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しおりを挟む「えー、今日大原は風邪で休みだ」
「え…、」
「今、風邪流行ってるからみんなも気をつけろよー」
次の日、学校に行ったら風邪で大原くんが休んだ。
元気なかったのは風邪ひく前兆だったのかな…僕、全然気づかなかった…隣の席なのに…なんで…。
いや…そもそも、僕と大原くんはただの隣同士なだけであって、それ以上でも以下でもなくて…なくて…。
「………、」
あれ…。なんでこんなに心臓痛いの。
僕は、ただのクラスメイトで、ただ隣同士で…友達とも呼べるような間柄じゃなくて…。
「っ…、」
なんか、つらい。苦しい。こんなの、僕の勝手な思いだ。
大原くんが話しかけてくれるから、仲良いと勝手に思い込んで…でも実際は、ただのクラスメイト、ただ隣同士なだけ。
そんな奴から、知らない子からの手紙渡されて…。
絶対、嫌な気持ちにさせちゃった。
「こーうちゃん」
「…っ、だいちゃん」
「え、どうした?」
「ぼく…、」
「と、とりあえず、泣くな。ここ離れてから泣け」
「うぅーっ…」
大ちゃんに連れられて、誰もいない図書室にきた。
このままだと一限目、サボり決定だ。
「で、どうした?」
「僕…大原くんに、無神経なことしちゃった」
「うん?」
「友達でもなんでもないのに…知らない子からの手紙渡しちゃった…」
「えーっと…」
「きっとそれで嫌な気持ちにさせちゃって…それで話しかけてくれなくなったんだ…っ」
「んー…」
「どうしようーっ」
「あー…。とりあえず、泣きやめ。な?」
大ちゃんは「気にするな」って言って慰めてくれたけど、気にするなって言われても無理な話で。自業自得なのに、大原くんと話せないことを勝手に辛く思って、寂しく思って。
自分勝手すぎる自分がとことん嫌になる。
「ならさ、大原の家行けばいいじゃん」
「え、?」
「プリント持って行くーって言ったら先生も住所教えてくれるかもよ?」
「でも…僕が行ったら迷惑になる…」
「大丈夫大丈夫」
「だけど…、」
「本当に大丈夫だから!行ってきな」
大ちゃんにそう言われて、放課後、先生に言ったら、あっさり住所教えてくれた。少しだけ個人情報大丈夫なのか…?て思ったのは内緒。
◇◆◇
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