アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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09 - 二学年 一学期 夏 -

09

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夏休みがやって来ました!宿題?なにそれオイシイノ?…嘘です、ごめんなさい。ちゃんとやります。でも、取り敢えずは遊びたいです。




「航ちゃん、起きなさい」
「ぅーん…、」
「今日は大倉くんと遊ぶんでしょー?」
「うーん……」




夏休みが始まって数日。
毎日ぐうたら過ごしてる。毎日決まった時間に起きなくて良いとか思うとしあわせ…。

…て、今母さんなんか言ってなかった?あれ?今日って…。




「ほらもうっ!大倉くん来たわよ!」
「…………え?」
「んふ。おはよ、航」
「…っ!!ぅわっ!!?」

 


めちゃくちゃ笑顔の大倉がそこに居た。
母さんの「ごめんなさいねぇ」の言葉に、大倉は「全然。寝起きの航見れたので来て良かったです」だなんで言って、そしてまた笑顔だ。




「大倉…、」
「おはよ」
「あ、うん…おはよ…ごめん、俺」
「ええよ。夏休みやしね?」
「う、うん…」




うん。いいとは言ってくれてるけど、笑顔が怖いです。ごめんなさい。

そのまま、大倉に見守られながら起きて着替える。
その間大倉は「なんで恥じらわへんねん」とか「もぉー…俺居るの分かってる?」とか言ってたけど、なんの事?
着替えるだけでなんで恥じらう必要が?変なの、大倉。

結局最後まで大倉に見守られながら着替えて下に降りてご飯食べて(大倉も食べてた)、さぁお出かけだ!




「と言っても、やっぱどこもかしこも人だらけだな」
「仕方ないよ。夏休みやし」
「だな」




街は人だらけ。
学生はみんな夏休みだから仕方ないけど、人居すぎ。

特にどこに行くとか決めてないから、取り敢えずぶらぶら。




「あ。なぁ大倉」
「ん?」
「植物公園行かね?」
「植物公園?」
「うん。植物園じゃなくて、植物公園」
「ええけど…なんで?」
「ん?向日葵見たいのと、遊べるから」
「んは。分かった。ええよ」
「よし行こう!」
「うん」




実は前から行ってみたかったのだ、植物公園。
植物園と違って、遊べる施設もあるし、勿論植物も見れるし。
この前新聞にチラシ入ってて、そこに今は向日葵が一面に咲き誇ってるって書いてあって、ちょっと興味が湧いた。
夏と言ったら向日葵だし、なんかちょっとだけ、大倉っぽいと言うか。


植物公園は隣の県にあって、電車で1時間半掛かる。
ちょっと遠出だけど、それはそれで楽しい。隣の県だったら知ってる奴らに会うこともないし。




「わっ、すげぇ…!」
「すご…」




植物公園に到着して、1番最初に目に入ったのが向日葵畑だった。
どこまで続いてるんだろうと思うくらいに一面向日葵。
大きいのから小さいのまでいっぱい咲いていて、どこを見ても向日葵で、すげー綺麗。




「この前のアネモネも綺麗だったけど、向日葵も綺麗だな」
「やね。しかも全部同じ方向向いてるのがすごい。当たり前やけど」
「ふはっ。確かに!」




向日葵畑の間にある細道をゆっくりと歩く。
夏休みだから人は多いけど、みんな向日葵見てるから誰もこっちなんか見てなくて、いつも周りから視線集めてる大倉もどこか穏やかに感じる。
来て良かった、まじで。




「あ、大倉」
「ん?」
「こんなとこで渡すのもなんだかど、これ」
「なん?」
「誕生日プレゼント。渡せなかったから」
「……ええの?」
「うん」




大倉の誕生日の日は、色々ありすぎて結局プレゼント渡せなかった。
ここで渡すのもアレだけど、ちょうど良いかな?とか思って。




「栞?」
「うん。大倉に貰ったのよりは劣るけど」
「いや、これめっちゃ嬉しい。ありがとう」
「うん」




大倉から貰った立派な栞に比べたら確実に劣るけど、一応俺の手作りだったりする。

近所の本屋さんで、栞作りもしてるところがあって、そこで作らせてもらった、世界に一つだけの栞。
片面にはアネモネの押し花、もう片面にはカスミソウの押し花を施してある。
やっぱ、俺たちの思い入れのある花が良かったから。


その後、向日葵畑を見て回って、ちょっとした遊具で遊んだりしながら楽しんで、時間も時間だし、帰ろうかってなった時に、お土産屋さんを見つけて、思い出に何か買う事にした。




「あ、これなんか大倉っぽい」
「え?」
「これ、この向日葵」
「…向日葵が俺っぽいの?」
「うん。背が高くて、暖かくて、優しい感じが大倉っぽい」
「初めて言われたわ」
「だろうな。なんせ初めて会った大倉はそうは思われないだろうし」
「えー、なんそれ」
「だって、初めて大倉とまともに会話した時、冷たかったじゃん」
「そりゃ…まぁ…知らんかったし…」
「ははっ、確かにな」




懐かしいなぁ…とは感じるけど、まだ1年前の事なんだよな。
そう考えると、大倉と出会ってまだ1年にもなってないのか…。
夏休みが終わった、2学期に来て、最初は背ぇデカ!の印象強くて、次に屋上のお気に入りスポットで出会して。
最初「誰やっけ」って言われてさ、こいつ…!とは思ったけど、それから図書委員一緒にやって。
それから仲良くなって、色々あって今があって。
すごい縁だよなぁ、ほんと。




「大倉」
「んー?」
「…これからも、よろしくな?」
「…うん。こちらこそ」




夏休みも始まったばかり。
これからもっともっと、楽しい日々が待ってる。はず!



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