたたみ、鞄にしまってからもう一度クロメの方を見た。
「ところでクロメ様、未だ皆の前に姿を出さないのですか? 病んでいる者もおりますし、実際…」
「明日には出るわよ。明日の集会──その最後かしらね」
犠牲者は多い。王国軍と交戦して死んだ者、グロウリーにやられた者等。名誉の死を遂げた彼らに一刻も早く祈りを捧げると共に、生き残った者への希望を与えなければならない。
「これから大変でしょうね」
「…イシマも本当にありがとう。休息もちゃんと取るのよ?」
「承知致しました。それではごゆっくり」
イシマが部屋を出てゆくと同時に、入れ替わるようにユメが部屋に入ってきた。
クロメの姿を見て、手を振りながらテーブルに近付いてきた。
「うわっ、おめかし? めっずらしいねどうしたの?」
「別にいいでしょ、それくらい」
「あっメグか。うんうん綺麗だよ~ドレス似合ってるけど汚さないようにね」
「…そう」
少し頬が熱くなる。化粧とかお洒落とか、ほとんどしたことが無かった。人に頼んでやってもらったものだけど、やっぱり大丈夫かと不安にもなる。
「別に秘密にしなくても良かったんじゃないの? メグ結構落ち込んでたよ?」
「それは悪いと思ってるけど…タイミングってものがあるのよ」
「…? 私にクロメの考えてる事はわかんないな。すぐにでも会いたがると思ってたよ」
「傷も回復してなかったから。余計な心配かけたくないし」
ユメが椅子に座る。クロメの対面ではなく横に。
「随分激しい戦いだったみたいだね。私はそこにいなかったからよく分からなかったし、クロメが生きてるって聞いた時も逆に『死にかけてたの?』って思ったもん」
「…実際、よく生きてたなって思う程よ。ユリウスも一瞬台座に戻ったってくらいらしいしね」
確実に致命傷だったが、イシマが運び、魔王軍の皆の必死の手当てによりなんとか無事でいられた。
「…ねえ、メグ、応募したよ。例のやつ」
「…そう」
「やっぱ分かってる? メグの考えてる事…いいの?」
「あの子が決めたんならそれでいいわよ」
「本当にそう思うの?」
「だからいいんだって。私のワガママで彼女の気持ちを抑えさせたくない。寂しいだけなんてそんなの言えないわよ」
きっともう、あの子は誰かがいなくても一人で歩いてゆける。自分で道を見つけて進んでいける。
多分、そこに私はいない。
「だから、それまではあの子の背中を押してあげるのよ」
階段を叩く足音が聞こえた。
クロメは前髪を触り、背筋を伸ばす。
「そんなお見合いみたいな…」
「もう…うるさいわね」
「会ったら、ちゃんと言いなよ」
「わかってるわよ」
足音が扉の前で止まり、ドアがノックされた。
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