アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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02 - 一学年 二学期 秋 -

04

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真琴に無理やり背中押されて、廊下に押し出された俺と大倉は、結局2人で学園祭を周ることになった。
いや、いいけど、いいんだけど。ちょっとだけ、怖いと思ってる俺がいる。
だって…だって…!!



『ねぇ、あれ大倉くんじゃない?』
『あ、ほんとだ!やっぱかっこいい~!』
『告白しちゃおうかなぁ』
『後夜祭で告っちゃえば?』



あちこちから女子の黄色い声援と、「告ろうかな」「告っちゃえ」のやり取りが、ずっと聞こえて来てる。
ヒソヒソ話してるのもあれば、大倉に聞かせるように話してるのもあって、気が気じゃない。
そして、なぜか俺に来る視線がまじで怖い。
因みに、後夜祭で告白して付き合ったカップルは、長続きするというジンクスがあり、この後夜祭も告白ラッシュだったりする。
因みの因みに……学園祭前に大倉に告白して来た女子たちは、後夜祭が待てず、尚且つ学園祭を大倉と周りたいと言う願望と言うか欲望に我慢出来ずに告白したらしい。
まぁ…全員あえなく撃沈してるけど。



「相澤、何食べる?」
「へっ?あー…から揚げ?」
「おっけー。2組行こ。あそこが1番美味いらしいで」
「そうなんだ」



ヒソヒソされても大倉は普通だ。
きっと慣れてるんだろう。そりゃ、慣れるか。
毎日のように廊下に出てはキャーと騒がれて、教室に居てもキャーと騒がれて。
アイドルかっ!て言いたくなるくらい、キャーと黄色い声援をいただいてるんだ。


周りを気にしながらも、お目当てのから揚げと、焼きそばとたこ焼きと飲み物を買って、生徒専用の休憩室替わりになってる図書室に向かった。



「はぁ…つかれた…」
「なんで疲れてるん?」
「…大倉ってすげーな」
「は?なん?」
「いや、うん。すげーよ」
「意味わからん」



あっちこっちからの視線なんて受けたことなかったから、まじで疲れた。
大倉は、常にこの視線を浴びてるんだよな…ほんと、すごいわ。

いやしかし…なんだかんだで図書室が落ち着く場所になったなぁ。
大倉と図書委員やり始めてもう2ヶ月か。
同じ図書委員の一組の竹下くんと山本さんともそこそこ話すようになったし。
あれから、大倉からのおすすめの本何冊か借りたりしてるし。何だったら俺のおすすめの本とか教えたりしてるし。
案外、図書委員も楽しいなって感じてる。
これも、真琴には感謝だな。



「はい、大倉」
「ん。ありがと」
「…確かにこのから揚げ美味いな」



2組が作ったから揚げは、家庭的な感じなのに味が本格的で美味かった。
これは、から揚げ部門で1位だな、うん。

こうしてゆっくりしてるのもいいな。
ただでさえ大倉はずっと忙しそうにしてて、愛想笑いも頑張ってて、表情筋大丈夫?って心配しちゃうくらい頑張ってた。
今だけはゆっくり出来てるといいけど。



「なぁ、大倉」
「ん?なん?」
「この学校、慣れた?」
「うーん。まぁ、そこそこ」
「そっか」
「うん」



大阪から親の転勤でこっち来て、知り合いも誰も居ない中、一から友達作ったりするのって大変なんだよなぁ。

ここの学校は、俺の地元から離れてるからか、同じ中学に通ってた奴はいなくて、それこそ真琴だけ。
だから、真琴を除いたら、俺も一から関係築いていかないとダメなのは一緒だった。

1学期は、それなりに頑張ってクラスの連中に声かけたりしたけど、2学期になってからは頑張るのを止めた。
頑張ったところで、すげぇ仲良くなる訳でもないし、頑張ってるとかなんかダサいとか思っちゃって。
だったら真琴だけでいいやーとか思った。



「相澤は?」
「え?」
「なんでこの学校にしたん?」
「えー……なんでだっけ?」
「忘れたん?」
「忘れた」
「ふはっ。なんでや」



…言える訳ねぇよなぁ…。
中学の時の奴らと同じ学校に行きたくなくて、わざと地元から雛れた学校選んだなんて。

なんか、よく分かんないけど、大倉には俺の中学時代の事、知られたくないと思った。



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