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10 - 二学年 二学期 秋 -
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大倉から連絡もなく、いつ帰ってくるかも分からないまま時間だけが過ぎていき、学園祭の準備に毎日忙しくしていたある日、放課後を使って自分の担当する仕事を片付けてたら、教室がちょっとだけザワザワしだした。
まぁ、俺には関係ないな、と思いながら作業して、でも頭の中には大倉がいて。
大倉、元気かなぁ…ちゃんとご飯食べてるかなぁ…ゆっくり寝れてるかなぁ…なんて考えてた。
そしたら、ずっと聞きたいと思ってた声が聞こえてきた気がした。
「航」
「……はぁ」
やべぇ…大倉に会いたすぎて幻聴聞こえてない?今、名前呼ばれた気がしたけど…気のせいだな、うん。
ああー…大倉ぁ…。
「航って」
「…………え?」
「んはっ。やっとこっち見た」
「………っ!!!!お、おおお、大倉っ?!なんで?!!」
「え、なんでって…帰って来たんに…」
「いやっ、だって!!お前…!!」
どういう事?なんで大倉居るの?真琴は?知ってたの?は?何?どういう事?
いや、パニックになるだろ。
全然連絡来なくて、こっちからも連絡取るの躊躇して、声聞きたいけど聞けなくて、触れたくても触れれなくて。
それでいきなり帰って来たって…そんなの、はぁ?てなるに決まってんじゃん。
なんか、真琴も知ってる感じだし。なんなの、まじで。俺だけ除け者?何それ…まじでふざけんなよ…。
「っ、なんなんだよ…」
「航?」
「触んなっ!」
「っ、こう、」
「真琴も、真琴だよ…なんなんだよ、お前ら…っ」
「航ちゃん、」
ここが学校だろうが関係ないよ。
何がしたかったんだよ、お前らは。
俺がどれだけ心配して、寂しかったかなんて考えてもないんだろ。
なんだよ、普通な顔して現れて。
そんなんで俺が喜ぶとでも思ったの?
だったら、連絡の一つくらい欲しかったよ。それだけで良かったんだよ。
「最っ低…」
「っ、航」
「…、帰る」
「まっ、!」
「くんな!…っ、1人で帰る」
「っ……、」
はぁー…ほんと、最低最悪。
なんなんだよ、まじで。
何日も連絡よこさなかったくせして、何普通に現れてんだよ。
…でも、元気そうで良かった。顔色も悪くなかったし。
はぁ……ほんと、最低最悪だ…俺。
嬉しかったんだ、本当は。
大倉の顔が見れて、声が聞けて、嬉しかったんだ。
でも、連絡なかったのは本当に辛かったから。でも今辛いのは大倉だから、俺が我儘なんか言ったら余計な気を使わせちゃうから。
はぁ…こんなはずじゃなかったのになぁ…。
いや、俺も悪かったよ。いきなり怒ったりして。
でもさ、大倉も真琴も悪いじゃん…なんだよ。
「くそっ…、」
「あ…相澤くんだ」
「っ……、井上」
また最悪だ。
なんでこんなタイミングで会っちゃうんだよ、お前に。
なんだよ、今日。厄日かよ、チクショー。
「1人なの?」
「だったら何?」
「あら、機嫌悪い」
「うるさい」
「てか帰るの?」
「だから、だったら何だよ」
「俺も帰ろっかなぁ」
「は?」
「てことで、一緒に帰ろう!」
「は?え、ちょ、離せっ!」
「いいからいいから」
「ちょっと!!」
井上に無理やり腕を掴まれて、そのまま引っ張られた。
こいつ…どんだけ馬鹿力なんだよっ!てか、腕痛いわ!!
「いい加減離せって」
「離したら逃げるでしょ」
「逃げねぇよ…」
「ほんと?」
「…ほんと」
そういうと、パッと離してくれた。
離された腕はちょっとジンジンしてる。まじで痛い。馬鹿力め。
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