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09 - 二学年 一学期 夏 -
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「…むりわかんないねたい」
「航ちゃん、ちゃんとやろうねぇ?」
「うぅー…」
夏休みも中盤にさしかかったある日。
ずっと放置してた宿題を片付けないとダメだと言われ、真琴と大倉と共に勉強中。
もう無理。ほんと無理。頭パージしそう。
「それ終わったら、かき氷食べて良いから」
「まじで!!?」
「まじまじ。だから頑張ろぉー」
「よっしゃ!頑張る!」
「航って単純やな」
だってかき氷!!
夏に食べる食べ物で1番大好きなかき氷!!
何味にしようかなぁ…ブルーハワイもいいけど、やっぱメロンか?
それとも練乳かかってるイチゴでもいいな…。
それか変わり種のレモンとか?…捨て難いな…。
「はいはい。かき氷はあと!今は宿題!やる!ほれ!」
「はぁーい…」
やっぱ真琴は母さんだ。俺の母さんよりも母さんだ!!
あ、因みにここ我が家。俺の部屋。
狭いから男3人も居るとむさ苦しい。
「まことー、もうやだぁー」
「はぁ…」
宿題し始めて1時間。俺もうそろそろ無理。溶ける。
暑いし、意味分かんないし、暑いし、眠いし、暑いし、かき氷食べたい!!
「今日亜希子ちゃんは?」
「母さんは父さんとデート」
「相変わらずラブラブな夫婦だねぇ」
「ほんと。俺の事少しは考えて欲しいよ」
いや、夫婦仲が良いのはいい事なんだけどね?でもさ、息子の前でイチャイチャはやめてほしいんだ。
親のそう言うのって見たくなくない?しかも俺、男だよ?嫌じゃん、そんなの見せられるの。
あと、『亜希子ちゃん』は俺の母さんの名前。
真琴は昔から母さんの事名前で呼んでる。それもなんか…なんかってなる。因みに父さんは『明仁』って名前で、2人はよく「2人とも『あき』って入ってるのよねぇ?あきくん」「そうだね?あきちゃん」と言い合っている。俺の前で。恥ずかしげもなく!
「てか、亜希子ちゃん居ないんじゃかき氷食べれないじゃん」
「……確かに!」
「なんで?」
「かき氷機どこにあるか分かんねぇ…」
「ああ…なるほど」
台所に入ってガサゴソすると、母さん怒るんだよ。
「ここは私のお城なの!勝手にいじらないで!」とかなんとか言って。
はぁ…楽しみに頑張ったのに…頑張ったのに…!!
「仕方ないからアイス買いに行く?」
「っ!!行く!すぐ行く!」
「んはっ。そんなに食べたかったん?」
「だってかき氷は夏のものだから!」
「…?別に、冬でも食べてええんやで?」
「いや、夏に食べるからいいんだよ!」
「ふーん…?」
何言ってんのこいつ?って顔しながら見てくる大倉は放っといて、早く買いに行こう!かき氷!!
ちょっとウキウキ気分で近くのコンビニに行く。
かき氷と言っても実際はシャーベットなんだけど。それでも良いんだ。かき氷みたいなものだから。
「…あ、ごめん。ちょっと電話」
「おー」
コンビニ着く手前で、大倉のスマホが鳴った。
俺と真琴は先にコンビニに入ってアイスのショーケースを物色する。
この棒アイスもいいよな…でもやっぱりカップアイスのがいいかな?でもなんか、棒アイスの方が量多く見えるんだよなぁ…どうしよう?
どれにするか悩んでたら、大倉が少し焦った顔してこっちに走ってきた。
「すまん」
「ん?どした?」
「…ちょっと帰らんとあかんくなった」
「へ?」
「何かあったの?」
「うん…父さんが事故に遭ったらしくて…」
「え?!ちょ、それ一大事!早く帰れ!」
「うん。ごめんな?」
「いいよ!あ、荷物どうする?」
「置いといてもらってええ?今度取りに行くから」
「分かった!」
そう言って大倉は、急いで家に帰って行った。
俺、よく考えたら大倉の家族の事何にも知らないんだよな。
お父さんが転勤で地方に行った事と、お母さんが弁護士さんで、こっちに本格的に拠点置いて働いてる事と、お兄さんが大阪の大学に通ってると言うことしか知らない。
それに、何回か大倉の家にも行ったけど、一度も会った事がない。
一応、一緒に住んでるらしいけど、2人とも帰って来た事なかったし、勿論お兄さんにも会った事ないし。
正直、大倉家はどうなってるんだ?と思わなくはなかった。
もしかしたら仲悪かったりするのかな?とも思ってた。
でも、今の感じだと違う気がする。
大倉、ちょっと焦った顔してたし。
「心配だね?」
「うん…」
その後、大倉から連絡はなく、もうすぐで夏休みも終わる時期になっていた。
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